豪州F1グランプリ(GP)2017観戦ガイド

2017年 豪州F1グランプリ(GP)観戦ガイド

2017 F1 Rolex Australian Grand Prix

モーター・スポーツ界最高峰、F1GP世界選手権開幕第1戦であるオーストラリアンF1GPは、3月23日(木)から26日(日)までメルボルン市内のアルバート・パークで開催される。大幅なレギューレーションの変更による高速マシンの登場、ディフェンディング・チャンピオン、ニコ・ロズベルグの引退、マクラーレン・ホンダの巻き返しなど今年のメルボルンGPの見どころを紹介する。 (文=板屋雅博)

メルセデスの上位独占

2016年のF1界もメルセデスAMGの独占は更に高まった。第1戦メルボルンGPからアブダビGPまでの21戦中19戦でメルセデスが優勝。1位2位独占が8回、表彰台に登れなかったのは、スペインGPの1回のみという完勝であった。

ウィリアムズからメルセデスへ移籍したバルテリ・ボッタス
ウィリアムズからメルセデスへ移籍したバルテリ・ボッタス

世界チャンピオンも前年チャンピオンのルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグのメルセデス同志の戦いとなった。そして、ロズベルグ9勝、ハミルトン10勝と優勝回数ではハミルトンが上回ったものの、2位の回数、リタイア回数などの5ポイント差でロズベルグが初の年間チャンピオンを勝ち取った。

16年最終戦で念願の世界タイトルを手にしたロズベルグだが、その直後にF1からの完全引退を表明。メルセデスは、ハミルトン、ロズベルグの2トップ体制が崩れ、ウィリアムズのバルテリ・ボッタスを獲得すると発表した。ボッタスは、11年からウィリアムズでF1に参戦して、優勝は無いが14年から年間4位、5位、8位と安定した走りを見せている。ウィリアムズもメルセデス・エンジンを積むチームである。

レギュレーションの変更

これまでエンジンなどの改善を規制してきたトークンと呼ばれる制限が、今年から撤廃されることになった。膨大なコストが掛かるF1の開発費を制限する目的であったが、各チームのエンジン開発を規制し、メルセデスの独走を許したという反省があった。規制撤廃により各チームとも大幅な改善を実施しており、マシンのスピード・アップにつながっている。タイヤ幅がフロント、リアとも大幅に太くなり、フロント・ウイングの幅も広くなった。マシンはひと回り大型になり、外観はかなりパワフルに変貌している。

マシンの速度は、1周に換算して5秒ほど早くなると言われ、これはドライバーに大きな負担を強いることになる。そのため、各チームのドライバーは筋力を強め、体重を増やすなど体力強化を図っている。ベテラン選手にとっては辛い1年となるだろう。

フェラーリとレッドブル

ダニエル・リカルドのメルボルンGP優勝に期待
ダニエル・リカルドのメルボルンGP優勝に期待

レッドブルは昨年2勝を挙げてメーカー別で2位に食い込んできた。レッドブルを引っ張るのはオージーのダニエル・リカルドだ。前半戦は、やや苦戦したがマレーシアGPで優勝するなど、表彰台に8回登り、年間3位とメルセデス勢に次ぐ活躍を見せた。このパース生まれの27歳は、11年からF1に参戦、14年にオージー、マーク・ウェバーの引退によって正ドライバーに昇格するといきなり3勝を挙げた。ルノー製エンジンの改善次第では今年のメルボルンGPでも優勝を期待されている。ウェバーがなし得なかったメルボルンGPでの優勝をリカルドに期待したい。

18歳の新鋭マックス・フェルスタッペンが第5戦スペインGPで史上最年少優勝を成し遂げ、年間5位となりレッドブル復活の期待の星となった。

なお、マレーシアGPではリカルドとフェルスタッペンがワン・ツー・フィニッシュを達成し、メルセデス以外では久しぶりの快挙を記録した。

メルセデス、マクラーレンと並ぶ御三家でF1の代名詞とも言える名門フェラーリは熱狂的ファンも多いが、08年を最後に年間チャンピオンから遠ざかっている。セバスチャン・ベッテルは10年から14年の世界チャンピオンで、15年にレッドブルからフェラーリに引き抜かれ電撃移籍。07年の世界チャンピオンで現役最年長(36歳)のキミ・ライコネンは老獪(ろうかい)なドライバーであり、2人とも世界一流のドライバーである。15年にベッテルが3勝したが、16年は未勝利に終わった。

フェラーリは、昨年は前半戦こそ2位が5回と優勝まであと一歩に迫ったが、後半戦は3位が2回と表彰台に登れない大会が続いた。フェラーリも大幅なマシン改造を行っており、パワー・ユニットに関しては新型PUやターボ・チャージャー、マルチジェット・イグニション・システムを使用した強力な新型エンジンを搭載している。

マクラーレン・ホンダの巻き返しに期待

15年に8年ぶりにF1に復帰したホンダだが、3年目の今年は正念場を迎えている。

上位進出には時間がかかるとホンダ首脳陣は話していたが、15年のメルボルンGPではアロンソはスタートさえできず、バトンは最下位と惨敗。年間でも10チーム中の9位に終わったが、16年は11チーム中6位とようやくトップ・チームと戦える順位に上がってきた。

ホンダが苦戦してきた大きな原因は、「パワー・ユニット」にある。15年にエンジンと運動エネルギー回生(MGU-K)に熱エネルギー回生(MGU-H)の2つのシステムを加えたパワー・ユニット(PU)と呼ばれる複合技術が本格採用された。メルセデスなどは数年前から技術的に取り組んでいたが、ホンダは完全に出遅れていたのである。

昨年、バーレーンGPでF1デビューしたストフェル・バンドーン(Photo: AFP)
昨年、バーレーンGPでF1デビューしたストフェル・バンドーン(Photo: AFP)

技術チームを入れ替えて本腰を入れて改善に取り組んだ結果が6位となって表れた。17年のマクラーレン・ホンダ・マシンの名称はMCL32。従来のMP4シリーズから名前を変更するほどの大幅な改善があった。

17年はジェンソン・バトンが引退し、2度の世界タイトルを持つベテランのフェルナンド・アロンソ(スペイン、35歳)と新鋭のストフェル・バンドーン(ベルギー、24歳)のコンビで戦う。バンドーンは、14年にマクラーレンのテスト・ドライバーになり、15年GP2選手権で年間チャンピオンとなった。16年にマクラーレンのリザーブ・ドライバーとなり、豪州GPで負傷したでフェルナンド・アロンソの代役として第2戦バーレーンGPでF1デビューし、いきなり10位入賞し世界を驚かせた。充実した技術陣とベテランと新鋭のドライバーのホンダは表彰台に登ることができるか、あわよくば優勝杯を手にできるのか、第1戦のメルボルンGPに期待がかかる。


文・写真=イタさん(板屋雅博)
日豪プレスのジャーナリスト、フォトグラファー、駐日代表
東京の神田神保町で叶屋不動産(http://kano-ya.biz/)を経営

F1観戦の楽しみ方

■F1会場のアルバート・パーク


F1GPレースは、美しいアルバート・パーク湖を周回する5.3キロの公道を使用して行われる。レースの数日前まで公園として使えるため、レース・コースを自転車やジョギングで回ってみることもできる。運が良ければ、大型トレーラーで各チームのマシンが搬入されるシーンに出合えるかもしれない。会場には、公園全体にわたって10カ所の入場ゲートがあるが今年は大幅な変更がある。シティーから約10分のシャトル便トラムが幾つかのゲートとシティーを往復する。入場券を持った人は無料だが、途中下車できないので注意。

■入場ゲートとお勧めの観戦場所

広大なアルバート・パークのどこで観戦するかは重要なポイントだ。一番ゲート周辺はアミューズメントが集中しているため、かなり混雑する。ゆったりと楽しみたいならば、離れた場所が良いだろう。午前中に入場して歩き回って決めたい。
 各ゲートで無料配布の地図を入手し、レース開始2時間前には観戦場所を確保。アルバート・パーク湖が中央にあり、レース・コースの外側に場所を取るか、陸橋を渡って内側に回るかは早めに決めよう。
 F1の高速感と甲高いエンジン音を楽しむなら直線部分だが熟練しないとどのチームのマシンなのか良く分からない。写真を撮るなどマシンを見たいならばコーナーがお勧めだが、ここはかなり混雑が予想される。
 一般入場券で今年は1~10番までの全ゲートで入場できるが、4番、6番、7番ゲートは閉鎖されるので注意。

アルバート・パーク会場マップ

■アミューズメン・トゾーン

①レジェンズ・レーン(1番ゲートを入ってすぐ右側)
F1各チーム公式グッズ販売店、F1名車展示コーナー、クラシック・カー展示、最新技術展、自動車運転体験コーナー、豪州軍装備展、幼児と親コーナー、大型テレビ・スクリーン。

②F1セントラル(レジェンド・ゾーンから1番陸橋を渡った場所)
F1ピット体験ブース、公式グッズ売店、大型テレビ・スクリーン、飲食店など。

③エム・レーン(M-Lane:F1セントラルから湖側への隣りあわせの場所)
メルボルンの有名な落書きアート展やカフェ、飲食店ブースが並ぶ。ヨット・クラブのレース実演なども楽しめる。

④F1ファン・ゾーン(F1セントラルから右側にある南側)
飲食店、ステージでロック音楽祭、F1及びスーパー・カー・レーサーのサイン会場など。

⑤コーツ・ハイアー・スーパーカーズ・ビレッジ(F1ファン・ゾーン右側の南側)
F1レースの合間に行われる豪州スーパー・カーの実際のパドック作業がすぐ見ることができる。この場所から近くにF1レーサーが到着するピット入場門があり、サインをもらえる可能性がある。

⑥キッズ・コーナー(エム・レーンから浮橋を渡った対岸)
子ども運転スクール、子ども模擬F1レース、子どもスポーツ・ゾーン、豪軍ロック・バンド演奏、クラシック・カー展示、F1各チーム公式グッズ販売店、飲食店、大型テレビ・スクリーン。

1番ゲート
 メイン・ゲートであり催し物会場、飲食屋台、F1GPグッズなどの土産物売り場、プレミア観客スタンドや企業用スタンドが並ぶ。陸橋を渡り、湖側を左へ行くと第2コーナーから第3コーナーにかけて、広い芝生の丘があり、直線での高速F1の走りを楽しめる。早めに良い場所を陣取ること。メイン・ゲートから陸橋を渡らずに、左に歩いていった所にも芝生の丘が広がる。

2番ゲート
 メイン・ゲート前の中央部へ行くには2番ゲートからの入場が最短。入って右側や陸橋を超えて右側に芝生席が広がり、スタート直後の第2コーナーから立ち上がって高速走行に入るF1マシンの疾走を楽しめる。
 MSACスポーツ・センター前の第3コーナーから第6コーナーは、カーブが多く加速減速を繰り返す低速での走行を楽しむことができる。また、観客席との距離も近く、F1マシンとの一体感も楽しめる。写真を撮るならばこの辺りがお勧め。スピンや事故が起こりやすいのもこの辺り。特にスタート直後は目離が離せない。

3番ゲート
 市内から一番近いゲート。市内のスペンサー通りから真っすぐ歩くと到達する。第3、第4コーナーがあり、F1マシンが大きく減速するのが間近で見られる。ただ近くに陸橋がなく、狭いスペースなので移動に戸惑う。

5番ゲート
 セント・キルダ通りで一般トラム利用。第9コーナーは、スピンしやすい場所でクラッシュの可能性があり劇的なシャッター・チャンスが望める。人気地区へ出るにはかなり歩く。

8番ゲート
 GP専用トラム・ストップあり。第10~13コーナーにかけては、F1マシンの高速が楽しめるバック・ストレッチ。この辺りは観客が少なくお勧めで、グッズの販売店、イベント広場、キッズ・コーナーもあり、家族連れがのんびり楽しめる。アルバート・パーク湖に仮設浮橋がかけてあり、反対側に歩いて湖を渡ることができるので、湖の両岸を行き来して楽しむのも一手。レース前になると往来する人が増えて入場制限されるので注意。

10番ゲート
 GP専用トラム・ストップあり。第15コーナーは、左曲りシケインで一番減速する場所。写真撮影には一番のスポット。陸橋を渡ってメイン・ゲート前の催し物地区へのアクセスも良いのでお勧め。

■決勝当日のスケジュール

10:30AM…ゲート・オープン
11AM~2PM…ビンテージ・カー、スタントカー・ショー、V8スーパー・カー・レース
2:25PM…スタート・グリッドでのF1ドライバー写真撮影会
2:30PM…F1ドライバーのパレード
2:35PM…空軍機によるアクロバット飛行
3:10PM…空軍新鋭機F/A-18の高速飛行
3:46PM…国家斉唱
3:48PM…豪州空軍の大型機C-17Aが会場上空を飛行
4PM…F1GPレース・スタート
5:30PM頃…レース終了予定
8PM…会場閉鎖、レース終了後も各種ステージ・ショーが開催

3月下旬とはいえ高温も予想される。サングラス、帽子は必需品。日焼け止めは2時間ごとに塗布し、水も定期的に補給すること。近年、F1の轟音は低減されており、耳栓は無理に購入することはない。酒類の持ち込みは禁止されており、ゲートで没収される。

2017 F1 Rolex Australian Grand Prix
会場:Albert Park VIC
日程:3月23日(木)~26日(日)
入場料:決勝$99、4日券$185など
Web: www.grandprix.com.au

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