寒い季節を生き抜く動物たち/オージー・ワイルドライフ診療日記

オージー・ワイルドライフ診療日記 第89回
寒い季節を生き抜く動物たち

暖炉に住み着いていたポッサム
暖炉に住み着いていたポッサム

 冬になり朝晩の気温が冷え込むゴールドコーストですが、日中は日が差して気温も20度を超え、暖かく過ごしやすい日が続いています。寒くなると動物たちの活動は低調となり、その結果、けがなどで保護される動物がめっきり少なくなります。毎年6、7月はカランビン野生動物病院が最も静かな期間です。

 さて、野生動物たちはどのように寒さを凌いでいるのでしょうか。冬と言っても比較的温暖な豪州東海岸沿い、特にクイーンズランドでは、完全に冬眠をしてしまう動物はいません。

 夜行性のコアラやカンガルーは、冬の間は日差しを求めて日中でもよく移動し、ユーカリの木のてっぺんや、日が当たりやすい開けた草地で日光浴をします。

 木や地面の穴に棲む動物たちは、日光で温まった巣にこもり、餌を探すなど必要最低限の頻度でしか出てこなくなります。

 渡り鳥は冬の間は北へ、春夏の繁殖のため南へと、気候に合わせ移動します。鳥たちは、羽毛を広げてその隙間の空気を体熱で温めることで、体温を保っています。冬に鳥を見掛けるとふっくらして見えるのはそのためです。

 ヘビやトカゲ、カメなどの爬虫類は変温動物といって、外気温によって体温が変化します。日中の気温が20度以下になると代謝が悪くなり、捕食などの活動も難しくなってしまうため、冬眠のような状態になり、数週間にわたって何も食べなくても生きていられます。

 都市部に生息している野生動物たちは、人工物が発する熱で暖を取ろうとすることもあります。暖炉や煙突、車のエンジン付近に隠れている可能性があるので、注意する必要があります。

 冬は、餌となる花や果物、虫などの数も減ってしまうので、寒さだけでなく飢えも凌げないと春を迎えられません。たくさんの動物たちが冬の終わりを待っている中、私たち病院スタッフはつかの間の平穏な日々を楽しみつつ、またすぐにやって来る忙しい時期に備えています。

このコラムの著者

床次史江(とこなみ ふみえ)

床次史江(とこなみ ふみえ)

クイーンズランド大学獣医学部卒業。小動物病院での勤務や数々のボランティア活動を経て、現在はカランビン・ワイルドライフ病院で年間1万以上の野生動物の保護、診察、治療に携わっている。シドニー大学大学院でコアラにおける鎮痛剤の薬理作用を研究し修士号を取得。

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