2014年、ありそうもないシナリオ

夢をかなえる豊かな明日への投資術

第30回 2014年、ありそうもないシナリオ


文=諸星きぼう

毎年2月号では(執筆時点では新年になります)、その年1年の相場展望を掲載しておりましたが、今年は趣向を変えまして、あえて「ありそうもないシナリオ」を書いてみたいと思います。というのも、皆が同じ方向を見た時はそうならないというのがマーケットの常だからです。

その楽観シナリオとは、(A)世界経済の緩やかな拡大が続き、投資家は「グレート・ローテーション」の流れで債券からエクイティへと資産を移す。(B)中でも、米国への投資を筆頭に先進国株式の比率を増やすため、米国株式は堅調になる。(C)テーパリング及び将来の利上げを見込み、米長期金利は上昇し、米ドルが上昇する。(D)日本は徹底的な金融緩和に舵を切っており、円安はさらに進行する。(E)円安の恩恵を受け日本経済は消費増税があるものの堅調であり、日本株式は上昇する。(F)新興国経済はリスク・マネー引き上げにより当分低迷が続く、といったものです。

こうしたコンセンサスに対して、現時点ではありそうもないと一笑に付されるシナリオが現実化するかもしれません。

 

(1)日本経済・再低迷
(2)ドル円90円割れ
(3)原油価格暴落1バレル60ドルへ向かう
(4)ユーロ急落
(5)ブラジルをはじめ、新興国経済復活
(6)米国経済、超好景気へ、米国株式急騰
(7)日経平均株価2万2,000円突破
(8)金価格1オンス600ドルに向かう
(9)オーストラリア・ドル、対円で120円突破
(10)マレーシア不動産、急落

紙面の都合上、(1)から(5)までのケースを解説します。

(1)アベノミクス、黒田日銀の異次元金融緩和により、円安が進み株価も上昇した。そしてGDP成長率も2013年第1四半期、第2四半期と前期比3%を超す成長を見せた。しかし、第3四半期は既に1%台の成長へと減速しており、加えて今年4月に消費増税が実施されるため、成長率は低空飛行を免れない。13年、株価が50%を超す急騰を見せたこともあり、増税をきっかけに株価が急落する可能性がある。この株価の急落によりリスク・オフとなり円安から一転して円高となり、景気は低迷していく。

(2)円安がコンセンサスとなっているが、一本調子で円安になるとは限らない。米国経済堅調によりテーパリングが進展するという予測が大勢であるが、それがスタックするような出来事が起きることも考えられる。今となっては年中行事となっている米国債務上限問題が深刻化し、米国経済が一時的に麻痺することも頭に入れておく必要もあるだろう。米長期金利の上昇が止まらず経済失速という事態も考えられる。米国発のドル急落のほか、(1)に書いた日本初の円高もあり得る。

(3)米国のシェール革命によりエネルギー価格が長期的に下落する可能性は指摘されてきたが、原油価格は一向に下落していない。原油価格は政治的に決められているからである。代替エネルギーの開発は原油価格が高止まりしたおかげで進むので、シェール革命進行中の米国はまだ価格下落を望まない。しかし、近い将来、米国の低価格生産が可能になった時点では他国のシェール開発を止めるために下落を望むかもしれない。14年ということでは、シリア問題で腹を立てているサウジアラビアが常任理事国も拒否したように反発を強くしており、シリアを支援しているロシアを苦しめるために原油の大量増産に踏み切り原油価格を暴落させるという可能性もある。

(4)ユーロ相場が堅調である。ドル上昇でユーロ・ドルは下落すると予想した向きが多かったと思われるが、13年ユーロは対ドルで4.27%上昇している。ユーロの底堅さについては、かつての日本のようなデフレ経済により今後も続くと考えられている。ECBはドイツのブンデスバンクの遺伝子を多分に引き継いでおり、良く言えばインフレファイター、悪く言えばインフレ恐怖症である。よって、ユーロ圏経済のこれほどの低迷にもかかわらず金融緩和に関してはかつての日銀のような牛歩緩和しかしてこなかった。しかし、ついにECBもユーロ高、欧州経済低迷に業を煮やし、13年の黒田日銀のような超・金融緩和を進めることとなり、ユーロは急落することになる。ユーロドルで1.2を再度割り込み、ユーロ円も120円台となる。

(5)13年、バーナンキFRB議長のテーパリング開始発言により、リスク・マネーが急激に新興国、特にファンダメンタルズがあまり良くない、インドネシア、インド、トルコ、ブラジル、南アフリカなどから引き上げられ、通貨は急落、株価も下げた。14年はテーパリングが徐々に進行していく中、先進国経済は堅調であるが新興国は冴えないというデ・カップリングが予想されている。しかし、リーマンショック後のデ・カップリングは結局カップリングされていったように、今回も先進国、特に米国の経済拡大により新興国経済も復活することになる。ただし、そのためには新興国も自国経済の問題点を正していくという前提である。

それぞれのケースは矛盾しているものもあり、同時に起きるというわけではありません。

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著者プロフィル もろぼしきぼう

投資教育家。(社)証券アナリスト協会検定会員。1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンでデリバティブ・トレーディングを実践。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメント・サロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営、投資アドバイスを行っている。著書に『お金は週末に殖やしなさい』(2010/10)、『大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術』2009/3)。オフィシャル・サイト: www.ideal-japan.com ブログ「自由人ダンとオーストラリア」: ameblo.jp/daichi-megumi ブログ「諸星きぼうの豊かに生きるための思考法」: daichi-megumi.blogspot.com Facebook: www.facebook.com/#!/kibo.moroboshi

 

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