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「マイホーム手が届かない問題」の解決策になるか

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NSW州政府の資産共有制度−シドニー住宅価格の中央値は1億円

 ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州政府は、21日に発表する同州の新年度(2022/23年度)予算案に、特定の職業や条件を満たす人に限定して、住宅購入費用の一定割合を支援する「資産共有制度」を盛り込む。

 持ち家購入促進策の一環。州政府は、新制度の予算として7億8,040万豪ドルを拠出し、当面は年間3,000戸の物件購入を支援する。2年間の試行期間を経て、成果が出れば購入枠を拡大して正式に導入する計画だ。

 豪州では近年、長年の経済発展を背景に不動産価格が上昇しており、「ハウジング・アフォーダビリティー」(住宅の入手可能性)の低下が政治問題化している。

 コロナ禍後、金融緩和による超低金利を背景に不動産市況はさらに高騰。国内最大の都市シドニーでは、住宅価格の中央値は112万836豪ドル(2022年5月31日時点=不動産調査会社コアロジック調べ)に達している。マイホームは一般的な勤労者の手に届きにくくなりつつあり、ハウジング・アフォーダビリティーの問題は連邦選挙でも争点の1つに浮上した。

 ただ、政府の介入による公共住宅の大規模な建設など極端な供給増加策は、すでに住宅を持つ人の資産を減らすことにつながる。有権者の反発を招くのは必至であるため、政治的な支持を得にくい。

 同様の資産共有制度は、すでにビクトリア州、西オーストラリア州、南オーストラリア州、タスマニア州、首都特別地域(ACT)が導入している。先の選挙に勝利した連邦労働党も同様の公約を掲げており、実現すれば連邦と各州の制度を連携して運用すると見られる。

 ペロテ州首相によると、新制度が導入されれば、対象となる層に供給される物件の数は倍増するという。いかに不動産市場に打撃を与えない形で、一般家庭が購入しやすい住宅の供給を増やせるか。その効果が注目される。

■ソース

New South Wales government announces $780 million shared-equity scheme to address housing affordability (ABC News)

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