フィジオセラピストに聞こう!/痛み緩和のその先へ

フィジオセラピストに聞こう 体の痛み改善法

フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!

第96回 痛み緩和のその先へ

“フィジオセラピー”というと、「痛いから行く」「痛みがなくなったらおしまい」と思っている人がほとんどではないでしょうか。フィジオセラピー先進国であるオーストラリアではその先のケア、つまり「パフォーマンスの向上」に注力し始めています。

医療の目的は伝統的に痛みを取り除き、損傷した機能を改善することでした。フィジオが行うリハビリも同様で、また患者さん自身も“喉元過ぎれば”その痛みを忘れ、治療を終了させるのです。しかし、医療では予防医学が、フィジオではけがをする以前に身体能力を向上させることに注目が集まってきました。

自分史上最高のコンディションへ案内する

今までの自分では想像できなかったレベルまで身体能力が向上すれば、けがの予防だけでなく長期的には健康寿命も改善されます。日本でもオーストラリアでも老年医学や介護におけるフィジオセラピストの役割はますます大きくなっています。

私個人としては「痛みがないので退院」で終わるのではなく、各クライアントの体の可能性を最大限に引き上げるところまでリハビリ・トレーニングに付き合うことが至上のフィジオセラピーだと考えるように至りました。

私自身も今年2月からパフォーマンス・トレーニングを行っています。1人ではどうしても怠け心に負けそうになるのと、診察とプログラム作成に客観性が必要なこと、運動中十分な安全を確保するためといった理由から、友人のフィジオに主導してもらっています。

最後に、パフォーマンス・トレーニングのケース・スタディーをご紹介します。

背景:サッカーを25年間、テニスを10年間続けていたがそれらを辞めて10年。今年40歳になり身体の衰えを実感してきた。すぐ疲れる、休んでも疲れが取れない、ウエスト周りの脂肪増加、全身の筋力の低下、そして倦怠感や脱力感。食べ物や飲酒には気をつけている方だが、それだけでは足りない気がする。

目標:「Over35」のサッカーのコンペに出場すること。昔サッカーでけがをした膝(ひざ)周りの筋肉を強化してからでないと、けがの再発もしくは膝をかばったために違う箇所をけがする可能性がある。

時間枠:1~2年掛け、体を再構築する。これだけの時間を掛けると筋肉だけでなく腱(けん)を含む軟部組織の再生にも十分なので復帰後のけがのリスクを低下させることが可能になる。

診察:機能的動作のテストを行い自分の体のどの部分をどう強化していくかプロと一緒にプログラムを組み、実行する。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)
シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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