幸せワイン・ガイド@オーストラリア「記念年のワイン」

ワインの産地、ブドウ品種名などの表記は、オーストラリア連邦政府のワイン振興団体であるワインオーストラリアの基準に合わせています。

今月のテーマ:記念年のワイン

日豪プレスが発行40周年を迎えました。結婚、出産、就職など、誰しも「人生の節目となる年」がありますね。つい最近もまた、「出産祝いに生まれ年のヴィンテージのワインを買いたい」というお問い合わせを頂きました。今回は「記念年のワイン」の買い方についてお話ししましょう。

そもそも「ヴィンテージ」って何?

ジーンズやレコードのように、「古い」「アンティークの」あるいは「貴重な」という意味で使われる言葉ですが、もともとヴィンテージとは、ワインを造るためのブドウを収穫した年のことです。通常、ワインはブドウが収穫された後選定され、圧搾、発酵、熟成を経て瓶詰めされ、時には更にそこから熟成を経てお店に並びます。この期間はどんなに短くても半年から2、3年、時には5年以上の歳月を経ることになります。

南半球のオーストラリアでは、既に2017年のヴィンテージのワインが買えるようになりました。今年初めの秋に収穫されたブドウが既にワインになったわけですが、現時点で買えるものは軽やかな白ワインやロゼなど、若々しいフレッシュなうちに飲むスタイルのワインがほとんどです。今の時点で飲める17年のワインは、生まれたての赤ちゃんと同様、フレッシュで爽やか。新たな命の誕生を、ご家族で祝うテーブルにはぴったりですね。

ブドウの収穫後、さまざまな工程と歳月を経て、熟成力のある骨格を持つワインが完成する
ブドウの収穫後、さまざまな工程と歳月を経て、熟成力のある骨格を持つワインが完成する

ただし、生まれ年のワインを買って、「お子さんが成人する年までとっておきたい」という場合は、そのお子さんが2歳から5歳ぐらいになるまで待たなくてはいけません。というのも、20年(オーストラリアでは18年)後も飲めるワインともなれば、ほとんどの場合x市場には出回るまでにヴィンテージから最低2~5年は掛かるからです。誤解されがちなのですが、「ワインであればどれでも長く待てば待つほどおいしくなる」というわけではないのです。20年の熟成力のある骨格を持つワインを造るのには時間が掛かり、お値段もそれなりに高いものとなります。

記念にふさわしいワインは?

では、まずは欲しいワインをリサーチするところから始めましょう。究極を求めるなら、オーストラリア・ワインの最高峰である「ペンフォールズ・グランジ」や「ヘンチキ・ヒル・オブ・グレイス」がふさわしいワインです。最新のヴィンテージなら700~850ドル程度で販売されています。保存状態を良く保てば20年どころか、30年、40年と生きることのできるワインです。これらのワインの今リリースされている最新ヴィンテージは2012年ですから、単純計算すると2017年のヴィンテージは今から5年後には買えることになりますね。


もちろん、もっと手の届きやすい値段でも、大事に保存すれば20年熟成できるワインはたくさんありますのでご安心ください。ペンフォールズの“ベイビー・グランジ”と呼ばれる「Bin389」、ウィンズ・クナワラ・エステート(Wynns Coonawarra Estate)の「ブラック・ラベル・カベルネ・ソーヴィニョン」、白であればジアコンダ(Giaconda)や、ルーウィン・エステート(Leeuwin Estate)の「アート・シリーズ」のシャルドネ、ティレルズ(Tyrrell’s)の「ヴァット・ワン・セミヨン」、甘口ワインであればデ・ボルトリ(De Bortoli)の「ノーブル・ワン」などがお薦めです。

ただし、ワインを一般の家庭で長期保存するのは実際なかなか大変です。直接日光の当たらない、温度や湿度変化の極力少ない環境、理想的にはワイン・セラーの中で文字通り静かに寝かせておかなくてはいけません。日当たりの良いリビング・ルームの本棚に置きっぱなしで埃をかぶっている、というのが最もやってはいけないことです。大事なワインの保存には、ぜひ細心の注意を払ってください。

古いヴィンテージ・ワインの買い方

現時点で古いヴィンテージのワインを探したい時はどうすれば良いのでしょう。大手のチェーン店ではなく個人経営のワイン・ショップを訪ねる、あるいはオーストラリアではLangton’sやGrays Onlineといったワイン・オークション会社を通し、個人のコレクターが売りに出しているワインを買うことができます。保存状態にはバラつきもあり得るので、コルクの状態、目減りの度合いなどに注意し入札しましょう。長い熟成を経たワインは、時間と共にコルクの繊維を通して目減りするのが通常ですが、この度合いが少ない方が劣化している可能性が低くなります。なお、オークションの場合には、落札価格に更に「バイヤーズ・プレミアム」という手数料が加算される場合がありますのでご注意ください。

ある時から自分と同じ年月を過ごしてきたワインを開けるというのは、やはり格別な気持ちになるものです。特別な年のヴィンテージのワイン、ぜひ探してみてください。

*今月のお薦めワイン*
特別な時のための特別なワインを

「ベイビー・グランジ」と称される1本

Penfolds Bin 389 Shiraz 2012/$95~
Web: www.penfolds.com
生まれ年のワインを節目の誕生日に

毎年違うラベルにも特別感のあるワイン

Leeuwin Estate Art Series Chardonnay 2013/$98
Web: leeuwinestate.com.au
白ワイン好きな方の節目に

ワイン・ショー常連の貴腐ワイン

De Bortoli Noble One Botrytis Semillon 2014/$56~
Web: www.debortoli.com.au
結婚記念日に


<著者プロフィル>
フロスト結子
◎日本人としての合格者はまだ少ないワインの国際資格WSET® Diploma in Wine & Spirits及び日本酒のAdvanced Certificateを取得。日本でワイン関連商社の貿易業務に携わった後、2009年オーストラリア人の夫との結婚を機にシドニーへ移住。現在はオーストラリア国内大手オークション会社であるGraysOnlineのワイン部門でカテゴリー・スーパーバイザーとして勤務する傍ら、フリーランスとしてライティング、ワイン関連の翻訳、市場調査などで精力的に活動中。ワインのコメントは「とにかくおいしそうに書く」がモットー。Web: auswines.blog.jp

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る