NSW州政権、遂にパワーハウス博物館移転放棄

学界、政界、文化界の批判厳しく、経済的利点もなく

 マイク・ベアード保守連合NSW州政権が打ち出したパワーハウス博物館パラマッタ移転計画は5年以上の歳月を経て、数多くの調査や計画案が出され、さらに2度にわたる建築設計も発表されたがグラディス・ベレジクリアン保守連合州政権が移転断念を発表、パラマッタには分館を建てるとしている。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 ベアード政権は、NSW州政府は、市内ウルティモの元火力発電所建物を使った博物館を移転させ、建物を壊して跡地を売却すれば1億9,500万ドルの収入になると計算していたが、7月4日には州政権のドミニク・ペロテット財相が、博物館移転計画断念を発表し、パラマッタ市には6億4,500万ドルの予算を計上し、別の博物館を建てる計画を語った。

 州財政負担は総額で8億4,000万ドルになるが、ペロテット財相は、「政府は自動車道ばかりでなく、博物館にも投資する」と語っている。

 パワーハウス博物館内での断念発表記者会見には、コロナウイルス社会規制に反したとして捜査期間中職を離れていたドン・ハーウィン芸術担当相も立ち会った。

 計画断念の理由として、ペロテット財相は、以前から経済不況傾向が強まっていたところにコロナウイルス・パンデミックで急激に経済が弱まったことを挙げている。

 さらに、「新博物館建設計画は、パンデミック社会規制の影響をかぶった芸術界をサポートするものであり、また、建設では1100人の雇用が創出される」と語っている。

 ハーウィン芸術担当相は、博物館移転反対運動を展開してきた人々と博物館職員に祝意を示し、「ウルティモのこの博物館もパラマッタに開かれる新しい博物館もこれから新しい時代を迎えることになる。いくつもの博物館を擁するシドニーはそれだけでも偉大な都市だが、これからはアジア太平洋地域の博物館の首都となるだろう。パワーハウス博物館の所蔵品の98%がまだ倉庫に眠っており、将来的に2つの博物館に展示するには十分な数量がある」としている。

 博物館の前身だった火力発電所はダーリング・ハーバー貨物埠頭への引き込み線を望む位置にあり、ダーリング・ハーバーのポンプハウスともども、市内の産業に電力や動力蒸気を供給してきた貴重な産業遺産でもあり、移転反対運動は、その産業遺産を破壊し、跡地を開発業者に売却する計画にも向けられていた。

 一方、パラマッタの新博物館用地はヘリテージ登録の建物を壊す計画を伴っており、それに対しても反対運動が広がっている。
■ソース
Powerhouse decision an investment in ‘museums not just motorways’

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