オーストラリアでの氏名変更について – 身近な法律問題

もっと知りたい!身近な法律問題

法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第20回:オーストラリアでの氏名変更について

日本の民法の下では、結婚に際して、男性または女性のいずれか一方が、必ず氏(苗字)を改めなければならないことになっています。すなわち、日本人同士の結婚では必ず夫婦同姓となりますが、国際結婚の場合は婚姻届を提出してもそれだけで夫と妻の名前が変更になることはなく、例外的に夫婦別姓が認められています。

もちろん国際結婚でも、夫婦同姓にしたい時は結婚した日から6カ月以内に名前変更の手続きを行えば、管轄の役所に届け出るだけで氏の変更を行うことが認められています。しかしこの期間を過ぎると、夫婦や子どもの姓を統一するにあたり、家庭裁判所の許可が必要となります。

オーストラリアでも結婚に際して、配偶者の氏に変更する人は非常に多いのですが、これは慣習的なものであり、法律上の義務ではありませんので、氏の変更や登録は必要となりません。

また、オーストラリアには日本の戸籍制度のようなものはありませんので、婚姻して夫(妻)の氏を名乗りたい場合には「婚姻証明書(Marriage Certificate)」を使用して変更手続きを行うのが一般的です。

例えば、クイーンズランド交通局(Queensland Transport)で運転免許証(Driver’s License)の名前を夫の氏に変える場合は、婚姻証明書を持参すれば変更手続きができますし、同様に銀行口座の名義も婚姻証明書を持参すれば変更を受け付けてくれます。

また、離婚して氏を旧姓に戻したくなった場合には、離婚証明書(Divorce Certificate)を用いることで同様に氏を変更することができます。

もちろん、離婚したからといって旧姓に戻さなければならないということはなく、引き続き元・配偶者の氏を名乗ることも全く問題ありませんし、詐欺的な行為に使うのでなければ、旧姓と両方を名乗っても法的に問題はありません。

婚姻や離婚以外の理由でオーストラリアで名前を変更したい場合は、オーストラリア出生・死亡・婚姻登録事務所(Australian Registrar of Births, Deaths and Marriages)で名前変更の登録申請を行って、証明書を発行してもらう必要があります。

オーストラリアでは氏名の変更にあたって、政府が定める最低限のガイドライン(卑猥・攻撃的な名称、長すぎる名称、文章などは不可)はありますが、比較的自由に氏名を変更することが認められていますので、興味がある方は政府の公式ウェブサイトをご参照ください。

■QLD州政府ウェブサイト
Web: www.qld.gov.au/law/births-deaths-marriages-and-divorces


弁護士:神林佳吾(神林佳吾法律事務所代表)
1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後12年以上にわたって訴訟を中心に応対

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