2018年3月 ニュース/総合

オーストラリア・デーは「侵略の日」

廃止や日付変更訴え、各地で抗議集会

1月26日、メルボルン市内で行われた「侵略の日」の抗議デモ(Photo: AFP)
1月26日、メルボルン市内で行われた「侵略の日」の抗議デモ(Photo: AFP)

最初の植民船団が1788年、シドニー湾に到着した日を祝う「オーストラリア・デー」の1月26日、先住民アボリジニーへの「侵略の日」だと主張する抗議集会が主要都市で相次いで開かれた。公共放送ABCによると、最大の規模となったメルボルンのデモには活動家ら約2万5,000人が参加、祝日廃止や日付の変更などを訴えた。

祝賀イベントや市民権を新たに取得した移住者を歓迎する式典も、例年通り各地で開催された。ただ、シドニー市内では英国旗ユニオン・ジャックが入ったオーストラリア国旗と、3色のアボリジニー旗の2本を持って歩く市民の姿が例年より増えていて、「建国」をめぐる歴史認識も変わりつつある。

英国植民地建設前の先住民人口は約75万人とされるが、迫害や欧州から持ち込まれた免疫のない病気が流行したことなどから激減した。現在約2,400万人の人口に占める先住民の割合はわずか2.8%。以前の隔離政策や現在の保護政策を背景に、先住民居住区ではアルコールや薬物中毒、育児放棄、性的虐待が深刻化。過去には、治安維持に国防軍が投入されたケースもある。先住民は平均余命も男性で10.6年、女性で9.5年、それぞれ全国平均より短く、健康状態の改善も課題となっている。


6.5%増の881万人が来豪――2017年の外国人訪問者数

豪政府観光局(TA)が2月20日に発表した統計によると、2017年にオーストラリアを訪れた外国人の数は前年比6.5%増の881万800人となり、16年に続いて過去最高を更新した。国・地域別では、2位の中国が12.2%増の135万5,500人と大幅に伸び、1位の隣国ニュージーランド(135万6,400人)とほぼ肩を並べた。中国、香港、台湾の中華圏は、いずれも2ケタの高い伸びを記録した。

日本は4.0%増の43万4,600人と堅調に伸びて5位。回復傾向がより鮮明になった。TAは、時差の少なさ、治安の良さ、自然の豊かさ、食文化の魅力の訴求などが増加につながっていると分析。日本航空の成田―メルボルン線、カンタス航空の関空―シドニー線などの供給拡大も追い風になっていると指摘した。TAは20年までに日本人訪問者数を70万人に増やすとの目標を掲げている。

2017年の訪問者数トップ10
順位 国・地域 (人) 前年比
1 ニュージーランド 135万6,400 0.8%
2 中国 135万5,500 12.2%
3 米国 78万1,000 9.0%
4 英国 73万1,900 2.3%
5 日本 43万4,600 4.0%
6 シンガポール 43万4,400 1.1%
7 マレーシア 39万6,400 1.6%
8 インド 30万2,200 15.2%
9 韓国 30万1,800 7.7%
10 香港 28万2,100 13.8%

出典:豪政府観光局


JTBと豪政府観光局、販促で協力
前年比2割増の送客目指す

日本の旅行大手J T Bと豪政府観光局(TA)が、オーストラリアの旅行商品の販売促進で協働する。JTBは2月14日、TAとの間で「共同マーケティングに関する協力覚書」を締結したと発表した。4月1日〜2019年3月31日の期間に、日本の観光市場でのオーストラリアの認知度を高め、JTBグループ経由の送客増と支出拡大を図る。ツアーの商品開発や店頭販売、宣伝などでも協力する。これらの取り組みにより、JTBの17年実績と比較して2割多い8万人の送客を目指す。


元スタッフとの不倫で辞任に追い込まれたバーナビー・ジョイス連邦副首相
元スタッフとの不倫で辞任に追い込まれたバーナビー・ジョイス連邦副首相

ジョイス副首相が辞任

元スタッフとの不倫騒動で

不倫騒動の渦中にあったバーナビー・ジョイス連邦副首相は2月23日、副首相と国民党党首を辞任すると発表した。連邦下院議員の職は続ける。地元メディアに不倫疑惑が報じられたジョイス氏は13日、議員事務所の元女性スタッフ、ビッキー・キャンピオンさんとの交際を認めて謝罪していた。

ジョイス氏は23日の会見で「議会のためだけではなく、ビッキーと生まれてくる子ども、私の娘たち、ナット(正妻ナタリーの愛称)のために、サーキット・ブレイカー(回路遮断器)が必要だ」と述べ、事態を収拾するため辞任を決断したことを明らかにした。

ジョイス氏は不倫を認めた13日の声明で、一連の騒動がナタリー夫人と4人の娘を傷付けたことをわびた。その上で「(結婚生活の)破綻の責任は私にある」と言明。ジョイス氏とキャンピオンさんの間にできた子どもを4月中旬に出産予定であることも認めていた。

キャンピオンさんは2016年8月にジョイス氏の事務所に採用された。ジョイス氏によると「次第に友情が生まれ、時間と共に増していった」という。しかし、交際に発展したのは、キャンピオンさんが17年4月に別の議員の事務所に異動した後だと弁明した。

一方、13日付のタブロイド紙「デイリー・テレグラフ」は、ジョイス氏が11年のパーティーの席で酒に酔い、同席していた女性の尻をつねった疑いについて報じた。このセクハラ疑惑についてジョイス氏は、明確に事実無根だと主張し、事実なら警察に告訴するべきだと指摘している。

ジョイス氏は1967年NSW州北部生まれの50歳。04年の連邦選挙で初当選して上院議員を2期務めた後、13年の連邦選挙で下院に鞍替えした。16年の連邦選挙で再選されたが、2重国籍保持者の議員立候補は違憲とする最高裁判断でいったん失職した後、17年12月の補選に圧勝して政界に復帰した。

23日の時点で国民党党首の後任人事は未定。公共放送ABCは最有力候補としてマイケル・マコーマック退役軍人関係相を挙げている。

閣僚とスタッフの性的関係禁じる

オーストラリアの政界やメディアでは、一般的に議員の男女関係はプライバシーの問題として黙認される傾向がある。ただ、ジョイス氏は自由党と共に与党保守連合を構成する国民党の党首。ターンブル首相が外遊などで不在の時は「首相代行」として留守を預かる政権ナンバー2だけに、批判は免れなかった。

ターンブル首相は21日、訪問先の米国に出発したが、ジョイス氏は休暇を取得。首相代行に就かないことで沈静化を図っていたが、耐えきることができなかった。

ターンブル首相とのあつれきも表面化した。首相は15日、事態の収拾を図るため、閣僚とスタッフの性的関係を禁じると発表したが、首相はこの際、更迭は否定したものの、「自分の事務所で働く若い女性と関係を持つという、驚くべき判断ミスを犯した」と批判した。

首相の発言に対して、ジョイス氏は16日、「昨日の首相発言は傷口を更に大きくするものだ。不適切であり、不必要だ」と反発。自由党と国民党の連立にヒビが入りかねない異例の事態に発展していた。国民党の同僚議員からも辞任圧力が強まり、外堀が埋まっていった。


次世代5G、1年後にサービス開始へ

通信2社が試験運用スタート

NBNの回線敷設工事の模様(Photo: NBN Co.)
NBNの回線敷設工事の模様(Photo: NBN Co.)

モバイル通信の次世代規格「5G」の本格運用が約1年後に迫っている。国内通信最大手テルストラは2月5日、5Gの試験施設をゴールドコースト(GC)に開設したと発表した。4月にGCで開催される英連邦のスポーツ大会「コモンウェルス・ゲームズ」に合わせて試験サービスを提供する。

テルストラは昨年11月、26ギガヘルツのミリ波帯の周波数で世界初の5G野外実験に成功した。2018年中に全ての試験運用を終え、5Gの商業サービス開始に備える。

国内通信2位のシングテル・オプタスも2日、主要都市の中心部で19年初めに5Gのサービスを開始すると発表した。オプタスは直近の5Gの野外通信実験で、毎秒2ギガバイトのダウンロード速度を実現したという。オプタスもコモンウェルス・ゲームズで試験運用を行い、観客に5Gの性能を体感してもらう予定だ。

5Gは最初のアナログ携帯電話から数えて5世代目。オプタスによると、2010年代に普及した現行の4Gと比較して、理論上の速度は「約15倍」とされる。例えば、映画1本(800メガバイト)のダウンロードに要する時間は、3Gで約4時間、現行の4Gで43秒だったが、5Gではわずか1秒しか掛からないという。あらゆる機器がインターネットにつながる「モノのインターネット」(IoT)や自動運転車などの分野を中心に、革新的な技術革新につながる可能性がある。

NBNに暗雲−−顧客流出の懸念も

モバイル回線の5Gの実用化を目前にして、固定回線の光ファイバー通信網「ナショナル・ブロードバンド・ネットワーク」(NBN)の前途に暗雲が立ち込めてきた。

光ファイバー通信網の整備が遅れたオーストラリアでは、前労働党政権が史上最大規模の国家プロジェクトとしてNBNを推進。連邦政府が全額出資するNBN公社が、2020年ごろの完成を目指して敷設を進めてきた。

だが、NBNに反対してきた保守連合が13年に政権を奪回すると、コスト削減のため、最終接続地点まで光ファイバーを敷設する「ファイバー・トゥ・ザ・プレミシズ」(FTTP)を断念。各家庭までの末端回線は既存の銅線を流用する方式に転換するなど、計画は紆余曲折を経てきた。オーストラリア通信メディア規制局(ACMA)によると17年9月の時点でNBNのサービスを利用できるのは570万世帯、実際に利用しているのは250万世帯にとどまる。

現行4Gの回線速度も既に固定のNBNを上回っている。ダウンロード制限があるモバイル回線と、無制限プランが多い固定回線を単純に比較できないが、単身世帯や他人と住居を共有する若者などの間では、固定回線を契約せずにモバイル回線だけで済ませる人が増えている。

4Gの回線速度をはるかに上回る5Gのサービスが始まれば、実際の回線速度は「NBNの約25倍に達する」(民放ラジオ4BC1116)との見方もある。5Gの消費者調査を実施した調査会社「ベンチャー・インサイト」のナイジェル・プー氏は、同ラジオのインタビューで「(NBN利用約者の)30%は(5G)への契約変更を検討している。インターネット接続でモバイル通信の需要が拡大していることを踏まえると、NBNのサービス品質は疑問視されるだろう」と指摘した。

NBNをめぐっては昨年、実際の回線速度が宣伝の数値より低かったことが判明。テルストラやオプタス、同業TPGが、顧客に料金を返すなどの補償を強いられた。

5Gはオーストラリアで20年ごろに本格的に普及すると見られている。NBNより速い現行4Gと比べてもはるかに高速の5Gが低料金で浸透すれば、国家の威信をかけたNBNも「無用の長物」になりかねない。

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