法律相談室/動植物に関するオーストラリアの法律(その1)

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第24回 動植物に関するオーストラリアの法律(その1)

ハリウッド・セレブのジョニー・デップと彼の当時の妻アンバー・ハードが、昨年5月に愛犬のヨークシャー・テリア2匹をロサンゼルスからゴールドコーストに違法(オーストラリアの検疫を通さず)に持ち込んだニュースは、大いにメディアを賑わせました。なぜあれほどの騒ぎになったのでしょうか?その理由の1つは、俳優のデップさんが映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』続編撮影のためにゴールドコーストを訪れていたから。2つ目は、地理上で孤立した島であるオーストラリアには、世界でここにしか存在しない多数の固有動植物が生息しているため、病気の侵入にかなり敏感だからです。

海外からオーストラリアに犬を持ち込む場合、およそ20もの手続き(輸入許可取得、狂犬病や体内・外寄生虫などさまざまな病気検査を含む)を踏む検疫をパスしなければなりませんが、これを全て終わらせるには数週間を要します。

地史の草創期、オーストラリアは地球上の大陸から切り離されました。そこで独自に進化した固有の哺乳動物のほとんどが、カンガルーやウォンバット、そして愛らしいコアラなどの有袋類。有袋類の中には卵を産む単孔類の動物もいますが、それは世界にたった2種しか存在せず、いずれもオーストラリアで発見されたカモノハシとハリモグラです。

またオーストラリアでは2万4,000種もの在来植物が生育しています。日本は約6,000種、イギリスは約1,700種といいますから、オーストラリアが桁違いであることは明らかです。このように、オーストラリアには特有かつとてもデリケートな動植物が存在しているため、海外から動物や植物、あるいは植物原料が入り込むことに対してかなり敏感で、厳重な検疫を通すのも当然と言えます。

オーストラリアへの動植物の持ち込みに関する法律に違反した場合、最長禁固10年の刑が科せられます。ハードさんは、自家用機でオーストラリアに到着した際に虚偽申告したことを最終的に認めたため、動物の密輸罪には問われず、訴訟も終わりました。結局、ハードさんは罰金1,000豪ドルを支払い公開謝罪も行い、その謝罪ビデオはインターネット上で大きな話題となったので覚えている人も多いことでしょう。

ところで、「バイオセキュリティー法2015」が2016年6月16日に施行されたことで、オーストラリアのバイオセキュリティー制度に重要な変更が生じました。これにより、オーストラリアの輸入業者も影響を受けています。

オーストラリアにはドッグ・フードの持ち込みに関しても厳しいルールがあり、例えば、産地国の政府公認獣医による証明書への署名が必要です。なお、剥製動物や動物の遺灰の持ち込みは可能です。

さて次回は、オーストラリアの動物保護に関する法律、例えば「サメを殺すのは違法?」などをお伝えします。


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として24年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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