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オーストラリア「エロマンガの海」を泳ぐ 1億年前を生きた謎の生物とは? 

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クイーンズランド州で原型とどめたレアな化石発見

クーユー・オーストラリスの想像図。大きな口と鋭い歯で魚や海洋動物に襲いかかる暴れ者だった。天敵はサメか大型の海洋爬虫類しかいなかったという(Image: Wikipedia)

 今から1億年以上前、オーストラリア内陸部にあった広大な内海「エロマンガの海」(Eromanga Sea)を泳いでいた獰猛な魚類「クーユー・オーストラリス」の化石がこのほど、同国北東部クイーンズランド(QLD)州で発見された。これまでに見つかったこの魚の化石の中では最も原型をとどめているという。公共放送ABC(電子版)が伝えている。

 かつて海底だったQLD州北西部リッチモンド周辺では、海の恐竜や魚などの化石が多数見つかっている。今回の化石も、リッチモンドの化石博物館「クロノサウルス・コーナー」の近くで一般公開されている化石採掘場で、北部準州出身のカップルが掘り当てた。

 クーユー・オーストラリスは、恐竜が地球上を闊歩していた前期白亜紀(約1億4,500万年前〜約1億50万年前)、エロマンガの海に生息していた獰猛な肉食大型魚だ。

 見つかった化石の体長は1.6メートル。クロノサウルス・コーナーのロブ・イーバース館長はABCに対し「国内の同種の化石としては、最も完全な状態で発見されました。肋骨、背骨、巨大な口を持つ頭部、鋭い牙がきれいに残っていました」と述べた。

 それよりも古生物学者を驚かせた新発見があった。この個体が捕食して胃の中に入っていた魚も化石化していたのだ。

「非常に珍しいことに、この魚の死ぬ前に何を食べていたのか分かりました。胃袋があった付近をよく観察すると、小さな魚の頭や残骸を確認できたのです」(イーバース館長)

 同博物館は現在、2011年に同じくリッチモンドで発見された体長2.5メートルのクーユーの化石を展示している。今回見つかった化石も今後、館内で公開する予定だという。

 なお、エロマンガは先住民の言葉で「風の強い平原」を意味する。リッチモンドから直線距離で南へ640キロのQLD州南西部には、人口わずか98人(2021年国勢調査)の小さな町、エロマンガがある。「オーストラリアで最も海から遠い町」(QLD州観光局)として知られ、「エロマンガ自然史博物館」は近隣で発見されたオーストラリア最大の恐竜の化石を展示している。

■ソース
Australia’s most intact Cooyoo australis fossil discovered in Richmond with specimen in its belly(ABC News)
Kronosaurus Korner(QLD州リッチモンドの化石博物館)
Eromanga Natural History Museum(QLD州エロマンガ自然史博物館)

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