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カンガルーが増えすぎて困った町とは?

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女性が襲われ足を骨折する事故も

Photo: David Clode on Unsplash

 オーストラリア固有の動物で、国の象徴ともなっている有袋類のカンガルー。愛くるしいルックスとは対象的に、農業に打撃を与えたり、時には人を襲ったりする害獣でもある。

 増えすぎたカンガルーに頭を抱えているのは、クイーンズランド(QLD)州南東部ハービー・ベイにあるマールームの住民たち。公共放送ABC(電子版)によると、人口200人の海辺の小さな町では、7月に67歳の女性がカンガルーに襲われて足の骨を折る重傷を追うなど、過去1年間に7件の襲撃が報告されている。

 現在、住民が散歩や釣りのため外出する際、カンガルーを追い払うための棒が欠かせなくなっている。

 町にあるキャラバン・パーク(キャンプ場やキャビンを備えた野外宿泊施設)でマネジャーを務めるカレン・サトクリフさんは「カンガルーは頭数が分からないくらい増え、敷地内を飛び回っている。人々は長い棒を持って歩いている。でもとてもすばしっこいので、いつどこから飛びかかってくるか分からないのよ」と話す。

雨で育った芝生がご馳走に

 カンガルーが増えすぎた原因は何か。一説には、近年の多雨が関係しているという。住民のマーク・シダウェイさんはこう語る。

「過去2年ほど、ラニーニャ(西太平洋の海面水温が平年より低下する現象。豪州東海岸では雨が多くなるとされる)の影響で雨が多く降り、芝生が生育するのに最適な自然条件が整った。芝生をマメに刈っている家はよいが、芝生が伸びっぱなしになっていると、格好のご馳走になるからカンガルーが集まるんだ」

現時点で駆除の計画はない

 カンガルーが人を襲う事故は珍しいことではない。しかし、QLD州環境科学省で野生動物対策のマネジャーを務めるフランク・ミルズさんによると、通常はオスのカンガルーが縄張り争いや交尾期に人を攻撃することが多い。これに対して、マールームではすべてのケースで、腹に子どもを抱えたメスが人を襲っているという。

 ミルズさんは「調査では、1日に町内と周辺の森林で60〜80匹のカンガルーが確認された。(この環境で)これだけの個体が生活することはできない」と指摘した。

 ただ、現時点では行政がこの町のカンガルーを駆除する計画はないという。住民とカンガルーとの戦いは今後も続きそうだ。

■ソース
Kangaroo attacks leave coast town residents scared to leave home(ABC News)

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