法律相談室/ブッシュ・ファイアなどの自然災害と法的義務②

知ってると知らないでは大違い!
日豪プレス 法律相談室

第30回 ブッシュ・ファイアなどの自然災害と法的義務②

前回に続き、ブッシュ・ファイア(山火事)などの自然災害と法律について考えてみましょう。ブッシュ・ファイアの管理を法的側面から見ると、さまざまな管理法の特徴を顕著に表わしています。

例えば、オーストラリアにとって極めて重要な環境法である「環境保護・生物多様性保全法」。国が守るべきものに著しく影響を及ぼす可能性のある行為を規制するこの連邦法の立法目的は、オーストラリアのユニークな動植物、特に絶滅危惧種の動物を守ること。絶滅危惧種の生息地となっている土地の所有者は、動植物の救済と開墾の方法・手段の問題で争うこともあるでしょう。こうした場合にブッシュ・ファイアとブッシュ・ファイア管理の考察も含め、公平なバランスを保てるように、上述のような法律が定められています。

さて、ブッシュ・ファイアの管理には2つのポイントがあります。それは「消火」(生命や建物に危険を及ぼすブッシュ・ファイアへの緊急対応)と「防火」(ブッシュ・ファイアの延焼リスク低減と未然防止のための対策)です。

災害時に土地所有者/行政機関が持つ法的責任の範囲については、他の国でも議論が起きています。イタリアでは2009年の大地震で多くの犠牲者が出た後、「市民を守るために地質学者による地震警報が出されるべきだった」という一般市民の訴えにより、科学者による地震予知は難しいにもかかわらず、イタリアの科学者たちが裁判にかけられるという事態になりました。

ところで、ブッシュ・ファイアが起きやすい地域に家を持つ場合には何が求められるでしょうか?新たに住宅を建てる際の必要条件には、①コンクリート・スラブの採用、②外壁、屋根、ベランダ、デッキには燃えにくい材質を使用、③壁・屋根結合部の耐火処理、④アルミ(その他、燃えにくい材質)のシャッター、⑤強化ガラス窓、⑥底部の隙間をふさいだ耐火木製戸枠、⑦通気孔、雨樋、縦樋など、金属製(プラスチックではない)の外構仕上げなどの要素が含まれます。

ブッシュ・ファイアから住宅を守る完璧な方法はありませんが、以下のような方法でリスクを軽減することは可能です。

● 最も安全な場所に建設
● 建物の周囲に障壁・緩衝地帯を整備
● 適切なデザイン、建築方法、建築材を使用

将来の被災リスク軽減のためには、適切な計画、教育、調整、コミュニケーション、資源対策などが必要でしょう。しかし、たとえ十分に対策していたとしても(緊急時に消防隊による優れたサポートがあっても)、入植時代から日常の一部となっているブッシュ・ファイアによる影響を、私たちはこれからもずっと受け続けるでしょう。


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として24年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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