お尻、垂れてない?

フィジオ セラピスト に聞こう

体の痛み改善法


第29回:お尻の筋肉──身体を動かすエンジン


▶▶▶フィジオセラピーは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医に紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!
 

明けましておめでとうございます。突然ですが皆さん、お尻の筋肉を触ってみてください。ふっくらしていますか?ぺちゃんこですか?では次に、左右のお尻にギュッと力を入れてもう1度触ってみてください。どうですか?カチカチの硬い筋肉に触れるでしょうか。それとも、厚みが少なく、あまり硬くならないでしょうか。

人間は進化の過程において、獲物を追いかけて走ることによりお尻の筋肉(臀筋)を発達させてきました。臀筋は、身体が直立の状態から歩くために必要な筋肉です。また、上半身を支え、腰を含め胴体(体幹)を安定させる役割もあります。ですので、お尻の筋肉は人間が2足歩行をする動物として最も重要な役割を担う筋肉だと言えます。

アフリカのカラハリ砂漠にはサン&コイ族という狩猟民族がいます。彼らは昔ながらの生活を続けており、1日中獲物を追いかけ走り回っているため、臀部の筋肉はとても発達しています(*)。私たちの生活では彼らほどお尻の筋肉は必要ないと思われますが、自宅や職場では座ってコンピュータに向かい、通勤には電車や車という生活では筋力が低下するのも当然と言えます。


*お尻の筋肉もとても発達していますが、実際は エネルギー源としての脂肪分をお尻に蓄えています。

お尻の筋肉が衰えると、脚力が弱くなり、関節への負担が増え、膝や股関節の痛みの原因になることもあります。また、お尻の筋肉がクッションの役割を果たせず、臀部の痛みや腰痛を引き起こすこともあります。痛みがあれば、それに伴い運動量も低下するのでさらに筋肉は衰えます。この悪循環が続くと、最終的には寝たきりになってしまう可能性もあります。

お尻の筋肉は、人間本来の動きを日常的に行っていればそれなりに維持できます。普段から意識的に早歩きをする、ウォーキングの際は平坦な道より上り坂を選ぶ、エレベーターより階段を使うなど、歩く距離を増やすとともに少々負荷をかけるように心がけましょう。仕事中も資料は立ちながら読むなど、工夫できるとなお良いでしょう。

骨や関節は加齢とともに衰えていきます。しかし、筋肉だけは何歳になっても使った分だけ正直に反応して強くなってくれます。2014年、新年の誓いにぜひ健康管理を最重要項目に掲げて、運動する時間を持つよう心がけてみてください。


 

奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)
 

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
 

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