法律相談室/入院数ナンバー1? フッティーにまつわる裁判

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第23回 入院数ナンバー1? フッティーにまつわる裁判

今月は、たくさんのオージーがAFL(オーストラリアン・フットボール・リーグ)のファイナルに注目していることでしょう。1850年代に始まったオーストラリアン・フットボール(フッティー)ですが、その起源は、ポッサムの皮に中身を詰めて作ったボールで先住民たちが行っていた蹴球ゲーム、とも言われています。当初は試合時間は決まっておらず、先に2ゴールを決めた方が勝ちでした。また、多くの試合が日没やプレイヤー同士のけんかで終了となりました。チーム・キャプテンが審判を兼任したので、ルール適用の公平性が完全に保たれたかどうかは疑問です。

このフッティーについて、1年間で4,000件近くの入院が発生したという調査結果があります。これは他のスポーツによる入院より多く、フッティーはオーストラリアで危険なスポーツ第1位であることが明らかになりました。

もしあなたがコンタクト(接触型の)スポーツに参加する場合、プレーヤーは偶発的接触やルール内の接触による負傷など、そのスポーツ特有のリスクを承認していると見なされます。しかしルールに違反して、故意に殴ったりした選手には、負傷した選手に対する法的賠償義務が生じる可能性が。もしその負傷選手がプロとしての選手生命を失うことになれば、加害選手は、負傷選手の治療費、痛み・苦痛(肉体的な痛み、不安症状などの精神的な痛み、外見が損なわれてしまったことに対する苦痛を含む場合も)だけでなく、所得損失に対する賠償責任を負うことになるかもしれません。

これは、加害選手に法的概念の「過失」があったこと、つまり、相手選手に対する注意義務を怠ったと見なされるからです。さらには、負傷させた側の選手が所属しているフットボール・クラブにまで、負傷した相手選手に対する賠償義務が生じる場合もあります。クラブ・チームと所属選手は、いわば雇用者と被雇用者の関係になりますので、雇用主であるクラブは、被雇用者である選手のアクションについて法的責任を負うことになります。

ところで、フッティーには女性ももちろん参加できます!2003年にメルボルンの女子生徒3人が、男子に混じってフッティーをプレーする権利を法廷で争う、というとても興味深い裁判がありました。当時、12歳以上の女子はフッティーに参加できないルールがあり彼女たちの参加は禁止されていましたが、結局3人は裁判で勝訴。それによってナショナル・ウーマンズ・オーストラリアン・フットボール・リーグ設立の道が開かれ、現在、女子フッティーの登録競技人口は10万人を超えています。更に今年初め、現存する8つのAFLプロ・チームに、来年17年開始となる国内女子リーグへの参戦が認可されるという、歴史的な出来事もありました。


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として24年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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