アボット豪首相、再びイラクに派兵用意

再び宗教・民族武力対立高まる

 イラクはイスラム教内のスンナ派とシーア派の対立が根強くあり、シーア派は世界的には少数派だがイラク国内では多数派を占めている。さらに北部はクルド人が南部の多数派民族アラブ人と対立している。イランとの戦争ではアメリカは世俗主義バース党のサダム・フセイン政権を支持し、フセイン政権の生物兵器、化学兵器などはアメリカやドイツから輸入された物だった。また、米英豪3国主導のイラク侵攻時もフセイン政権がイスラム系テロ集団アル・カイーダに活動を許している、大量破壊兵器を隠しているとの情報を根拠としたが、フセイン政権とアル・カイーダとは仲が悪いことはよく知られていることだった。また、大量破壊兵器に至っては未だに見つかっていない。フセイン政権はこのように不安定なイラク国内を強権でまとめていたが、西側諸国による侵攻は、このタガを外す結果になり、ジョージ・ブッシュ大統領が米艦船上で「任務完了」宣言をして見せたが、その後もテロ活動、武力衝突が続き、米英豪を後ろ盾とするヌーリー・マーリキ暫定政権もできたが、政権内部の腐敗も指摘され、西側諸国がイラクから撤退した後も国内の安定統治が不可能な状態だった。
 6月10日には、アル・カイーダ系の過激派でシリア内戦では反大統領側で特に暴力的な性格で怖れられているISISの団体がモースルの町を攻撃し、ほぼ全面的に掌握した。そのため、市民はモースルからの避難を続けており、マーリキ暫定政権もアメリカにモースルのISIS攻撃を要請した。バラク・オバマ米大統領は、「決定までに数日かかる」と語っていたが、オバマ大統領と会談したトニー・アボット豪首相は、「豪国防軍部隊を再度イラクに派兵しなければならないかもしれない。イラクの情勢は急激に悪化しており、深く憂慮に耐えない。アル・カイダ・タイプのグループがイラク国内のかなりの地域を掌握するようになる現実的な可能性もある。この情勢を憂慮するアメリカの判断は正しいと思う」と発言した。

 もともと保守連合は国権主義的な傾向があり、それに伴い軍事への嗜好が強い。(NP)

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