【速報】シドニー近海で中国艦隊が実弾演習

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630キロ南東の公海上 管制当局は民間機に飛行ルート変更勧告

2月13日、オーストラリア東海岸沖のタスマン海を航行するフーチー型補給艦「微山湖」と江凱II型フリゲート艦「衡陽」を監視するオーストラリア王立海軍のフリゲート艦「アランタ」の水兵2人(Photo: Australian Defence Force)

 オーストラリアの公共放送ABC(電子版)は21日、東部シドニーの南東340海里(約630キロ)のタスマン海の公海上で、中国海軍の小艦隊が実弾発射を含む軍事演習を行ったと報じた。実弾訓練を行ったのは、2月中旬からオーストラリア北東部近海に展開していた中国海軍南海艦隊所属の3隻と見られる。

 主権が及ばない国際水域での挑発行為は、オーストラリア側の出方を試す狙いがありそうだ。直ちに豪中間の軍事的緊張が高まる可能性は低いが、最大都市シドニーの近海での実弾演習が国民に与える心理的インパクトは小さくないと見られる。

 ABCによると、演習の情報を受けて、航空管制を担う政府機関「エアサービス・オーストラリア」は民間機のパイロットに対し、付近の空域を迂回するよう勧告。21日午後の報道の時点で勧告を解除しておらず、これに従ってオーストラリアとニュージーランドを結ぶ航路を飛行するカンタス航空やニュージーランド航空などは飛行ルートを変更しているという。

 また、シドニー発クライストチャーチ行きのエミレーツ航空「UAE3HJ」便は午前11時ごろ、飛行中に中国海軍から直接無線連絡を受け、ルート変更を要請されたという。

 オーストラリアのペニー・ウォン外相は21日、状況は流動的だと断った上で「中国艦が実弾演習を行ったのは事実だと考えている。小艦隊の動きは非常に厳重に監視している。(小艦隊は)公海で活動していると理解している」と述べた。

 一方、中国外務省の郭嘉昆報道官は「南海艦隊が遠洋演習を行った」ことを認めた上で、「演習は国際法と国際慣習を順守し、安全で規範に則ったプロフェッショナルなマナーをもって行われた」と指摘した。

「南海艦隊」3隻がタスマン海を南下か

 オーストラリア国防軍は13日、いずれも中国海軍南海艦隊に所属する江凱II型フリゲート艦「衡陽」、レンハイ型ミサイル巡洋艦「遵義」、フーチー型補給艦「微山湖」の3隻が北東部クイーンズランド州沖の排他的経済水域内を航行していると発表していた。実弾演習を行った艦艇の詳細について発表はないが、これら3隻がシドニー沖まで南下してきたと考えられる。

 実弾演習の直前に、小艦隊がシドニーの東方150海里(277キロ)で目撃されたとの報道(英フィナンシャル・タイムズ)もある。20日には、オーストラリアのリチャード・マールズ副首相兼国防相が、ニュージーランド軍と連携しながら東海岸を縦断している中国艦船の動きを監視していると表明していた。

 小艦隊の接近事案とは別に、オーストラリア国防軍は13日、南シナ海でオーストラリア軍機が中国戦闘機に妨害行為を受けたと発表していた。

 国防軍によると、中国人民解放軍空軍の戦闘機「J-16」が11日、南シナ海で定期監視活動をしていたオーストラリア王立空軍の哨戒機「P-8Aポセイドン」に対し、近距離からフレア(金属粉末を燃焼させて光と熱を発し、ミサイルを撹乱する装置)を発射した。哨戒機の乗組員は無事で機体の損傷もなかったが、オーストラリア連邦政府は「安全ではない、プロフェッショナルではない行為だ」と中国側に懸念を表明していた。

■ソース

Commercial pilots between Australia and NZ diverted over possible Chinese live fire exercises(ABC News)

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