幸せワイン・ガイド@オーストラリア「ワイン・ショー」

ワインの産地、ブドウ品種名などの表記は、オーストラリア連邦政府のワイン振興団体であるワインオーストラリアの基準に合わせています。

今月のテーマ:ワイン・ショー


ワインを買う時に、メダルやトロフィーのシールが貼ってあるボトルを見かけたことはありませんか? オーストラリアには、実にたくさんのワイン・ショーがあります。メルボルンやシドニーなどの州都で行われている200年近く続く伝統のあるものから、近年新たなテーマを設けて始められたものまで、その規模や影響力はさまざまです。

1つ大前提として覚えておいて頂きたいことは、現存する全てのワイナリーがこういったワイン・ショーに参加するわけではないということです。トロフィーやメダルを獲得するのはもちろんすばらしいことですが、ワイン・ショーで評価されることにそこまで重きを置かないワイン・メーカーも少なからず存在しています。トロフィーやメダルを冠していなかったとしても、すばらしいワインは多くあります。ですので、ショーの結果はあくまで目安の1つとして参考にしてみてください。

シドニー・ロイヤル・ワイン・ショー2017

さて、先日開催された「シドニー・ロイヤル・ワイン・ショー2017」のトロフィー獲得ワインのランチに出席しました。今回のショーでは全部で33部門のカテゴリーで、トロフィーや金・銀・銅のメダルが授与されました。

受賞ワインには、ショーの常連である老舗や大手メーカーの傘下にあるワイナリーと並び、小規模生産者へのトロフィー授与も見られました。今回は、その幾つかをご紹介します。

5冠獲得の「リースリングフリーク」とは?

規模や内容、影響力などが多岐にわたるワイン・ショーは、オーストラリア・ワインのトレンドや新しい生産者を知る上での良いきっかけとなる
規模や内容、影響力などが多岐にわたるワイン・ショーは、オーストラリア・ワインのトレンドや新しい生産者を知る上での良いきっかけとなる

今回のショーにおける最高賞であるWine of Showを含む5冠を獲得したのは、南オーストラリアのジョン・ヒューズの作る「リースリングフリーク・ナンバー3(Rieslingfreak No.3)」です。ライムや花の香りが爽やかで、清々しい口当たりを豊かに感じることのできるリースリングです。

そのブランド名から想像できる通り、ジョンは異なる産地、畑から、さまざまなスタイルのリースリングばかりを作る、異色のワイン・メーカーです。「リースリングフリーク」とは、ジョンのアデレード大学在学当時のあだ名で、昔からリースリングという品種に並々ならぬ情熱を注ぐワイン・メーカーであったことがうかがえます。2009年のヴィンテージ以来、異なる産地と畑から、辛口3種(No.2、No.3、No.4)、中辛口(No.5)、甘口(No.8)、酒精強化(No.7)、スパークリング(No.9)のリースリングを生産しています。ワイナリーの旗艦となる“ナンバー・ワン”はまだ存在しておらず、現在進行形で生産に取り組んでいるそうです。

ちなみにジョンは、人気TVシリーズ「マスターシェフ」の11年シリーズに出場した経歴を持っています。放映当時、彼の取ったある行動によって、ちょっとした話題となった人物でもありました。

エレガントで近代的なシラーズ

もう1つ印象に残ったワインは「ベスト・シラーズ」に選ばれた、バロッサのセント・ハレット(St Hallett)の「マッツコス・シングル・ヴィンヤード・イーデン・ヴァレー・シラーズ(Mattschoss Single Vineyard Eden Valley Shiraz)」です。冷涼なイーデン・ヴァレーの気候を生かしたエレガントなスタイルのシラーズで、軽やかな赤い果実と芯を感じさせるテクスチャーのある、モダンな印象のワインです。従来は高アルコールでフル・ボディのイメージが強かったオーストラリアのシラーズですが、近年はめまぐるしいスピードで多様化が進んでおり、このようによりエレガントで軽やかなシラーズもよく見みられるようになりました。これは何もシラーズに限った傾向ではありませんが、オーストラリアのワインの代表格であるシラーズは、その変化が特に顕著に表れる品種だと思います。

セント・ハレットもまた、どっしりとした伝統的なバロッサのシラーズの印象が強いワイン・メーカーでしたが、今回の受賞ワインは、より冷涼なイーデン・ヴァレーの気候を反映したシラーズで、近年のオーストラリア・ワインの変化をよく象徴するワインの1つであったと感じました。

新たなワインを知るきっかけに

ワイン・ショーはワインのトレンドや新しい生産者を知る良いきっかけとなる楽しい機会です。どんなワインがどの部門で賞を獲得したのか、お時間のある方は注目してみてください。

*今月のお薦めワイン*
Sydney Royal Wine Show 2017 お薦め受賞ワイン

ワイン好きの集まるディナーに

Rieslingfreak No.3 Clare Valley Riesling 2017/$25
Web: rieslingfreak.com
スパイシーな料理、ホタテのカルパッチョなどと

軽めの赤ワインが好きなパートナーと

St Hallett Single Vineyard Mattschoss Shiraz 2015/$55
Web: www.sthallett.com.au
鴨のロースト、タレ付き焼き鳥などと

贈答や特別な夜に

House of Arras Grand Vintage 2008/$70
Web: houseofarras.com.au
アペリティフに、生牡蠣などと


<著者プロフィル>
フロスト結子
◎日本人としての合格者はまだ少ないワインの国際資格WSET® Diploma in Wine & Spirits及び日本酒のAdvanced Certificateを取得。日本でワイン関連商社の貿易業務に携わった後、2009年オーストラリア人の夫との結婚を機にシドニーへ移住。現在はオーストラリア国内大手オークション会社であるGraysOnlineのワイン部門でカテゴリー・スーパーバイザーとして勤務する傍ら、フリーランスとしてライティング、ワイン関連の翻訳、市場調査などで精力的に活動中。ワインのコメントは「とにかくおいしそうに書く」がモットー。Web: auswines.blog.jp

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