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【ワンアンビラ警官射殺事件の背景①】 容疑者は過激な陰謀論に傾倒か!?

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犯行の夜、射殺される直前にユーチューブ投稿

 オーストラリア北東部クイーンズランド(QLD)州ワンアンビラの民家で12日、州警察の巡査2人と隣人1人が銃で撃たれて殺され、容疑者3人も警察に射殺されて合計6人が死亡した事件。公共放送ABCによると、立てこもった容疑者3人が、過激な反政府主義やコロナ陰謀論に傾倒していた可能性が浮上している。

 ABCは15日、容疑者のものと思われるユーチューブ動画について報じている。動画は容疑者が立てこもった12日夜、警官2人と隣人1人を射殺した後に撮影され、突入した警官隊に射殺される前に投稿されたもようだ。ABCの調査取材班が、既にインターネット上で削除されている映像データを独自に入手した(動画は非公開)。

 ABCによると、動画には元校長のナサニエル・トレイン容疑者(46歳)、兄のギャレス・トレイン容疑者(47歳)、ギャレス容疑者の現在の妻でナサニエル容疑者の前妻であるステイシー・トレイン容疑者(45歳)の3人が写っていて、ギャレス容疑者が警官を「悪魔」と呼び、「彼らは私たちを殺すためにやって来た。そして私たちは彼らを殺したのだ」と話したという。

「ソブリン・シチズン」とは何なのか?

 事件の夜の映像とは別に、ギャレス容疑者は数多くの動画を投稿していたという。ユーチューブのほか、過激思想を持つ極右グループに人気が高い動画サイトで、新型コロナウイルスについての陰謀論や反ワクチン接種、「ソブリン・シチズン」(主権市民)と呼ばれる反政府主義思想などを論じていた。

 ソブリン・シチズンは、国家の枠組みを否定し、法の統治や徴税、警察権力などから独立した個人の主権を主張している。70年代の米国にルーツを持つとされる過激な反政府運動だが、オーストラリアなど英語圏の一部にも浸透しているようだ。

 ABCが2015年にスクープしたニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州警察の極秘資料によると、州内に推計約300人のソブリン・シチズンがいるとされる。州警察は「政府の利益に反する行動を取る動機と能力があり、テロリストの潜在的な脅威と考えられる」と指摘していたという。

 警察は事件の容疑者の思想的背景について既に把握しており、捜査を続けている。(②に続く)

■ソース
Extremist views of Gareth, Stacey and Nathaniel Train exposed in YouTube videos from night of police shooting(ABC News)

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