【特集】質問にスペシャリストが詳しく回答 日豪プレス法律&ビザ相談(QLD)

質問にスペシャリストが詳しく回答 日豪プレス法律&ビザ相談

オーストラリアで生活する上で誰もが知りたいビザや法律の問題。話題にはよく上がるものの、確かな情報を知ることは難しく、解釈を間違えてしまい困ることも。そこで、誰もが知りたい質問にスペシャリストが詳しく回答する。

ディファクト

Q

オーストラリアでは、ディファクト(事実婚)関係も婚姻関係とほぼ同様の扱いを受けられるようですが、特に社会保障において注意しておくべきことはありますか。

Q

オーストラリアではディファクト関係も正式な婚姻関係と同等の扱いを受けることがほとんどですが、そのためには、まずディファクト関係にあると認定されることが必要で、その判断基準は法律により異なります。

センターリンクでは、ディファクト関係に関して特に最低同居期間を設けておらず、基本的には同居を開始した時点でディファクト関係にあると判断されることが多いようです。その他の判断基準は以下の通りです。

● 2人の経済的関係性
● 家事や育児の担当
● 社会的認知度(家族や友人などからカップルとして認識されているか、イベントなどにカップルとして参加しているか)
● 2人の性的関係

また、同居していない場合でも事情や状況によりディファクト関係にあると判断されることもあります(例えば仕事の関係で別居中など)。

社会保障の場合、ディファクト関係にあると認定されると支給額は2人の資産や収入に応じて算出されます。多くの場合、1人での計算より社会保障の支給額が減額されることになります(例:失業手当が受けられない、シングル・ペアレントやチャイルドケアの支給額が減額)。しかし、社会保障をより多く受けるために虚偽の申告をした後にそれが判明した際には、利息付きでの返金を要求されたり、悪質な場合、刑事裁判で罪に問われることもあります。また、別居に至った際、ディファクト関係に基づき財産分与を要求したい場合に、相手側がディファクト関係を否定すると、センターリンクに対してディファクト関係でないと申告したことが不利な証拠になることもあります。

財産分与や相続などでは、社会保障と異なり、原則的に2年間の同居が必要ですが、ディファクト関係の認定は同居期間のみで決められない上、適用の法律も裁判所の管轄も異なりますので(財産分与は連邦の家族法が適用され、連邦家庭裁判所や連邦巡回裁判所が管轄。相続は各州の相続法が適用され各州の裁判所が管轄)、素人が判断できるものではありません。

以上、オーストラリアではさまざまな局面でディファクト関係も婚姻関係と同等の扱いを受けられますが、そのためには各法律に基づく条件を満たし認定される必要があります。もし相手側がディファクト関係を否定している場合には、関係の認定を得るために想定外の時間や費用を費やすことにもなりかねません。正式な婚姻関係があれば、同居期間や2人の関係性に関わりなく配偶者としての扱いが受けられるわけです。

最後に、婚姻関係と同じく、特にディファクト関係の方は、後々の揉め事を避けるためにも早い段階でパートナーと財産分与や相続について話し合いをし、遺言書やファイナンシャル・アグリーメントなどの法的に有効な文書を作成しておく必要があります。このような書類は適用する法律にのっとった形式や条件を満たしていないと無効とされますので、専門家への依頼を強くお勧めします。

鈴木彩子(すずきあやこ)

清水国際法律事務所
QLD州弁護士。豪在住20年を超え、主に家族法、不動産・商業案件に携わる。女性、母親の視点からの丁寧な対応は、幅広いクライアントから支持を受ける。モットーは「気合いだ! 気合いだ! 気合いだ!」


労災

Q

仕事中にけがをしてしまいました。労災保険の給付申請は可能ですか。

Q

労災とは、「雇用」が大きな要因となって生じた罹患や仕事中に負ったけがのことです。つまり、職場で負ったけがだけでなく、職場や別の仕事先に向かう、または帰る途中、仕事の休憩時間に負ったけがも労災の範囲内です。労災補償でカバーされるのは、以下のようなけがや病気です。

● 身体的障害:裂傷、骨折、火傷、職業性難聴など
● 心理的障害:不安症、うつ病など
● 疾病:石綿肺(アスベスト)症、Q熱(コクシエラ症)など
● 持病の悪化
● 労災による死

職場で負傷した場合、最初に行うことは雇用主への報告と“WorkCover”という政府機関への労災保険の給付申請です。労災が起きてWorkCoverに保険の給付申請を行うに当たっては、原則的に負傷した日から6カ月以内に行わなければなりません。例外として、事故後しばらくは居住する州から離れていた、事故後しばらく経ってからけがの症状・後遺症が出たという場合は、申請期限が3年に延長されることもあります。

労災保険の給付申請後、仕事に関連した負傷・罹患であるとWorkCoverから認められれば、働けない間の給与はWorkCoverが補償します。また、仕事復帰支援の一環として、治療・リハビリ費、入院・手術費、処方薬・市販薬代がWorkCoverにより支払われたり、通院のための交通費まで支給される場合もあります。

また、WorkCoverは障害度に応じた職探しなども手伝ってくれます。労災による障害のため、以前と同じ職場で働くことができなくなってしまった場合、WorkCoverから紹介を受けた“Host Employer”の下で試験的に働けるなどの再就職支援もあります。

ただし、WorkCoverによる補償には期限があり、十分回復に達したとWorkCoverが判断すれば、給付は終了します。その判断のため、専門医診断を受けるようWorkCoverから指示があるかもしれません。専門医によって後遺症の障害度が判定されると、それに応じた賠償額の提示があります。

ほとんどのケースにおいて、WorkCoverによるその賠償額は、労災で被った障害と共に将来生活していく上で必要なお金を十分に補償する額ではありません。そうしたことから、WorkCoverによる提示額を拒否し、適切な賠償金を得るための賠償請求訴訟に進む選択肢もあります。しかし、雇用主に対する訴訟を成功させるには、雇用主の過失によって労災が起きたことを証明する必要があり、手続きが複雑で時間も掛かるため、人身傷害・賠償請求専門の弁護士に依頼するのが一般的です。

そこで、MBA法律事務所では労災を含めた人身傷害のご相談については成功報酬制を取っていることから、案件が成功に終わるまで(賠償金が支払われるまで)、依頼者様に対して弁護士費用のご請求はいたしません。また、初回のご相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

※上記の内容は、QLD州の法律に従って回答しています。

ミッチェル・クラーク

MBA法律事務所
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として25年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト



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