2015年11月 ニュース/総合


12月訪日を調整しているとされるマルコム・ターンブル首相

ターンブル首相、12月訪日で調整

対日重視アピールか−地元紙報道

マルコム・ターンブル首相が12月の日本訪問を計画しているもようだ。同首相は「中国寄り」との見方が出ているが、日本を先に訪問することで対日関係重視の姿勢を強調する狙いがあるものと見られる。10月20日付の保守系全国紙「オーストラリアン」が報じた。

同紙のリック・ウォレス記者によると、連邦首相府は公式に認めていないものの、首相は議会が閉会する12月3日からクリスマスまでの間で、訪日日程を調整しているという。実現すれば、首相は就任後初の日豪首脳会談を安倍晋三首相と行い、日本が受注を目指す豪海軍の次期潜水艦の開発のほか、日豪の安保協力や経済・投資の連携強化などについて議論する見通しだとしている。

同首相は実業家時代に中国で企業設立に関わったり、長男の妻が中国人であることなどから、日本では中国に近い人物との見方も浮上している。ただ、首相は就任直後に出演したテレビ番組で、中国が領有権を主張する南シナ海の環礁で滑走路などの建設を進めていることを批判し、同盟国の米国などと連携して中国の海洋進出の動きをけん制する姿勢を明確にした。

同首相は16日から初の外遊先としてニュージーランドを訪問した。オーストラリアとの経済的結び付きが強い主な大国のうち日本への訪問が最初に実現すれば、トニー・アボット前首相に続いて日本との関係を重視するとのシグナルを送ることになる。2007年に首相に就任した前労働党政権のケビン・ラッド氏は、最初の外遊先から日本を外し、先に中国を訪問したことから「親中派」とのレッテルを貼られた経緯がある。

 

初外遊はニュージーランドへ

ターンブル首相は10月16日、就任後初の外遊でニュージーランド(NZ)を訪問し、17日にNZのジョン・キー首相と首脳会談を行った。公共放送ABC(電子版)が伝えた。

会談後の共同会見で、ターンブル首相は2国間関係について「恋愛のようなもので、長続きさせるには多くの努力が必要だ」と語り、関係強化の必要性を強調した。キー首相は「我々はともに、経済政策は保守、社会政策はリベラルで、幅広い支持層を持つ中道右派政党を率いている」と両首脳に共通点が多いことを指摘した。

また、多数のニュージーランド人がオーストラリアから強制送還される前に勾留されている問題で、ターンブル首相は予算を新たに投じて手続きを敏速化することを約束した。オーストラリアでは昨年末の法改正で、1年以上の禁錮刑を受けた外国人はビザがはく奪され、服役を終えると出身国へ強制送還されることになった。しかし、送還手続きの遅れから、多くの元受刑者が収容所に長期間勾留されているとされる。このため、キー首相はNZ人への特別な配慮を求めていた。

さらに、ターンブル首相は、オーストラリアに10年以上住むNZ人が州立の職業訓練専門学校(TAFE)や大学に進学する際、政府の奨学金を利用できるようにすると表明した。年内に法改正し、来年1月の施行を目指す。約2,600人のNZ人が恩恵を受けられるという。


豪米外相・国防相が「強い懸念」表明
南シナ海問題で協力

ジュリー・ビショップ外相とマリース・ペイン国防相は米国のボストンで10月12〜13日、ジョン・ケリー米国務長官とアッシュ・カーター米国防長官と豪米外相・国防相会議(2プラス2)を行った。両国の外相・国防相は、中国が南シナ海の環礁で人工島や滑走路の建設を進めていることに「強い懸念」を表明し、この問題をめぐり両国海軍が協力することで一致した。在オーストラリア中国大使館はこれを批判する声明を発表した。

ただ、ビショップ外相は、中国が領有権を主張する環礁の12海里以内に艦艇を航行させるとしている米国の作戦について、現時点では「仮定の話」だとして、豪海軍艦艇の参加については明言を避けている。仮に豪州が作戦に参加すれば、豪中関係の悪化は必至だ。

 

豪州は艦艇派遣を―元外相発言

一方、かつて労働党政権で外相を務めたギャレス・エバンス氏(オーストラリア国立大名誉学長)は、オーストラリアが独自に海軍艦艇を南シナ海に展開させるべきだと主張している。

国営放送ABC(電子版)によると、エバンス氏はABCの番組で、米軍の作戦を支持するとした上で、「オーストラリアも行うべきだ。必ずしも米国との共同作戦である必要はない」と述べた。同氏は、そうした行動が南シナ海全域を支配しようとする中国の野望を後退させることにつながると指摘した。

エバンス氏は労働党のホーク政権で法相、資源・エネルギー相、交通・通信相を歴任した後、1988〜96年に同政権とキーティング政権で外相を務めた。


15歳少年が発砲、警察職員殺害
パラマタ警察本部銃撃−背景にイスラム過激思想

シドニー西部パラマタのNSW州警察本部前で10月2日、イスラム過激思想に影響を受けたと見られる15歳の少年が銃を発砲し、玄関から出てきた警察職員カーティス・チェンさんを殺害する事件が起きた。少年は犯行の直後に警官に射殺された。州警察は15日夜までに、少年に銃を手配した疑いで18歳の少年と22歳の男を逮捕した。

地元紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」(電子版)などによると、18歳の少年はテロ関連の複数の容疑で逮捕された。実行犯の15歳の少年と同じ学校の出身で、犯行の直前に現場近くにあるイスラム教の礼拝施設モスクで拳銃を渡した疑い。有罪判決を受ければ最高で終身刑となる可能性がある。

22歳の男は、武器の提供、武器所持禁止命令違反、公務執行妨害の容疑で逮捕された。拳銃を手配して18歳の少年に渡した疑いが持たれている。

報道によると、18歳の少年に対する容疑には直接的な証拠がなく、状況証拠による部分が大きいとされる。このため、警察は携帯電話の通話記録や位置情報などから、事件当日の2人の行動を慎重に調べているという。警察は、過激思想に傾倒したシドニー西部の若者グループが犯行の背後にいると見ている。拳銃が受け渡されたと見られるモスクは、グループの集合場所になっていたもようだ。

オーストラリアは昨年、「イスラム国」を名乗る過激派組織(IS)に対する有志連合の空爆に参加した。戦いが長引く中で、今年9月にはオーストラリア軍の空爆範囲をイラクからシリア領内に拡大した。一方、国内では、昨年12月にイスラム過激思想に傾倒した男がシドニー市内のカフェに立てこもり、人質2人が死亡するなど、テロ事件が相次いでいる。



議会で引退スピーチを行ったジョー・ホッキー前財務相

ホッキー前財務相、最後のスピーチ

19年間の議員生活に終止符

9月の与党自由党内のクーデターで、トニー・アボット前首相とともに閣僚を辞任したジョー・ホッキー前財務相(50)が10月21日、議員辞職を正式に発表した。ホッキー氏は同日、最後の議会演説を行った。公共放送ABC(電子版)が報じた。

ホッキー氏は25分間のスピーチの中で「(議員を辞職する者は)尊厳を持って去るために懸命に働かなくてはいけない」と述べ、19年間にわたる議員生活の功績を自負した。2年足らずの短命に終わったアボット政権については、政策は良かったものの「政治に苦しんだ」と振り返った。

今後あるべき財政政策については「財サービス税(GST=消費税)の税率を引き上げ、徴税範囲を広げる一方で、所得税率を引き下げる必要がある」と語り、個人や企業がよりリスクを取ることを促すべきだと主張した。住宅の税制については、「既存の不動産への投機よりも、住宅の新規供給を促進する」必要性を訴えた。

スピーチを終えたホッキー氏に対し、マルコム・ターンブル首相は「過去20年近くにわたって(国家に)多大に貢献した」と賞賛し、与野党議員全員がスタンディング・オベーションで見送った。

 

駐米オーストラリア大使に転身へ

ホッキー氏は1996年の選挙でノース・シドニー選挙区から連邦下院議員に初当選。ハワード政権で金融サービス相や労使関係相などを歴任して頭角を現した。野党時代の2009年に行われた自由党党首選では、当時党首だったターンブル氏、アボット氏、ホッキー氏の三つどもえの戦いとなった。ホッキー氏は1回目の投票で敗れたものの、将来の首相候補の1人と目された。

13年に発足したアボット政権では「ナンバー2」の財務相に就任したが、14年の予算案で打ち出した緊縮策が与党支持率の低迷を招き、先の首相交代劇につながった。燃料税増税に絡んで「貧乏人は長距離運転しない」と述べるなど、失言も痛手となった。ターンブル内閣ではアボット氏とともに閣外に退き、近く政界を引退すると表明していた。

引退後は、年内に任期切れとなるキム・ビーズリー駐米オーストラリア大使(元野党労働党党首)の後任として、ワシントンに赴任する公算が高まっている。このため、駐米大使は「首相になれなかった政治家の引退後のポジション」と揶揄されている。

なお、ホッキー氏の議員辞職に伴うノース・シドニー選挙区の補選は年内に実施される。


ビショップ外相の「絵文字」、野党が追及!?

連邦上院予算委員会で10月22日、ジュリー・ビショップ外相の「emoji」(絵文字)が、野党議員の追及を受けた。公共放送ABC(電子版)が報じた。

ビショップ外相はスマートフォンなどで絵文字の愛好者として有名。先に米国のインターネット・メディア「バズフィード」(Buzzfeed)の絵文字だけで答えるネット取材に応じ、ロシアのウラジミール・プーチン大統領について、怒った赤い顔の絵文字1文字だけで回答したという。

これについて、野党労働党のペニー・ウォン上院議員は委員会で「外務貿易省は外交の交渉や取り決めで絵文字を使うのか」と質問。「外相がプーチン大統領に対して怒っていることを示す外交メッセージなのか」などと詰め寄った。これに対して、同省の秘書官は「私には分からない」と答弁した。外務貿易省はこの「問題」について数週間後にまじめに回答するという。

委員会でのやり取りについて、外相は記者団の質問に「プーチン大統領なら、私の絵文字を喜んでくれるのでは」とかわした。

日本由来の「emoji」は、英語のネット・スラングとして定着しているが、委員会では何のことかさっぱり分からない議員もいた。そのため、ジョージ・ブランディス法相が「(携帯電話の)テキスト・メッセージに使う笑った顔」と説明する一幕もあった。政治家の間にも「デジタル・ディバイド」(情報技術=ITやネットを自由に操れる人と、そうでない人の情報格差)が広がっているようだ。


東海大は3位、大陸縦断ソーラー・カー・レース

太陽光パネルの電力だけで走るソーラー・カー・レースの最高峰「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」が10月18日、開幕した。主催者によると、24カ国からエントリーした42台が審査をパスし、ダーウィン市内のスタート地点を出発した。トップ集団は大会5日目の22日、ダーウィンから南へ3,022キロ離れたアデレード市内のゴール地点に相次いで到着した。

主力の「チャレンジャー・クラス」で優勝したのはオランダのチーム「ヌオン・ソーラー・チーム」(37時間56分12秒)。2位は同じくオランダの「ソーラー・チーム・トゥウェンテ」(38時間4分32秒)、3位は日本から参加した東海大(38時間50分7秒)だった。09年、11年の大会で2連覇を果たした強豪の東海大は、最新技術を駆使した「東海チャレンジャー号」を投入し、準優勝に終わった前回13年大会の雪辱を期したが、惜しくも果たせなかった。

一方、充電バッテリーを備え、2人乗りでより市販車に近い「クルーザー・クラス」では、日本の工学院大の「アウル(フクロウ)号」が48時間7分0秒のタイムで優勝した。

同大会は1987年に第1回大会が開かれ、ほぼ2年に1回のペースで開かれている。13回目の開催となった今回は、日本から合計5チームが参加した。


カーマイケル炭鉱開発、環境相が再承認

グレッグ・ハント環境相は10月15日、インド財閥アダニが主導して進めているQLD州中部カーマイケル炭鉱開発の環境保全策を再承認したと発表した。石炭を運び出す鉄道の建設も合わせて認可した。同相は「オーストラリアの歴史上、最も厳しい条件」を付けたと環境保全の取り組みを強調した。

同炭鉱は、燃料用の一般炭の炭鉱としてはオーストラリア国内最大で、世界でも最大級とされる。アダニは、鉄道や港湾施設を含めた開発計画全体で「1万人の雇用と約220億ドルの税収と採掘権料を生み出す」としていた。

しかし、地域の生態系や世界最大の珊瑚礁群であるグレート・バリア・リーフを破壊するとして、環境保護団体が反発していた。連邦裁判所は今年8月、政府が先に出していた承認を無効とする判決を下した。主な金融機関も融資の取りやめを発表し、暗礁に乗り上げていた。

環境相は今回、絶滅が危惧されている小鳥や小型のトカゲ、ヘビなどの保護策、開発が水資源に悪影響を与えないことなど36の規定を設けて条件付きで再承認した。環境省の係官が開発状況を精査し、違反があれば大臣の権限で承認を撤回するとしている。


連邦議員が飲酒運転ー裁判所が謹慎命令、有罪は免除

飲酒運転で検挙されたWA州スワン選挙区選出のスティーブン・アイアンズ連邦下院議員が10月16日、キャンベラの裁判所に出廷し、謹慎命令を受けた。公共放送ABC(電子版)が伝えた。

同議員は今年8月、キャンベラで運転中に検問で血中のアルコール濃度が「0.69」と検出され、「低レベル」の飲酒運転の疑いで検挙された。公判で同議員は飲酒の事実を認め、謹慎を命じられた。過去の善行から情状酌量の余地があるとされ、有罪判決は免れた。

同議員は公判後、「判断ミスによって迷惑をかけた」と謝罪した。同議員は、飲酒運転のドライバーが起こしたひき逃げ事故で兄弟を失った過去がある。2007年に当選後初めて行った議会演説では、アルコールの過剰摂取の問題を取り上げていた。

日本なら議員辞職が叫ばれるところだが、オーストラリアでは飲酒運転の罪で刑罰以外に解雇などの社会的制裁を受けるケースは少ない。アイアンズ議員の事件も大きなニュースにならなかった。


医療用に限り、マリファナ栽培解禁へ

スーザン・リー連邦保健相は10月17日、医療または科学研究の目的に限り、大麻(マリファナ)の農業生産を認める方針を発表した。「安全で合法的な国産品を患者に安定供給する」(同保健相)のが目的。野党や各州政府と協議した上で、生産を可能にする1967年連邦麻薬法改正案を年内に上程する。

大麻には痛みの緩和や食欲増進などの薬効がある。栽培できるのは、連邦政府がライセンスを発行する農業生産者のみとする。農場から薬局までのサプライ・チェーンも国が厳しく管理する。

ただ、嗜好品としての大麻合法化の議論には踏み込まない。同保健相は「オーストラリアでは娯楽目的の大麻は違法薬物であり、それを変更する計画はない」と強調した。


4大銀行、住宅ローン金利一斉に引き上げ
不動産価格上昇にブレーキか

オーストラリア4大銀行のウエストパック銀、コモンウエルス銀、ナショナル・オーストラリア銀、ANZ銀は10月23日までに、金利変動型の住宅ローンの利率を1.5〜2ポイントそれぞれ引き上げると発表した。オーストラリア金融規制局(APRA)が、将来起こり得る金融危機に備えて金融システムの安定化を図るため銀行の資本準備金の積み増しを決めたことから、各行は資金の確保に動いた。

しかし、オーストラリアでは持ち家率が約7割と高く、住宅ローンは金利変動型が主流であるため、利率引き上げは頭打ち傾向が出てきた住宅市場に冷水を浴びせることになりかねない。住宅ブームが下支えしてきた景気に打撃を与える可能性がある。

2大都市の住宅価格は低金利を背景に史上最高値圏にあるが、主な民間の住宅価格指標によると、このところ価格の伸びが急速に鈍化している。相場が天井を打ったとの見方も出ており、今後調整局面に入る可能性が出ている。

住宅ローン金利の引き上げは、中央銀行のオーストラリア準備銀行(RBA)によるさらに一段の利下げを誘発するかもしれない。RBAは足踏みする景気をテコ入れするため、同金利を既に史上最低水準の2.0%まで引き下げている。


失業率6.2%で高止まり
就業者数は5,100人減少

中国経済の減速を受けてオーストラリア経済の先行きに不透明感が増す中で、雇用情勢に改善の兆しが見られない。オーストラリア統計局(ABS)が10月15日に発表した9月の雇用統計によると、全国平均の失業率(季節調整済み)は6.2%と前月と同じだった。

10分の1の位で四捨五入しない実数で見ると同0.1ポイント改善したが、就業者数は1,176万9,900人と5,100人減少した。失業者数は77万2,500人と8,100人減だった。労働参加率は64.9%と0.2ポイント下落した。

フルタイムの就業者は812万4,400人と1万3,900人、パートタイムの就業者数は364万5,500人と8,900人、それぞれ減少した。

州別の失業率(推定値)は、NSW州が5.9%(0.1ポイント改善)、VIC州が6.2%(0.1ポイント悪化)、QLD州が6.3%(0.1ポイント改善)、SA州が7.7%(0.2ポイント改善)、WA州が6.1%(変わらず)、TAS州が6.0%(4ポイント改善)だった。

直近で失業率が最も高かったのはITバブル崩壊後の2001年10月の7.2%。08年2月にはほぼ完全雇用に近いとされる4%まで改善した。しかし、同年のリーマン・ショックで09年6月には5.9%まで悪化した。その後の景気回復で10年12月に4.9%に回復したものの、資源輸出ブームの終えんや中国経済の減速を受けて再び悪化し、14年後半から6%台で高止まりしている。

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