「捜査の初めから間違っていた。青酸殺人ではない」

「青酸入りコーヒー殺人」裁判を2人の医師が法廷で批判

 オーストラリア人のジェシカ・ウォンソさんが、喫茶店で友人のミルナ・サリヒンさんのアイスコーヒーに青酸を入れ、殺害した容疑でジャカルタで進められている裁判で、オーストラリア側の専門家が証言席に立つことを拒絶され、一旦パスポートを取られてオーストラリアへの帰国を妨げられたが、その直後にオーストラリアへの強制送還措置を受けている。

 追放された専門家は、「ビデオで見たサリヒンさん死亡の様子は青酸によるものではない。また、検視解剖でも青酸の痕跡も見つからなかった。心不全などの原因を捜査するべきだった」とジャカルタでの裁判を批判している。

 ジャカルタでの裁判では、この証人が、検事側の訴状の根幹をなす法医学的な証拠を批判したため、混乱状態になり、判事が、「証人は死因に疑義を呈して裁判を一からやり直しにすべきではない」と発言する始末。

 ジャカルタのRSCM病院の法病理学者、ジャジャ・スリャ、アトマジャ医師は、「被害者から採取したサンプルには青酸反応が出なかった。胃にも体内にも青酸は入らなかった」と語り、捜査の初動から間違っていた。しかも総合的な検視解剖さえ行われなかった」と証言している。

 また、オーストラリアの法病理学者、ベン・ベン・オン医師も裁判で同じような証言をしたところ、インドネシアから国外追放されてしまった。オン証人は、喫茶店の防犯ビデオに映っているサリヒンさんがアイスコーヒーを飲んですぐに倒れる様子を調べ、「コーヒーを飲んでから倒れるまでの時間が短すぎる。毒が体に回る時間さえなかったはずだ。青酸ではないのではないか。自然死を含め、他の死因を考えるべきだ。しかし、検視解剖も行われておらず、自然死ではなかったとすることはできない」と証言した。

 しかし、法廷で検察側が、オング医師が労働ビザではなく、観光ビザで入ったことを取り上げ、それ以上の証言を妨げようとした。しかも、翌日、オン医師がジャカルタのスカルノ=ハッタ空港から出国しようとしたところを止められ、旅券を取り上げられた。さらに翌日になってオン医師は、「今後最低6か月はインドネシアに入国を禁ずる」措置を受けて国外追放されている。そのため、6か月以上、裁判で証言することができなくなった。

 検事、判事、弁護人の間で白熱した裁判になり、遂にはビンサール・グルトム判事がアトマジャ医師の証言に対して、「その法医学的証言には興味がない」と発言する始末で、同判事が予断をいだいていることをうかがわせている。
■ソース
Cyanide murder: Chaotic scenes in Indonesia as witness questions prosecution’s key evidence

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