【保存版】新会計年度スタートした今こそ知りたい!タックス・リターン徹底ガイド2018①

オーストラリアの会計年度は7月1日から翌年の6月30日までです。7月を迎え、会計年度が変わるとタックス・リターンの申告がスタートします。本特集では、2017/18(2018年度)のタックス・リターンの内容に加えて、オーストラリア国税局(ATO)の動向についても解説していきます。
取材協力・文=甘利会計事務所/甘利知子さん(登録税理士・公認会計士)

タックス・リターンとは

タックス・リターンとは、日本での年末調整や確定申告に当たり、オーストラリアでは収入のある人はほとんどの場合タックス・リターンをしなければなりません。以下に主な要件を挙げるので、1つでも当てはまる場合にはタックス・リターンの義務が生じます。

  • 居住者で収入から(金額にかかわらず)源泉徴収されているものがあった
  • インストールメントという税金の前払いをしていた
  • 年間の収入が1万8,200ドルを超えた(年金受給者の場合は別額)
  • 18歳未満で、416ドル以上の不労働収入があった(親が子ども名義で保有する投資)
  • 年度の途中でオーストラリアの居住者になった、または居住者でなくなった
  • 事業を行っている
  • 株、投資ファンドを持っている
  • 非居住者で1ドル以上の収入があった

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タックス・リターンの準備をしよう

まず、タックス・リターンの申告のために準備するものは主に以下の通りです。

  • 還付金を受け取るための銀行口座の情報(BSB、口座番号、口座名義)
  • PAYGペイメント・サマリー(別称Group Certificate)*1―働いた全ての雇用主からもらう必要がある
  • 会計年度内に受け取った銀行の利息*2総額―1ドルから申告が必要
  • 株の配当金の支払い証明書、投資ファンドからの記録、不動産投資やビジネスの収入内訳など
  • 永住者の場合、民間医療保険*3に入っていればそのステートメント
  • 必要経費の証拠(レシートなど)
  • 配偶者の収入
  • パスポートとビザの証明―メディケア*4保険料免除の場合
  • 海外からの収入
  • その他の収入

*1 PAYGペイメント・サマリー】
 PAYGペイメント・サマリーとは、雇用されている場合の収入の証明書です。会計年度のうち働いていた期間、または1年分として雇用主から7月14日までに発行されます。年度中に働いていた全ての雇用主から同書類を受け取ってください。引かれた税金がゼロでも、額面(Gross)の申告が必要です。また、同書類のデータは、雇用主からATOに届けられるので、もし受け取ることができなくても、8月後半になるとATOのポータル・サイトからデータを調べられる可能性があります。

*2 銀行利息】
 銀行利息(1ドル以上)も収入となります。銀行口座の開設時に出し入れする口座に加えて、利息の付く口座を開設しそこにお金が少しでも入っていれば利息を受け取っていると思ってください。1年間の受取利息はネットで合計金額が見れますが、分からない場合は銀行に問い合わせてください。
 また、銀行にタックス・ファイル・ナンバーを届け出ていないと、1回の受取利息が10ドル以上の場合には、税金が源泉徴収(Withholding Tax)されているかもしれません。その税金はタックス・リターンの時に払い戻せる場合がありますので、銀行の記録にTaxという文字があったら年間(7月~6月)で幾ら引かれているか調べましょう。銀行利息のデータはATOのポータル・サイトからも確認できますが、ポータル・サイトのデータは抜けていることもありますので、ご自身で確認してください。

*3 民間医療保険】
 民間医療保険は、永住権保持者のみ対象です。収入によって政府からのリベート額の調整が入る場合があります。年収が一定を超えている場合、同保険のホスピタル・カバーに入っていないとサーチャージが掛けられます。サーチャージの対象になるのは、収入がシングルで9万ドル、ファミリーで18万ドルを超える場合です。

*4 メディケア保険】
 メディケア保険とは国民健康保険のことです。課税収入の2%が保険料として計算されます。テンポラリー・ビザでメディケアの資格がない場合は保険料を免除してもらうことができます。このためには所得税申告前にメディケア・オフィスにメディケア保険料免除証明書を発行してもらう必要があります。18年度のメディケア保険料計算は、課税所得がシングルは2万1,980ドル、ファミリーの場合は合計3万7, 089ドルからですので、それ未満の課税所得の場合は保険料は掛かりません。

経費のリスト・アップ

経費は、一般的に仕事をするに当たっての必要経費と、その他経費扱いが認められている出費を指します。業務によって、また個人によっても変わりますので、一概には言えませんが、以下がその例です。

  • 個人の車を通勤以外の業務に使った場合・仕事で発生した交通費(通勤は不可)
  • ユニフォーム、安全靴(スーツ、一般のビジネス・ウェア、単なる色指定の服などは不可)
  • 仕事をしている上で必要になった教育費(仕事に就くための教育費は不可)
  • 仕事関係の業界紙、参考文献
  • 個人の携帯電話を仕事に使う必要があった場合、仕事分の使用料金
  • PCやタブレットなどの仕事上の使用料金
  • ユニオンの会費、登録費
  • 道具類、メンテナンス費
  • 屋外の業務に必要な日焼け止め、帽子、サングラスなど
  • ♦その他、計上できる出費
  • チャリティー(ATOから税金控除を認められている団体)への募金(2ドル以上、レシートが必要)
  • 学校設立基金(School Building Fund)の寄付
  • 年度中に支払った税理士費用(税理士に面会した際の交通費も可)

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申告方法と申告期限

申告方法

申告方法としては、以下の方法があります。

  • 登録税理士(Tax Agent)に依頼
  • 「myTax」で自分でオンライン申告

「myTax」で自分でオンライン申告
 登録税理士に頼むと料金が発生しますが、正しいアドバイスを受けることにより還付金が多くなるだけでなく、時間の節約にもなります。また、その料金は翌年のタックス・リターンの際に経費として計上できる上、税務署との間にワン・クッション置くことによって、後日税務署とやり取りが必要になった場合に安心です。「myTax」という政府のオンライン・システムは、多くの人が利用するようになってきました。タックス・リターンが必要のない場合のNon Lodgement Adviceも、myTaxから届け出ることができます。myTaxからの申告は、税務署から直接連絡が来ても対処ができる人には良いでしょう。

所得税申告期限
 自分で申告する場合は10月31日までになります。登録税理士から申告する場合は大抵翌年の5月15日まで延長できますが、過去の申告が滞っているなどで、延長できない場合があります。

申告期限を過ぎてしまったら?
 申告義務期間内に申告できていないものは、もう出せないのではなく、一刻も早く出す必要があります。このような場合は自分で出さずに登録税理士に依頼しましょう。知らないうちに罰金が科せられていることもありますのでご注意を。「過去一度も申告をしていないので、10年間分お願いします」という依頼を受けることもあります。遅くても出すことが大切です。

タックス・リターンの申告をすると
 通常2週間ほどでNotice of Assessmentという結果通知が郵送されます。2週間はあくまでも目安で、早い時もあれば、遅めの時もあります。ATOは4週間以内を通常期間と見なしています。還付金のある人には銀行に振り込みがあります。また、追加納税が必要な人の場合、Notice of Assessmentは請求書を兼ねています。
政府のオンライン・サイトである「myGov」に登録している人は、myGovのメール・ボックスに直接メールが来ます。
 Notice of Assessmentは、本人証明の書類として使える大切なものです。あるいは、申告時の住所から引っ越してしまって受け取れないことがないように気を付けましょう。タックス・ファイル・ナンバーを悪用する詐欺もありますので注意が必要です。申告が終わって入金がされた後も、PAYGペイメント・サマリーや領収書など申告時に必要だった書類や、Notice of Assessmentは大切に保管しましょう。基本的には5年間の保管となっています。

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タックス・リターンのしくみ

リターンという言葉を「戻る」という意味で捉えがちですが、これは戻るという意味ではなく、「申告をする」という意味です。

では、税金の計算はどう行うのでしょうか。まず、会計年度中の課税対象となる収入(一部の例外もありますが雇用収入や、個人・パートナーシップ事業収入、銀行口座の受取利息、株の配当、投資収入、その他の収入など)を全て合計します(総収入)。そこから計上できる経費を引いたものが課税所得になります。

総収入- 経費=課税所得(Taxable Income)

課税所得から割り出した税額が、既に源泉徴収などで納めている税金の額より少なければ差額を戻してもらうことになります。一方、既に払っている金額よりも割り出した税額が高くなると、請求書が届いた後、不足分を納税することになります。

課税所得から割り出した税金 源泉徴収された税金 差額戻り(Refund)
課税所得から割り出した税金 源泉徴収された税金 差額支払い

居住者か非居住者か

税務上の居住者、非居住者というのがあります。通常はオーストラリアの市民、永住者、6カ月以上のビジネス・ビザ及び学生ビザは居住者、それ以外は非居住者ですが、必ずしもそうではありません。例えばオーストラリア国外に数年の契約予定で働きに行っても、オーストラリアに家があり家族もいる場合、居住者となることもありますし、オーストラリアに1年以上居ても、家が海外にある場合は非居住者となることもあります。

居住者は、永住者と一時的居住者に分けられ、永住者はオーストラリアのみならず、全世界の収入を申告する必要があります。一時居住者はオーストラリアで発生している収入及び就業収入の申告、非居住者はオーストラリアの収入のみの申告になります。

  • 居住者①永住者→全世界の収入を申告
    ②一時的居住者→オーストラリアの収入及び就業収入(海外向けサービス収入を含む)の申告

  • 非居住者→オーストラリアの収入のみ申告

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タックス・リターンの計算

●居住者のタックス・レート(12カ月居住者の場合)

課税所得(A) 税率 税計算
$1~$18,200 0% $0(無税枠)
$18,201~$37,000 19% (A-$18,200)×0.19
$37,001~$87,000 32.5% (A-$37,000)×0.325+$3,572
$87,001~$180,000 37% (A-$87,000)×0.37+$19,822
$180,001~ 45% (A-$180,000)×0.45+$54,232

※上記には低所得者控除やメディケア Levyは入っていません

低所得者控除を計算に入れると、会計年度中12カ月居住者の場合、1万8,200ドルより下限が上がって2万542ドルまでは税金はゼロになります(今ここで12カ月としたのは、年度途中で居住者扱いが変わっている場合は0%枠の1万8,200ドルが調整されるためです)。

さて、自分は税金が戻ってくるのだろうかという点ですが、上記の計算式で自分の税金を割り出します。また、メディケアの資格がある人は2%のレビーを加えて計算してください。

タックス・レートはスライド式になっていますので、タックス・レートが一段上がっても急に税金が多くなることはありません。

計算例1

以下に、永住者で3万ドルと9万ドルの課税所得の場合の計算をしてみます。

●3万ドルの課税収入の場合
($30,000-$18,200)×0.19=$2,242+$600(メディケア2%分)=$2,842
(実際は低所得者控除が入りますので、若干少なくなります)

●9万ドルの課税収入の場合
($90,000-$87,000)×0.37+$19,822=$20,932+$1,800(メディケア2%分)=$22,732

また、上記の計算をしてくれる以下のウェブサイトもあるのでご活用ください(ただし、居住者のタックス計算に限りますので、非居住者のタックス計算は次の表をご覧ください)。

●非居住者のタックス・レート

課税所得(A) 税率税計算 税計算
$1~$87,000 32.5% (A)×0.325
$87,001~$180,000 37% (A-$87,000)×0.37+$28,275
$180,001~ 45% (A-$180,000)×0.45+$62,685

計算例2

居住者の計算例で計算した金額を、非居住者の場合に当てはめて計算してみます。

●3万ドルの課税収入の場合
$30,000×0.325=$9,750

●9万ドルの課税収入の場合
($90,000-$87,000)×0.37+$28,275=$29,385

計算例1、2の結果を比較してみると、3万ドルの課税所得の場合は非居住者の税金が9,750ドル、居住者は2,842ドルです。また、9万ドルで計算すると非居住者の税金は2万9,385ドル、居住者は2万2,732ドルとなります。

低い所得の場合は、収入に対する割合としての違いが大きくなりますので、差は大きく感じられます(低所得控除は計算外)。ここで割り出した税金+メディケア・レビーの合計と、既に源泉徴収などで納めてある額を比べてみましょう。源泉徴収額が合計より多ければ差額が戻ってくることになり、差額分を支払うことになります。

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ワーキング・ホリデーのタックス・リターンの計算

ワーホリのタックス・レート

課税所得(A) 税率税計算 税計算
$1~$37,000 15% (A)×0.15
$37,001~$87,000 32.5% (A-$37,000)×0.325+$5,550
$87,001~$180,000 37% (A-$87,000)×0.37+$21,800
$180,001~ 45% (A-$180,000)×0.45+$56,210

17年度は、ワーキング・ホリデー(以下、ワーホリ)のタックス・リターンの変更初年度で、更に年度途中から税率の変更があり大混乱でした。18年度は、新方式が丸1年適用されますので、混乱はないと思われます。

ワーホリのタックス計算

雇用主が15%の源泉徴収をしている場合、収入が他になければタックス・リターンをするとプラス・マイナス・ゼロになります。そこで、「ワーホリ・ビザで年間収入が雇用収入のみで3万7,000ドル以内かつ15%の源泉徴収がされている人はタックス・リターンをする必要はない」と、ATOより発表されました。

雇用主がワーホリ雇用の登録していない場合、32.5%の源泉徴収がされているかもしれません。その場合は、差額が戻ってきます。もし、雇用主が源泉徴収をしていない場合は、タックス・リターンで15%支払うことになります。

ワーホリは基本的には非居住者ですが、年度の途中でビザを6カ月以上の学生ビザやビジネス・ビザ、永住ビザなどに変更すると、そこから居住者になります。会計年度内でビザが変わって居住・非居住のステータスが変わった場合、それぞれのステータス期間の長さ及び幾らずつの収入があったかによってタックス・リターンの結果が変わってきます。

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スーパーアニュエーション

スーパーアニュエーション(以下、スーパー)は個人の積立年金です。1カ月の給料として450ドル以上の収入がある場合は、雇用主が給料の9.5%をスーパーファンド(以下、ファンド)に払い込むことになっており、従業員のビザの種類は関係がありません(一部例外ビザあり)。ファンドでは預かっている資金を運用して増やしていきますが、経済状況により、減る場合もあります。

ファンドの口座は自分の物です。銀行口座と同じように自分で管理する必要があります。まだファンドを持っていない場合、雇用主がファンド口座を開設してくれるのが一般的です。自分で開設して雇用主に振込先を指定することもできます。雇用主が開設してくれた場合は、ファンドから手紙が来ますので、ファンド名とメンバー・ナンバーを確認してください。自分のメンバーについて確認できたら、転職しても、新しい雇用主に自分のファンドを指定してそこに振り込んでもらうことができます。ファンドはそれぞれ管理料を取りますので、常に1つのファンドにまとめておいた方が賢明です(ワーホリは下記参照)。

ファンドは、銀行口座と同じように、ネットで自分のファンド口座にアクセスできます。自分のファンドの内容を知ることは銀行口座の内容を知ることと同じように大切です。住所変更や残高の確認や、口座に付随している保険を変更したりできますので、ログインの手続きをしておきましょう。

一時滞在者のスーパー

スーパーは年金の積み立てなので、通常は年齢が60歳になるか、他の特別条件が適応しない限り引き出せませんが、一時滞在ビザの場合、出国してビザが切れると引き出す資格を得れます。引き出す際の税率は通常35%ですが、ワーホリの場合65%が引かれます。ワーホリの高税率は、17年度にワーホリの所得税変更と共に始まりました。

最初はワーホリで、その後学生ビザやビジネス・ビザに変更した場合を考えてみます。ATOの説明では、同じファンドを使ってワーホリの時に入金していた場合は、ワーホリと他のビザの区切りをファンド内で付けられないので、全額に対して65%の税金を課します。ワーホリの時にスーパーを開設した場合、その後他のビザになった時に別のスーパーの口座を開いて口座を分けておくと、ワーホリ分のみ65%となり、他ビザの分は35%の税率となります。

永住者にとってのスーパー

スーパーは老後を支えるために大切なのはもちろんですが、税金面で優遇があるので、それをうまく利用することで永住者にとっては節税にもなります。17年7月1日より、雇用・自営にかかわらずスーパーに追加入金して税控除ができるようになりました。

スーパーの税金は15%ですので、自分のタックス・レートとの差額分が節税されます。ただし、1年に税控除の対象にできるのは2万5,000ドルまでで、これは雇用主からの9.5%の額も含めて計算します。

税金控除に使う場合、ファンドに「税控除に使うという通知」(Notice of intent to claim a tax deduction for super contribution)を送り、それに対する受領通知が必要です。同通知は会計年度を締めた後、翌年の6月30日までに出すことができますので、18年度にスーパーに追加入金済みで税控除を受けたい場合は、タックス・リターン前に受領通知を受け取ってください。

また、低所得者がスーパーに追加入金すると、政府からCo-contributionというスーパーの追加補助をもらえたり、配偶者が低所得の場合、配偶者のスーパーにSpouse contributionとして入金することで税控除を受けられます。スーパーにはルールがいろいろある上よく変わるので、専門家に相談の上判断してください。

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ATOの傾向

今年ターゲットとされているのは、個人の過剰申告経費、そしてキャッシュ・ビジネスの収入申告漏れです。

先日発表された連邦予算では、ブラック・エコノミーの撲滅と個人の脱税摘発のために、新しく多額の予算が向こう4年で組まれています。テクノロジーが発達し、データ・マッチングによりイレギュラーなものはAIがすぐに見つけますので、今まで調査が届かなかったところまで追跡が及ぶのは間違いありません。その意味では通常外のものは全てターゲットと考えても良いと思います。

ATOのデータ・マッチングによる調査

以下は、他の行政や私企業からのデータと照合できる情報です。

  • 給与と源泉徴収
  • 銀行―利息収入、海外送金
  • 政府の社会保険受給者のデータ
  • 移民局
  • 不動産売買の記録―印紙税、賃貸の際のレンタル・ボンドの記録
  • Airbnb、eBay、Uber、他の売上
  • 高級品に掛ける保険金から、所得の調査
  • クレジット・カード会社や、PayPalなどの記録
  • コントラクターの収入

その他、照合できるデータは日々増えています。

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2018年監査ターゲット<個人>

経費の過剰申告

ターゲットとなっているのは、職業別の経費計上平均値より飛び抜けて多い経費計上と、レシート以外の証明を基に計上する経費の2つあります。レシート以外の証明を基に計上する経費には、キロ数ベースの車の経費、出張費、残業食事代、ユニフォームの洗濯代、レシートなしの少額経費、証明の難しい高速代、駐車料金、マーケットで購入した物などが挙げられます。

計上するものは、実際に出費があったものに限ります。証拠が要らない範囲内300ドルの計上でも出費の事実と根拠が必要です。出費の証拠としてはレシートが必要ですが、レシートがなくても計上できるものや、レシート入手が無理なものに関しては、ダイアリーに記帳しておく必要があります。またプライベートと兼ねているものは仕事分のみ計上しますが、その際には計算の根拠を求められます。

Airbnb、eBay、Uberなどのシェアリング・エコノミーの収入

ATOはシェアリング・エコノミーの収入記録も持っています。収入と経費を間違いなく申告しましょう。

キャピタル・ゲインの申告

キャピタル・ゲイン税は持ち株、投資物件などを売って価値が上がったことにより利益が出たものに対する課税ですが、これもタックス・リターン内で申告しますので、忘れないようにしてください。

自分の居住する住居、自家用車などは対象外となりますが、自宅の一部をビジネス用などとして収入を得るために使った場合、部分的にキャピタル・ゲインの対象になる場合があります。これが今年のターゲットとなっています。キャピタル・ゲインの税収は大きいので、ATOは申告漏れの調査に力を入れています。

海外送金

海外送金1万ドル以上については、銀行がATOにレポートしますが、それ以下でも頻繁に送金があるとレーダーに掛かります。元々自分のお金や、家族から借りたりもらったりしたものは、収入ではないので税金は掛からないのですが、その証拠提出を要求されることがあります。

収入としては、海外の顧客宛てに物品またはサービス提供、日本の年金*などは海外収入ですので、申告漏れのないようにしましょう。日本の顧客とのオンライン仲介サイトで買い物代行や、情報を提供しているなど、半分趣味でしていることも、ビジネスとして見なされる場合は記録を取って、申告してください。

*日本の年金は、労働者と国が積み立てるので労働者が積み立てた分は、年金収入に対する控除として扱います。控除額は積立額と年齢から計算します

ライフスタイル

申告では収入が低いのに不動産や車などを購入したり、ぜいたくなライフスタイルをサポートする根拠がなかったりすると、ATOは収入が正しく申告されていないと判断し、調査する場合があります。

監査が入ったら

監査は、申告が止まって結果を出す前に入る場合と、既に結果の出ている過去のものについて入る場合があります。

監査対象についての証拠の提示と説明を求められます。証拠がない場合は却下、説明もそれが収入につながる費用ではない、つまり私用と見なされた場合は却下されます。

まず、記録を取っておくことが大切です。レシートなどはコピーしてデータ保管で構いません。その他、ログ・ブックやトラベル・ダイアリーなども正しく付けましょう。

雇用収入の経費計上については、雇用主がその事実を認めていることが大切です。監査が入ると、ATOは雇用主に問い合わせて確認をします。雇用主には特に証拠は求められませんが、事実の有無と計上している数が妥当かどうかを確認されることがあります。

収入の申告漏れがあると判断された場合、ATOが勝手にあなたの収入から幾らの税金を払う必要があるという判断をします。上記のライフスタイルから割り出したり、ベンチマークから出したりします。

税法は無実を証明しないと有罪という厳しいものなので、ATOからは何の証拠を出す必要はなく、納税者がどう証明するかにかかっているわけです。また、監査の結果が出たから終わりということではありません。自分が正しいと信じて立証できる場合は、異議申し立てをします。監査の結果、追徴されることになった場合、払うべき税金の差額に加えてそれに対する利息、そしてペナルティーが科される場合があります。ペナルティーは申告の間違いが故意なのか、また悪質であるかどうかによって、変わってきます。

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2018年監査ターゲット<中小企業・個人企業>

キャッシュ・ビジネス

今年からしばらく一番のターゲットと言えるでしょう。まずは、ビジネスに対して1万ドル以上の現金支払いが違法になります。

現金売上が多い、または現金のみのビジネスは注意が必要です。ATOは、EFTPOS機の導入を勧めています。キャッシュ・ビジネスの場合、記帳を正しくすることはもちろん、現金の扱いについてもどう管理し、いつ銀行に入れるかなどルールを作っておくことをお勧めします。個人の財布とビジネスの口座が混同しないようにすることが大切です。キャッシュ・ビジネスは、監視されていると思って気を付けてください。

ATOの訪問

ビジネスにATO職員が前触れなしに来ることがあります。まず、ATOの職員が自分のIDを提示し、出入金の記録方法や、雇用者の人数などを聞いてきます。ここで書類の提出を求められることはまずありませんし、職員が来たからといって問題があるわけではありませんが、その時に働いていないはずの人がいたり、ビジネスについて管理者が質問に答えられないと、後で調査のきっかけとなる場合があります。

コントラクター

本来は雇用であるべきところをコントラクターとして契約して、労災やスーパーを払っていない場合、問題になる可能性が大きいです。正しい雇用体制にするよう努めてください。

コントラクターからのインボイスにその人のABN(Australian Business Number)が入っていない場合は、47%の源泉徴収をすることになっています。ABNなしのインボイスに対して源泉徴収せずに支払った場合、経費として落とせなくなります。

また、コントラクターに支払いをした場合の年間レポートを出すことが義務付けられている業種が増えてきています。将来的には全業種になる可能性もあると思います。

ビジネスとして注意すべきこと

今までは中小企業に対してコンプライアンス(法令遵守)のチェックが厳しくなかったですが、これからは中小企業も細部まで管理が必要になってきます。

これまでコンプライアンスを気にしていなかったとしても、「今までこれで来たから大丈夫」ではもう済まない時代となっています。収入の記録、経費の計上の仕方、最低賃金の支払い、給与に対する源泉徴収やスーパーの支払いなど、正しい方法で事業を進めることが求められています。

また、各申告の未提出や遅れも監査につながります。来年の7月1日からは、給料の支払いごとにATOで内容を把握できるシステムが全てのビジネスに適用になります。これで、個人のオンタイムの収入とスーパーのデータをATOが把握することになります。今年は、中小企業が会計業務について見直しとシステム化を図る1年となりそうです。

※この記事はあくまでも一般的な情報提供が目的であり、アドバイスとして利用されるためのものではありません。


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