障害かかえた幼児に内務省の厳しい判断

「モルジブ送還になれば息子は死んでしまう」と家族

 モルジブ出身の家族の2歳になる男児が重度の障害を持つため、オーストラリアからモルジブに強制送還される可能性があり、家族はできる限りの法律を頼って強制送還を防ごうとしている。医療専門家は、モルジブには男児の複雑な障害を管理する医療技術がないため、強制送還されれば男児はかなりの苦痛を味わいながら幼いうちに死ぬことになると考えている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 カイバン・ジャムスハードちゃんは、WA州のバンベリー病院で生まれたが、先天的に重度の血友病があり、しかも病院での出産時に脳損傷を受けるなど複数の障害を負っている。

 そのため、血友病の治療薬として毎週の投薬を必要とする上に脳損傷を原因として痙性四肢麻痺、視力障害、発作性疾患、発育不良などで24時間介助が必要になっている。

 医療専門家は、「モルジブにはカイバンの複雑な健康上のニーズに応える医療体制がなく、そのような土地で生活しろというのは死ねというのと同然」と語っている。

 カイバンちゃんのリハビリテーションを担当している医師が内務省に手紙を送り、「適切な治療がなければカイバンの筋と関節が極端に縮み、脊椎が湾曲し、骨粗鬆症が進行し、病的骨折、股関節脱臼、栄養失調、呼吸不全などの症状が進行し、早死にする恐れがある」と警告している。

 WA州保健局の血友病部も内務省に宛てて、「モルジブにはカイバンの症状を適切に治療する設備もなければ制度も整っていない」と勧告している。

 それでも、内務省は、オーストラリア滞在を認めるだけの十分な理由もなければ同情すべき事情もないと判断している。

 カイバンちゃんのオーストラリア滞在問題を扱っているエストリン・ソウル弁護士事務所の健康障害専門家、ジャン・ゴサード移民エージェントは、「送還されれば子供が苦痛を味わいながら早死にすることは必至ということが同情すべき事情でもなく、十分な理由でもないというのなら、どうだったら同情すべき事情や十分な理由になるのか?」と語っている。

 カイバンちゃんの母親はバンベリーのソーシャル・ワーカーを務め、一時技能短期ビザを持っており、夫や家族もすべてサポート・ビザを交付されている。

 内務省はカイバンちゃんの医療経費は年間$59,000にのぼると推定しており、「家族がその経費を負担できる保証がない」としている。しかし、カイバンちゃんの家族はこの3年間、メディケアなど公共の医療援助を受けることなくカイバンちゃんを育ててきており、内務省の判断とは対立している。ゴサード医師は、「カイバンの申請しているビザは医療の国家援助を受けられないものだから内務省の年間$59,000という推定はまったく意味がない。まったく論理的ではないし、理屈も立たない。まったく愚かな言い分だ」と語っている。

 このような内務省の対応について障害者問題団体は、「オーストラリアの移民法の差別的性格を示す事件だ。人間をコスト対利益計算に引き下げている」と語っている。
■ソース
Two-year-old boy faces ‘painful and premature death’ as deportation looms

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