法律相談室/交通渋滞がなくなる?

知ってると知らないでは大違い!
日豪プレス 法律相談室

第50回 交通渋滞がなくなる?

長い1日を終え、仕事から解放されるとほっとした気持ちで家路に着きます。それも束の間、ハイウェーに近付くにつれ増える車の数……辺りは車だらけ、渋滞に巻き込まれるのが常です。私たちは渋滞のイライラに何年も悩まされ続けていますが、渋滞は単に不便というだけでなく、事故のリスクも増大させます。果たして、交通渋滞は解消できるのでしょうか?

アリたちがそのヒントを教えてくました。渋滞のメカニズムを研究する“渋滞学”で有名な西成活裕(にしなりかつひろ)工学博士/東大教授は、アリの行列を観察し、車道や歩道での渋滞を回避し得る、幾つかのルールを考案しました。

アリの行列を見ると、そこには渋滞が発生していません。道路渋滞の原因は、ブレーキの連鎖反応だということが判明していますが、アリは決して急ブレーキを掛けたり、スピードを緩めたりはしないので、アリの行列に渋滞は存在しません。人間と違ってアリは、前方のアリとの間に常時適切で十分な距離を保って移動します。

西成教授は、「渋滞は進行方向とは逆のウェーブによって生じます。逆のウェーブは、ドライバーがブレーキを踏むこと(減速)で起こりますが、後続車が余裕を持って車間距離を空けていれば、前の車から伝わってきた渋滞のウェーブは車間距離に吸収されるので、前の車ほどブレーキを踏まないで済みます。このように渋滞のウェーブが徐々に消失していくのです」と述べています。

QLD州法では、事故を未然に防ぐために良好な運転環境下での車間距離を少なくとも「2秒」と定めています(時速60キロの場合、約33メートル)。トレーラーやキャラバンを引いている場合は、その長さ3メートルに付き1秒ずつ加算されます。アリの行列をまねして、交通渋滞が起きない適切な車間距離を保つために、規則よりも長い車間距離(少なくとも40メートル)を取るべきだ、というのが西成教授の考えです。

渋滞解消に効果的なのは、「ゆっくり、そして車間距離を空けて走ること」。ぜひ覚えておいてください。弊所では、渋滞中の車の流れに注意を払わなかった相手ドライバーによって追突事故に巻き込まれ、けがをしてしまった被害者を何人も見ています。西成教授によれば、たった8人のドライバーの心掛けで無数の車の流れを変えることができるそうです。あなたもその1人になりませんか?


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として25年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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