麻薬組織、高齢障害者を運び屋に

弱者を「死刑国」からの密輸に使う
ABCテレビの時事番組「7.30」は、中国から大量の覚醒剤を持ち出そうとした高齢男性が中国で逮捕され、獄死した事件の遺族が、「父は高齢障害者。ドラッグ・シンジケートが父をだまして手先に使った。父は中国で亡くなり、シンジケートは未だに無傷」との訴えを放送した。
ABC放送の調査によると、ゴールドコースト出身の障害者年金受給者ジョン・ウォーウィックさん(64)は、2014年7月に広州国際空港からオーストラリアに向けて出国しようとしたところを逮捕され、荷物の中から1.9kgのメタンフェタミン、通称アイスを押収された。
ウォーウィックさんの家族は祖父が国際的なドラッグ・シンジケートに利用されていたとも知らず、これまで事件をひた隠しにしていた。娘のアマンダ・デービスさんは、「父が逮捕された時、父が子供や孫の顔を見られなくなるような危険を冒すはずがないと思った。まるでホラー映画みたいだったが映画と違って現実には終わりがなかった。ウォーウィックさんは、カー・ディーラーの財務マネージャの仕事をしていたが健康を害し、退職して以来10年間障害者年金を受けていた。片眼失明、心臓疾患、2型糖尿病、痛風を患っており、ほとんど動けない状態で、娘と前妻のローレル・ウォーウィックさんの世話を受けており、デービスさんは、「父の脚は黒ずんでいたし、歩行補助具でかろうじて歩ける状態だった」と語っている。
重篤な障害で金に困っていたウォーウィックさんはインターネット詐欺に引っかかり、巧妙な作り話に乗せられて2度中国に渡り、その度にDVDプレヤーをオーストラリアに持ち帰るよう依頼されている。その2度目のDVDプレヤーにアイスが隠してあり、ウォーウィックさんは逮捕された。
かつて米軍付弁護士としてガンタナモ湾米軍刑務所に拘置されていたデビッド・ヒックス元被疑者の弁護を務め、除隊後オーストラリアに渡って、「海外で拘留されているオーストラリア人」を支援する団体を設立したマイケル・ダン・モリ弁護士は、「詐欺犯罪者は孤独な人や金に困っている人を狙って運び屋に仕立てる。大きな話をして、最後に、『ついでにDVDプレヤーを持って帰ってもらえるか?』と言うようなことを依頼する。つい気軽に引き受けてしまうが、組織の狙いはそこにある」と語っている。
ウォーウィックさんは広州の軍警病院に収容され、領事館員が2度訪れた後、ウォーウィックさんの容体が悪化した。デービスさんは、「父は病院に2か月入院し、病院ではヨードを与えられたが、父はヨード・アレルギーだった。その後6日間何も食べられない状態だった。外務省に連絡したところ、誰かを病院に行かせるという返事だったが、実際には誰も父を訪れていなかった」と語っている。ウォーウィックさんは9月2日に亡くなっている。
中国ではオーストラリア人が11人、死刑相当のドラッグ密輸容疑で拘留されているが、そのうちの数人は知能障害または精神障害でインターネット詐欺に引っかかって運び屋をさせられた疑いが濃い。また、連邦警察(AFP)も、ウォーウィックさんのような例があり、西アフリカを元締めとするシンジケートがシドニー、メルボルン、アデレードで暗躍していることを認めている。
■ソース
Crime syndicate duping elderly into ice trafficking uncovered after grandfather’s death

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