豪記者にエジプト検事15年求刑

「ムスリム同胞団に協力」の容疑

 「アラブの春」と西側諸国から期待を持って呼ばれた北アフリカ、中東の反政府運動は遂に民主化とは遠い方向に進んでいる。エジプトも反ムバラク大統領運動は、運動のさなかから参加者の男達が取材の女性記者に対して強姦や性的嫌がらせをするなどの事件が続出、暗い影を投げかけていた。その後のムバラク裁判も不透明で民主化にはほど遠かった。一旦権力を掌握した軍政の下で「民主投票」が行われ、ムスリム同胞団が政権を握ったが、当初から反対派の動きが続き、再び政権が覆されると、現政府はムスリム同胞団メンバーに対して600人を超える死刑判決を出すなど、西側諸国の期待とはかけ離れたムバラク独裁政権時代と代わるところのない事態が続いている。ムスリム同胞団はエジプトで勢力を持ち、歴代の腐敗した政府が顧みることのない困窮した国民の教育、医療、福祉など社会運動を活発に行っており、イスラム法による統治を主張するなどしているが運動では暴力を排除しており、比較的穏健な団体で、困窮国民向けの社会運動のため、支持者が多かった。しかし、現暫定政権から非合法団体に指定されている。

 オーストラリア人ジャーナリストのピーター・グレステ氏とエジプト人ジャーナリストら5人は、中東系ながら世界で活動し、かなり中立公正な報道をすることで評価されているアルジャジーラに所属し、取材中の昨年12月にエジプト警察に逮捕され、「エジプトの名誉を傷つけた」容疑と「ムスリム同胞団に協力していた」容疑で起訴されている。しかし、いずれも容疑を否認しており、かつ現在のエジプト政権下では公正な裁判を受けられないとしている。

 6月5日の公判では、検事側がグレステ氏と19人の共同被告に対して仮借ない厳罰を求める論告求刑を行った。グレステ氏の弁護人、イブラヒム・アブデル・ワハブ弁護士は、「最高15年の懲役刑になる可能性もある」と語っている。

 ブリスベンのグレステ氏の両親、母親のロイスさんと父親のジュリスさんはこれまでも連邦政府に対してグレステ氏支援を要請してきたがエジプトの裁判手続きについて、「この裁判は何が起きるか分からない裁判だ」と語っており、グレステ氏の兄弟マイクさんは、「何も期待しないことがもっとも安全だということに気づいた」と語っている。

 ジュリー・ビショップ外相は、「トニー・アボット首相も私もジョージ・ブランディス司法長官もそれぞれエジプトの大臣と連絡を保っている」と語っている。(NP)

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