どこで暮らす? 日本人の海外生活・資産運用事情

夢をかなえる豊かな明日への投資術

第35回 どこで暮らす? 日本人の海外生活・資産運用事情


文=諸星きぼう

毎年、ロングステイ財団が調査している「長期滞在してみたい国・地域ランキング」において、オーストラリアは年々順位を下げ2013年で4位に甘んじています。一方、ここ10年近く第1位に君臨しているのがマレーシア、この3年順位を上げてきたタイが第2位となっています。思うに、この順位は実現可能で実際にロングステイや永住してみたいという希望なのでしょう。単純に住みたいところを自由に選べると言ったら、ハワイがダントツの1位になるのではないでしょうか。ハワイは根強い人気を誇っていますね。

オーストラリアがなぜ順位を下げたかはとても単純な理由です。リビング・コストが高過ぎて、実現が難しいということです。住宅価格はうなぎ登りに上昇し、物価もかなり高い。おまけにここ数年の豪ドル高で、円投での生活費確保はかなり厳しい状況となってしまいました。1豪ドル50円くらいになれば、1位に返り咲けるかもしれませんが。

そこでリビング・コストが安いマレーシア、タイ、フィリピンに注目が集まっています。この3国でダントツに人気が高いのがマレーシアということになりますが、その理由は何と言っても「生活の質」という一言に尽きるのではないでしょうか。言い換えれば、生活インフラの充実度ということです。

数値で表わすならば、1人当たりGDPに如実に表れており、マレーシア1万547ドル、タイ5,674ドル、フィリピン2,790ドルと格差は大きいです。

なんだオーストラリアの5分の1しかないのかと豪州で暮らしている人は思うかもしれません。しかし5分の1だから良いのです。

都心一等地まで車で10分の近郊で、150平方メートルの3ベッド・ルーム、プール、ジム、テニス・コート、スカッシュ・コートなどの設備が整ったコンドミニアムに月12〜3万円で住むことができます。節約したければ、広さを110平方メートルにして設備は同じ、ちょっと古めのコンドミニアムを選べば10万円もしません。こんな生活がオーストラリアで実現できますか?つまり、日本人を初めとした外国人にとってマレーシアは天国なのです。

タイのバンコクですと、もっと高いようです。フィリピンはもっと安いですが、治安が悪過ぎます。

滞在ビザについても、マレーシアはMM2Hという10年更新のビザが取得条件を満たせば取得でき、取得しても住む必要もありません。タイは1年更新のビザなので少し心許ないかもしれません。フィリピンは50歳以上なら永住権がお金で買える感じで、たった2万ドルを銀行預金にすれば良いのです。一部の恵まれた人にとってのオーストラリアとは彼我(ひが)の差があります。

マレーシアのショッピング・モールなどは、初めて行った時オーストラリアとそっくりだと感じました。元英領だったということで、似ているのでしょう。生活費については、よく日本の3分の1だと言われていますが、日本人が日本人らしく暮らすならば、日本の8〜9割ではないかと感じています。

そのマレーシアには年金生活者だけではなく、現役世代も続々とビザを取り、ビジネスの拠点にしたり、運用の拠点にしたりしています。

その運用として行われているのは、まず不動産です。ここ数年の値上がりはちょっと過熱気味だったと言わざるを得ません。マレーシア人の3割が中国系ですから中国とのパイプが強く、中国マネーがマレーシア不動産を買い漁った姿は豪州にそっくりです。ですから、正直現時点でマレーシア不動産への投資はリスクが高いと思われますが、こちらで跋扈(ばっこ)している日本人経営の不動産業者が日本国内の日本人に煽って売っており、困ったものです。とはいえ、初めてマレーシアにやって来て、いきなり不動産を買ってしまう金融リテラシーのない人が多いのも問題です。

こうした不動産市場の過熱はフィリピンでも同様のようです。いずれも長期的に見れば、国の発展とともに割高感は薄れていくとは思いますが、もっと現地を調べて投資することをお勧めしたいです。

マレーシアでの運用ということでは、イスラム金融という私たち日本人には馴染みの薄い投資案件もあり、今後世界人口に占めるイスラム人口の比率がかなり高まる中で、イスラムとの接点ともなります。

高騰してしまったマレーシアなどの不動産の替わりに、リスクが取れる投資家の目は既に、カンボジアなどに向かっています。10年前のマレーシアであれば、今投資すれば大きなリターンが得られるかもしれません。

これからの生き方として、5つのフラッグを立てる話を書いたことがあると思います。1つは国籍がある国、2つ目は居住する国、3つ目は資産運用の拠点とする国、4つ目はビジネスの拠点とする国、5つ目は楽しむ、遊ぶ国です。

マレーシア、タイなどは、現在第2フラッグの居住する国に適していますが、10数年後には物価水準が上がり適さなくなっているかもしれません。でも、フラッグは立て直せます。人生のその時その時に適した国に、5つのフラッグをそれぞれ立てていけば良いのです。さまざまな国にフラッグを立てて、人生を充実させていきたいものですね。

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著者プロフィル もろぼしきぼう

投資教育家。(社)証券アナリスト協会検定会員。1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンでデリバティブ・トレーディングを実践。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメント・サロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営、投資アドバイスを行っている。著書に『お金は週末に殖やしなさい』(2010/10)、『大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術』2009/3)。オフィシャル・サイト: www.ideal-japan.com ブログ「自由人ダンとオーストラリア」: ameblo.jp/daichi-megumi ブログ「諸星きぼうの豊かに生きるための思考法」: daichi-megumi.blogspot.com Facebook: www.facebook.com/#!/kibo.moroboshi

 

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