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温室効果ガス排出削減「セーフガード・メカニズム」改正法案、オーストラリア連邦議会で成立へ

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与党労働党と緑の党が修正案に合意

 オーストラリア連邦与党の労働党と、野党の環境保護政党「グリーンズ」(緑の党)は27日、温室効果ガス排出量の削減を加速させることを目的とした「セーフガード・メカニズム改正法案」の修正で合意した。新たに対象企業の排出量の総量規制を追加したことで、連邦上院でキャスティングボートを握るグリーンズ(11議席)と無所属議員の少なくとも2人が法案賛成に転じる見通しだ。法案は今週閉会する連邦議会で可決・成立し、今年7月の施行が確実となった。

 法案では、温室効果ガス排出量が多い215社を対象に、2030年まで毎年4.9%以上の削減を義務付ける。未達成の事業者にはペナルティーとして排出権を購入させ、削減のインセンティブを高める。

 両党が合意した法案修正では、同メカニズム参加企業が2030年までに排出できる温室効果ガスの上限を12億3,300万トン(二酸化炭素換算)に規制する。1年当たり1億4,000万トンとなる。

 これにより、新規の化石燃料開発事業の全廃を訴えているグリーンズは、総量規制により排出企業のコストが上昇することから、現時点で計画中の116件の新規石炭・天然ガスプロジェクトのうち約半数が立ち行かなくなると予測している。

 昨年5月の選挙で政権を奪回した労働党は、前保守政権よりも積極的な気候変動対策を掲げており、温室効果ガス排出量を「30年までに05年比で47%削減する」との目標を達成するには、同法案の成立が不可欠だとして、野党に法案賛成を呼びかけていた。

 しかし、上院は与党が過半数を制していない「ねじれ状態」にある。最大野党の保守連合が法案自体に早くから反対を表明していたことから、与党は上院で法案通過のカギを握るグリーンズに賛成を呼びかけて交渉を重ねてきた。

 ところが、より急進的な気候変動対策を掲げるグリーンズは、石炭と天然ガスの新規開発を中止しなければ賛成票を投じないと主張。穏健的な現実路線を採る労働党は、石炭・天然ガスの新規開発中止には応じられないとしていて、法案成立のメドが立っていなかった。労働党は昨年の連邦選挙で石炭・天然ガスの新規開発を中止しないと公約していた。

■ソース

Climate deal struck after Labor and the Greens reach safeguard mechanism agreement(ABC News)

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