【OLD】妊娠·出産特集 これからの家族計画を考えよう オーストラリアでのマタニティライフ

これからの家族計画を考えよう
妊娠・出産特集

家族が1人増えることは、これまでの生活が大きく変わる出来事だ。それに加え、海外での妊娠・出産は、診察から出産後のケアまで日本と違うことが多く、戸惑う場面もあるだろう。妊娠前からできることや出産までの流れを知ることで、これからの家族計画を余裕を持って考えることができる。ストレス・フリーな妊婦生活を送れるよう、Dr.セムとDr.メルの専門家2人の記事協力による本特集を基に準備をしていこう。(文=恵理子ヒューム)

Dr.セム・プロフィル◎産婦人科医として19年のキャリアを持つ。妊婦とその家族とのコミュニケーションを大切にし、個々に合わせた出産ケアを提供している。高い技術を必要とする子宮内膜症治療などの婦人科腹腔鏡手術やロボットを駆使した術式に精通しており、現在は産婦人科「Dr Elrich Sem」でプライベート医師として活躍

Dr.メル・プロフィル◎一般医として幅広い症例を診てきた女性医師。現在はサウスポートの日本語医療センター(43ページ広告参照)で活躍し、プライベートでは2児の母でもある。GPシェアード・ケアや、身近に起こり得る性病や婦人病にも女性ならではのアプローチを行い、患者への不安を最小限に抑えるケアを行っている

妊娠前からできること

妊活を始めるに当たり、まずは検査や予防接種が重要となってくる。男性の場合は、百日咳の予防接種、家族に遺伝性疾患(嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)、ヘモクロマトーシスなど)がある場合は遺伝検査が勧められる。

女性は、妊娠に影響がある感染症(B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒)の検査を始め、はしか、おたふく風邪、風疹(ふうしん)、水疱瘡(みずぼうそう)、ジフテリア、破傷風、百日咳の予防接種の履歴を調べておき、医師と相談し不足分を接種しておきたい。特に風疹は妊娠中の予防接種ができないため、母子感染のリスクを減らすためにも妊娠前に確認することが大切となってくる。他にも子宮頸(けい)がんの検査や、ビタミンDの値を調べる血液検査などが奨励される。

また、妊娠において必要となる栄養素は妊娠前から積極的に摂っておきたい。男性用の不妊治療用サプリメント「メネビット(Menevit)」を始めとしたマグネシウム、亜鉛のサプリメントは精子の質を上げることが期待されている。射精される精子は3カ月前に作られた精子であるため、妊活を行う3カ月以上前からサプリメントを摂ることが勧められている。

女性は、妊娠前から妊娠初期の3カ月間は特に葉酸のサプリメントを摂ることにより、神経管欠損症や二分脊椎といった疾患を予防できるとされている。他にもヨウ素や、血液検査の数値の結果によっては、ビタミンDや鉄剤の服用が求められる。一方で、ビタミンAの過剰摂取は胎児の成長に有害となり、ひどいニキビの治療薬などに含まれているため注意が必要。服用している薬などで不安がある人は、ささいなことでもドクターに相談しよう。

そして、男女共に禁煙する、飲酒を控える、適度な運動(1日30分程度)、バランスの取れた食事を心掛け、特に女性は妊娠前からカフェインを摂り過ぎないように習慣付けておくことが大切だ。

不妊

「不妊」とは、一般的に排卵時期に定期的に性行為を行っていても12カ月以上妊娠しないことが定義とされており、その場合、GPへの診察と、疾患が見つかった場合は治療を行うという流れになる。

不妊に関する疾患は、男性では無精子症、精子減少症、精管狭窄(きょうさく)症などがあり、女性の場合は、子宮筋腫(きんしゅ)や卵巣機能の低下、多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)、性感染による慢性の骨盤癒着などがある。また、不妊女性の70%は子宮内膜症を発症しているというデータもあるほど、不妊にまつわる疾患は身近な問題であるため、日頃からの検査と早めの治療をしておきたい。治療には産婦人科指導の下での排卵誘発剤の使用や、子宮内膜症に関しては腹腔鏡手術を行う場合もある。

不妊治療に並行して、人工授精(IUI)、体外受精(IVF)を行う場合はクリニックにより費用は異なるが、IUIは1回約1,000ドル、IVFでは6,000ドル~8,000ドル以上の費用が掛かる。オーストラリア永住者で、メディケア加入者は費用の一部がカバーされ、メディケア・セーフティー・ネットという制度で、更に費用を抑えられる場合もある。

中絶

QLD州では、母体の身体的・精神的健康が維持できない場合に限り、合法的な妊娠中絶が認められている。中絶手術を行う場合は「人工中絶クリニック(Abortion Clinic)」へ受診し処置を行うこととなる。投薬での中絶方法や手術を行う場合は、出血、健康な組織を誤って傷付けてしまうことや、子宮頸部が弱くなり将来流産しやすくなるなどのリスクもあり、肉体的・精神的負担は大きくなる。GPからの紹介状は不要で、直接クリニックで受診することが可能だ。

流産

妊娠検査薬によって早い段階で陽性判定が出ても、エコー検査で胎嚢(たいのう)が確認できない化学流産や、エコー検査で胎児の心拍が確認できなかった場合、稽留(けいりゅう)流産となる。稽留流産では基本的に自然に胎児が排出され、出血が止まるまで待つが、場合によっては胎児を取り出す子宮内掻爬(そうは)手術を行う。通常の生理が再開することにより次の妊娠が可能となる。

35歳以下で同じパートナーとの間で3回流産、35歳以上で2回の流産が起こった場合は、遺伝子疾患や血液凝固障害などの流産の原因となる疾患の有無を調べるための検査が勧められている。

妊婦検診の流れ

妊娠検査薬で陽性判定が出た場合、まずはGPへ診察に行き、妊娠の確認を行う。その際に並行して出産する病院の選択をし、GPからの紹介状の手配を行う。パブリック病院での出産の場合、病院でのミッドワイフ(助産師)との面会を数回行い、GPでの検診は28週までは月に一度、その後36週まで2週に一度、36週から出産までは毎週の診察となる。主に妊娠中に行う検診は以下の通りとなっている。

  1. GPへ診察
  2. 身体検査、血液検査
  3. 6週ごろ、最初のエコー検査(妊娠の確認)
  4. 10~12週、NTスキャンのスクリーニング検査
  5. 20週、エコー検査(胎児の奇形の有無確認)
  6. 20~22週、血糖値を測る検査(Glucose Tolerance Test)
  7. 36週、B群連鎖球菌の検査(Group B Streptococcus Screening)

パブリックとプライベート・ホスピタルの違い

プライベート・ホスピタルでは、妊娠中から出産まで同じドクターが診察し、検診の度にエコー検査を受けることができるため、胎児の発育状況や異常の発見率が上がるという面で安心材料となるだろう。ただ、メディケアで基本的にカバーされるパブリックに比べ、自己負担分の費用が発生する。

GPでもスクリーニング検査などのオプションがあるが、基本的には妊娠40週の間、正常妊娠の場合であればエコー検査は2回だけとなっている。通常41週でGPの検診は最後となり、その後パブリック病院での検診、必要な場合は誘発剤を使用したお産の予約という流れになる。また、母子共に健康な場合は出産から産後のケアは助産師が行い、出産後の入院期間は1~2日間のみ。オーストラリアでは体重の増加に対して日本ほど厳しく言われることはない。

妊娠中の検査

妊娠初期に行うNIPT(Non-Invasive Prenatal Testing)と呼ばれる血液検査は、胎児の遺伝的な異常を確認することができ、性別の判別も可能な検査。これはスクリーニング検査であるため確定診断ではないが、希望があれば誰でも調べることができる。費用は自己負担となり300~400ドル程度となっている。

エコーのスクリーニング検査によってダウン症や遺伝子異常が疑われる場合には、羊水検査が勧められている。羊水検査は16週以降に行われ確定診断ができる。低リスクではあるが、羊水漏出や、流産、感染症を起こす場合もある。

GPシェアード・ケア

パブリック病院とGPが協力し合い妊婦検診を行うのがGPシェアード・ケア。血液検査や主な定期検診をGPで行い、パブリック病院へは出産までの数回のみ訪問するだけで済むため、パブリック病院の混雑を軽減させる目的で実施されている。ハイ・リスクな妊娠と診断された人は、シェアード・ケアは選択できない場合もあるが、通常は自分で選択することが可能。

シェアード・ケアを担当できるGPの医師は資格を要することや、患者のカルテは電子的に送られ、病院間で密に連携を取ることができているため安心して検診を受けることができるだろう。

妊娠中の急な出血などにもGPが対応するが、症状が重篤な場合や、処置が必要となる場合は総合病院への紹介となる。状況を見て緊急事態には直接、総合病院の緊急外来へ行くことが賢明である。陣痛や破水が始まった場合も、直接出産予定の病院へ連絡しよう。

避妊について考えよう

妊娠を望んでいない場合、男女共に日頃から避妊はしっかりとしておきたいもの。女性がピルの服用や避妊具の装着をしている場合でも避妊の確立は100%ではなく、性感染症を防げないこともある。男性側が責任を持って必ずコンドームを着用することや、永久的に子どもを作らない場合は精管結紮(けっさつ)術もオーストラリアでは一般的に行われている。

※女性の避妊方法

  • 低用量経口避妊薬:排卵を抑え妊娠を防ぐ物。月経痛や不規則な月経のサイクルを正しくする効果もある。毎日必ず服用する必要があり、初期には副作用が出る場合もある。
  • 子宮内避妊器具(IUD):銅付加IUD(Copper IUD)は精子の働きを抑制する作用を持ち、ホルモン付加型のIUDは排卵を抑制する働きを持つことから、出血量を抑えることができ、避妊効果は99%以上にもなる。2~5年間、取り換える必要がなく、妊娠を望む場合にはIUDを取り出すことにより再び妊娠が可能となるため、長期間の避妊に適している。
  • インプラノン:長さ4㎝、直径2㎜程のスティックを腕の皮下に埋め込むタイプの物で、排卵を抑えるホルモンの働きによって妊娠を防ぐ。最長3年間は取り換える必要はなく99%以上の効果があるが、取り外せば妊娠可能。日本ではいまだ認可されていない。

その他にもホルモン注射やペッサリー、永久的に子どもを望まない場合には卵管の結紮術などの方法もある。医師やパートナーとよく相談し、自分に合った方法で避妊を考えよう。


出産前から知っておきたい!
センターリンクの補助内容

妊娠中から出産後まで、育児休暇中の所得の減少や、チャイルド・ケアなどに掛かる出費は家計に大きな負担となってくるが、その際にぜひ知っておきたいのがセンターリンクの社会保障制度だ。出産時や保育園に掛かる費用の負担を少しでも軽減できるよう、ここでは補助内容や申請方法などについて紹介する。(文=恵理子ヒューム)

※本記事にある支給額や受給条件の情報は2018年9月時点のもので、常に変更される場合があるため、申請の際にはセンターリンクのウェブサイトで要確認。

Family Tax Benefit A(FTB A)

育児給付金で、他の補助金のベースになるものであるため、子どもができたらまず「Family Tax Benefit」(以下、FTB)を申請することから始めよう。

FTB Aでは、ベースの金額として子ども1人に対して58.66ドルの補助が出る。家庭の収入と子どもの人数によって補助の額は変動する。補助金を受け取るペースは、2週間に1度か、年度末に一括、またはベースとなる金額を2週間に一度受け取りつつ年度末に残額を受け取る3種類あり、各自で選択が可能だ。また、FTB Aを受給している人で収入が8万ドル以下の場合は、年度末にFTB A Supplementが子ども1人につき最高737.30ドルまで一括で支給される場合がある。こちらも、家庭の収入や子どもの人数により補助額は異なり、子どもが定められた予防接種を受けていることや、4歳までの健康診断を受けていることなども補助の条件となる。

収入が5万3,728ドル以下の場合は、0~12歳までの子ども1人につき2週間で182.84ドル、13~15歳または16~19歳の学生の子どもがいる場合は237.86ドルの最高額の補助が出る。

収入が5万3,728~9万4,316ドル、9万4,316ドル以上の場合は収入が1ドル上がるごとに20~30セントの減額がされる。詳細はウェブサイトから計算するか、センターリンクへ問い合わせを。

Family Tax Benefit B(FTB B)

一番下の子どもの年齢と、家庭の収入によって補助額が変わるが、定められている最高額は、一番下の子どもの年齢が0~5歳であれば155.54ドル、5~18歳の場合は108.64ドルとなっている。「Parental Leave Pay」(後述)を受給している間はFTB Bの補助は受けられず、受給方法は2週間に一度か、年度末に一括で受け取る2通りとなっている。タックス・リターン後の収入状況の確定により、自動的に補足分としてFTB B Supplementが最高357.70ドルまで一括で支給される。

FTBの受給資格

  • 子どもの世話を35%以上していること
  • 永住権または市民権を持っている
  • 所得審査を受ける

FTB A

  • 子どもの年齢が0~15歳
  • 16~19歳までのフル・タイムの学生がいる

FTB B

  • メインとなる収入が1つの家庭
  • 片親、もしくは両親がおらず祖父母による子育て

Parental Leave Pay

勤務形態にかかわらず、出産した日からさかのぼって13カ月の間に10カ月間(合計330時間以上)、勤務期間中に8週間以上の休みを取らずに働いていた母親に給付される補助。最長18週間、平均で週719.35ドル(税別)の給付が受けられる。

受給できるのは出産後だが、子どもが産まれる3カ月前から申請が可能となっているため、余裕を持って申請しておくと良いだろう。出産後は52週間後まで、最長の18週間分の補助を受ける場合は出産後34週間後まで申請が可能だ。Dad and Partner Payと併せて受給することができるが、Newborn Upfront PaymentとNewborn Supplementを受給する場合は補助の対象外となる。

受給資格

  • 昨年度末の課税所得が15万ドル以下の収入である場合
  • Parental Leave Pay受給の際に働いていないこと

New born Upfront Payment and Newborn Supplement

以前のベイビー・ボーナスが廃止となり、新しく導入された補助。New born Upfront Paymentは、新生児1人につき一括で550ドルの補助が出る。

Newborn Supplementは、子どもの人数、家庭の収入によって受給額が変わるが、初めての子どもには最高1,649.83ドル、2人目からの子どもには最高550.55ドルが13週にかけて支払われる。FTB Aの受給資格があることや、同じ子どもに対してParental Leave Payをもらっていないことなどが条件となる。

Dad and Partner Pay

新生児の父親、またはパートナーが有給ではなく、無給で育児休暇を取った場合に申請することができる最低賃金が保証された補助。最長2週間、週719.35ドルの補助を受けることができる。個人の所得が15万ドル以下であることや、申請前の13カ月間に十分な時間働いていたことなどが対象となる。

Parenting Payment

子どもの養育費用の補助として親や保護者に支給されるもの。独身で8歳以下の子どもを育てており、2週間ごとの総収入が2,139.85ドル以下である、またはパートナーがいて6歳以下の子どもを育てており2週間でトータル208ドル以下の収入だと満額の補助、1,940ドル以下の場合は収入に応じた生活保護費が補助される。補助額は子どもの人数、家庭環境や所得、所有している資産の審査によって異なり、出産前の申請は不可となっている。

Child Care Subsidy

2018年7月にChild Care RebateとChild Care Benefitが終了し、Child Care Subsidyへ一本化された。チャイルド・ケアに掛かる費用は1日に100ドル前後にもなり、家庭の負担が大きくなっているのが現状だ。この補助金は直接的に各保育所へ支払われ、保育料から補助金を差し引いた金額が各家庭へ請求される仕組みとなっている。少なくとも2週間で2日間、または14%以上子どもの世話をしていることや、認可された保育園に通っていること、または身体障がいのある14歳から18歳までの子どもがいることなどが条件となる。

申請の流れ

申請の際に、家庭の収入額、パートナーの在留資格、申請者とそのパートナーのタックス・ファイル・ナンバー、銀行口座番号、またオーストラリア国外からの移住者であれば、パスポート番号やオーストラリアに住み始めた日などの情報も必要となってくるため、事前の準備を忘れずにしておこう。センターリンクのオフィスへ直接行くか、センターリンクのウェブサイトから申請を行うことができる。オンラインでの申請の場合、基本的な流れは以下の通り。

  1. センターリンクのウェブサイトへアクセス
  2. 「myGov」アカウントを作成しサイン・イン
  3. Make a claimからStart a new claimをクリック
  4. Familiesのカテゴリーから申請項目を選択
  5. 質問事項の記入しSubmit
  6. 「myGov」のメール・ボックス内をチェック
「Express Plus Centrelink」の携帯アプリ
「Express Plus Centrelink」の携帯アプリ

Express Plus Centrelinkアプリ

 センターリンクのオフィスや電話での手続きには待ち時間が長いというデメリットもあり、なかなか時間が取れない人には、補助内容の確認や収入の増減などの変更手続きも簡単に行える携帯アプリがお薦め。外出先からセンターリンクにアクセスしたい時、いつでも見ることができるため、携帯に入れておくと便利なアプリとなっている。

Centrelink Web: www.humanservices.gov.au/individuals/centrelink


先輩ママに聞く!
オーストラリアでの妊娠・出産体験記

初めての妊娠・出産は、期待に胸が膨らむ反面、検診方法を始め日本との制度・環境における違いの多さから、誰しもが戸惑いや不安でいっぱいになるもの。そうした戸惑いや不安を解消すべく、オーストラリアで妊娠・出産を行った読者の体験記を紹介する。(文=上野瞳)

体験談①:リリコさん(2児の母)プライベート病院での出産

出産への不安が人一倍あったというリリコさん。1人目はプライベート病院で出産するため計画的にプライベート保険に加入した。出産までの診察を含め1人の医師に診てもらいたいという思いがあったからだそうだ。

保険については、出産費用も適用になるものを探し、出産日からさかのぼって1年のウェイティング・ピリオドがあるため、子作りを考え始めてからすぐに探し加入したという。妊娠後プライベート病院で産む場合でも、まずGPでの診察と専門医への紹介状が必要になるため、GPでの数回の診察を経て、プライベート病院を幾つか紹介してもらい、施設が新しい病院を選択した。

妊娠20週目よりプライベート病院での診察がスタート。担当医が付くことで、毎回診察時に出産に対する不安の相談、バース・プランについてしっかりと話し合うことができた。診察回数が増える度に信頼度を高められたことが良かったそうだ。また、診察では毎回ウルトラ・サウンド(超音波)で胎児の状況をチェックでき、我が子に会えたこともうれしい思い出だったと振り返る。

妊娠中の体調の変化に関しては、初期は常にいろいろな匂いが気になり悪阻(つわり)がひどかったという。安定期に入ると悪阻も徐々になくなり、中・後期には妊娠前からの習慣だったパーソナル・トレーニングを再開するなど、出産に向けての体力作りに励むようにし、順調に過ごした。他にも、出産の不安を取り除く音楽や本を読むなど、出産へのイメージ・トレーニングも積極的に行ったそうだ。

無痛分娩予定から帝王切開へ

プライベート病院でのスペシャル・ディナー
プライベート病院でのスペシャル・ディナー

出産方法は無痛分娩を希望、出産日をあらかじめ決めて入院した。定期診察の中で出産への不安を担当医もしっかりと理解していたため、通常の診察のように見せかけて出産に向けた準備を行うなど、リリコさんがリラックスできるように進められた。しかし、分娩時間が大幅に掛かってしまい、胎児のポジションが悪く、心拍も弱くなり危険な状態になったため、最終的に帝王切開に切り替え無事出産することができた。

出産後は7日間入院。部屋は個室で、ダブル・ベッド、シャワーがあり、寝泊まりしていたご主人も快適に過ごせたそうだ。食事も24時間食べられる無料の軽食や飲み物、出産後にシェフが作るスペシャル・ディナーがあるなど、プライベート病院ならではの手厚いサービスを受けられたという。

2人目はパブリック病院で出産

育児が少し落ち着いたころ、2人目を妊娠。2回目はプライベート保険を解約し、パブリック病院での出産に変更にした。一番の理由は、出産を経験したことで不安がなくなり、一通り流れも分かっていたためだ。

病室で姉妹初めての対面
病室で姉妹初めての対面

GPに関しては、1人目の時に診察を受けていた医師の診察が丁寧だったため、2人目の時もそのまま受診し、GPシェアード・ケアで出産直前まで定期診察を受けた。シェアード・ケアでは毎回、血圧の測定、心音確認、子宮底長測定などを行い、体調などについても細かく相談を重ねた。また、前回の帝王切開から1年に満たない妊娠だったこともあり、出産方法についても早い段階で話をしたそうだ。20週を過ぎたころから出産するパブリック病院での診察をスタート。GPの医師の勧めもあり、帝王切開での出産を希望したため、ミッドワイフの診察に加え、医師の診察も行い、出産に備えたという。

出産日当日は帝王切開を行う際、通常は手術の6時間前から飲食禁止だが、緊張のあまり思わず直前にホット・ミルクを飲んでしまい、手術開始時間を大幅に遅らせるというハプニングもあったが、無事出産し5日間入院を経て退院した。

パブリックとプライベートの違い

パブリックとプライベート、両方の病院を経験したリリコさんにそれぞれの違いを伺うと、たくさんの違いを話してくれた。プライベートでの1人の担当医師との綿密なコミュニケーションに比べ、パブリックでは、毎回違うミッドワイフや医師との診察でコミュニケーションもシンプルに感じ、不安に思うこともあったそうだ。

費用に関しては、プライベートだと月々の保険料はもちろんのこと、出産費用全てがカバーされるわけではなかったため、毎回の検診費、小児科医、麻酔科医への費用が掛かり、約3,000ドルを支払ったそうだ。それに比べパブリックでは基本的にウルトラ・サウンドの一部費用を除いてメディケアでカバーされるため、負担が少ないという利点もある。リリコさん自身、最終的にどちらの出産でもそれぞれにしっかりとしたシステムがあり、出産後も、ミッドワイフのサポートや育児に困った時にかけられる24時間の電話相談などがあるため、双方に満足しているそうだ。

体験談②:ナオさん(プレママ・妊娠10カ月)手探りの妊娠生活

現在妊娠10カ月のナオさんは、約8カ月の妊活を経て、間もなくパブリック病院で出産予定のプレママだ。妊娠を考えてもっと早い段階で下調べをし、GPなどで相談すべきだったと妊活当時を振り返った。葉酸の摂取、排卵検査薬の使用は行っていたが、GPで妊娠のための血液検査があることを知らず、たまたま婦人科系の相談に行った時にGPで勧められ受けたところ、風疹(ふうしん)の抗体がないことを知った。ワクチンは、もし妊娠していると打つことができず、妊活中だったため様子を見て投与となっていたところで妊娠が分かった。妊娠中に風疹になってしまうと胎児への影響もあるため、風疹が流行っている地域には近づかないようにしているそうだ。

20週の時に撮影した3Dウルトラ・サウンド。検査所によって2D、4Dもあり自身で検査所を選択できる
20週の時に撮影した3Dウルトラ・サウンド。検査所によって2D、4Dもあり自身で検査所を選択できる

またオーストラリアと日本の違いに驚くことも多いという。例えばウルトラ・サウンドの回数も通常2~3回と少なく、診察の1時間前に水を0.5~1リットル飲まねばならず、診察が終わるまでトイレに行くことができない。日本の友人に話したところ、びっくりされたそうだ。

手探りなことも多いというが、ストレスを溜めすぎないことを第一に「飲食物の制限や体重増加に関して、日本より厳しくないことなどはとても過ごしやすい点」だと語る。

ミッドワイフ・スチューデントの研修に協力

現在、ナオさんはミッドワイフ・スチューデントの研修プログラムに協力している。同プログラムでは、学生が全ての診察に付き添い、ミッドワイフの指示の下、1人の妊婦を産前から産後までサポートする。インターネットで偶然このプログラムを知り、協力を決意した。学生との面談を通し、ぼんやりと考えていたバース・プランも決定することができた。無痛、普通、水中出産などの出産方法のメリット、デメリットを教えてもらい、現在は水中出産を第一に考えているそうだ。

妊娠・出産の強い味方、翻訳サービス

診察内容、検査結果などが記されたヘルス・レコード
診察内容、検査結果などが記されたヘルス・レコード

妊娠・出産に対し、英語でのやり取りに不安を感じていたというが、政府の翻訳サービスに助けられているそうだ。パブリック病院でも予約時に通訳サービスの希望について聞かれ、電話、もしくは翻訳者同行の下、無料で診察を受けられる。難しい医療英語もしっかりと理解し、質問ができるため、大変助かっているとのこと。

出産に向け、最終準備に入ったナオさんは現在センターリンクへ、ファミリー・タックス・ベネフィットなどの補助申請を行っている。「大変なことも多いが、いろいろなサポートがある点はオーストラリアの魅力」と語ってくれた。

先輩ママ直伝! 買って良かった物

電動鼻水吸引器
先輩ママコメント
「なかなかオーストラリアで見つけられず、日本で購入した電動鼻水吸引器。赤ちゃんは意外に鼻が詰まることが多いので便利です。口で吸えるタイプも持っていますが、吸う空気の量が難しく、いつも電動を使っています」

お包み(スリーピング・バッグ)
先輩ママコメント
「赤ちゃんはお腹の中にいる時の記憶から窮窟な空間が落ち着くのでいつも包んであげていました。チャックの開閉なのでとても楽チン。手も出したり入れたりできるタイプで、季節やサイズごとにそろえました。日本ではあまり赤ちゃんを包んだりする習慣がないみたいでオーストラリアの方が種類が豊富でした」

前開きの肌着(短着、長着)
先輩ママコメント
「オーストラリアのシャツはどれも頭から被せて着させるタイプが多く、生後すぐの赤ちゃんを着替えさせるには一苦労。日本の前開きタイプはおむつを帰る時にも替えやすいので助かりました。日本にはオーガニック・コットンなど肌に優しいタイプの物が多いです」

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