TSSビザをスポンサーするのに必要な社内従業員の比率とは

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Q

TSSビザのスポンサーをするために、オーストラリア人や永住者の従業員比率を上げる必要があると聞きました。どの程度の比率に保てば良いのでしょうか?(40代男性=個人事業主)

A

2018年3月18日に「Migration Regulations」に加えられた、下記の「Reg2.72 (18) (b)」についてお聞きになられたのではないかと思います。

Reg2.72 (18) If the occupation is nominated for a Subclass 482 (Temporary Skill Shortage) visa in the Short-term stream or Medium-term stream, the Minister is satisfied that: (b) if the person is lawfully operating a business in Australia – the person has not engaged in discriminatory recruitment practices.

上記の条項を根拠に「Department of Home Affairs(DHA)」は、スポンサーが「Systematically employ overseas workers without appropriate regard to Australian workers」と判断した場合、ノミネーション申請を却下することができるようになりました。

「Non-discriminatory recruitment practices」は、スポンサーの「義務」として2017年から存在しているのですが、「ノミネーション申請の際に満たすべき要件」となったのが、今年3月からとなります。

「Reg 2.72 (18) (b)」は、人種や性別などに基づく一般的な差別を禁止することに加え、学生ビザやワーキング・ホリデー・ビザの保有者を数多く雇用するビジネスを牽制(けんせい)するためにも使われます。

学生ビザやワーキング・ホリデー・ビザ保有者を雇用する場合、457/482ビザと異なり、給与が「Market Salary Rate(MSR)」以上であることが求められません。学生ビザ、ワーキング・ホリデー・ビザ保有者の就労は、オーストラリア国籍保有者、永住者の職を奪い、また当地の給与水準の引き下げ要因となるため、「ある程度の雇用は認めるものの、従業員のほとんどが学生ビザ、ワーキング・ホリデー・ビザ保有者であることは許容しない」という考えにつながります。

現時点では「Reg 2.72 (18) (b)」を根拠に、ノミネーション申請が却下されたケースは耳にしておりませんが、学生ビザやワーキング・ホリデー・ビザ保有者のみで店舗を経営されているような日本食レストランや美容院については、今後、上記条項を根拠に規制が強まる可能性もあります。

一方、学生ビザ、ワーキング・ホリデー・ビザ保有者の就労者はなく、単に457/482ビザ保有者比率の高い日系企業については、「Reg2.72(18)(b)」の適用はないと考えます。

457ビザ及びその後継である482ビザの場合、原則として「Labour Market Testing(LMT=申請前の事前の求人広告)」の要件が課され、また給与が「Market Salary Rate(MSR)」であることが義務付けられるため、オーストラリア国籍や永住者の雇用機会を奪い、給与水準を押し下げる要因にはならないと見なされるためです。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


高畠英明(たかはた ひであき)
Staff Solutions Australia Pty Ltd

九州大学法学部及びNSW大学法学部卒業後、2002年NSW州の弁護士資格を取得。シドニーの法律事務所で企業法務に従事の後、査証手続きに関する国家資格も取得。大手企業を主要顧客とするビザ専門法律事務所や監査法人の査証部門における勤務を含む15年以上の経験を生かし、アドバイスを提供する

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