マイホーム購入に依頼する弁護士について教えてください

Q 自宅を購入しようと考えています。不動産エージェントから弁護士を雇うようにといわれましたが弁護士に何をしてもらえるのか、よく分かりません。大まかな流れを含めて説明して下さい。
(32歳会社員=男性)

 

A かなりの情報量となりますので、ご質問に対しては今回から2回にわたって回答し、この機会にそれに続く3回目にOff-the-Plan(オフ・ザ・プラン)での不動産購入に関して述べたいと思います。

まず、知っておかなければいけないことは、不動産業者(エージェント)の役割はあくまでも売主の依頼の下で任務を遂行することであり、買主の利益のために行動することではないということです。また、購入したい物件を定め、必要に応じて銀行などの金融機関にホーム・ローンを申請することになりますが、その際当然のことながら、そうした金融機関は申請者の返済能力や、その不動産自体の担保価値についてのみ審査します。これはつまり、買主が最も得たい、また、得る必要がある「この物件を買ってもう良いか」という点についての助言はエージェント、ローン提供者のどちらからも得られるものではないことを意味します。

唯一、買主の利益を最大化するよう努める義務を持つのはConveyancing(不動産所有権を移転するという意味の法律用語)を行う弁護士です。彼らは依頼者である買主が「購入」という決定を行うために必要な関連情報をすべて得るべく行動します。言いかえれば、彼らの役割は「買おうとしている家が自分の期待する状態であるか」という買主の質問に答えるということなのです。

ほかの物品を買う場合とは異なり、不動産の購入には書面による契約が必須です。売主と買主がそれぞれ契約書に署名し、買主より売主に頭金が支払われた時点で契約締結となります。契約締結前の約束事は何の拘束力も待ちません。逆に、契約締結以降は、購入を取りやめることは当然できませんし、他方当事者の同意が得られないと契約事項の変更などを行うこともできません。したがって、契約締結以前に、①必要なレポート(調査書類)をすべて入手、②ローン申請が承認されていることを確認、③契約書の内容説明を弁護士から受け、条件についての交渉をすべて完了、しておくことが必要となってきます。契約締結時には契約価格の通常10パーセントが頭金として支払われます。エージェントが「SOLD」の看板を物件に掲げるのはこの時点です。

しかしながら、同じ物件に興味を持っているほかの人々との競争など、さまざまな理由で購入を即決することが必要な場合も多々あるのが現実です。そうした場合、少なくともクーリング・オフ期間が与えられることを確認することが重要です。クーリング・オフ期間内であれば契約締結後も購入を取りやめることができます(ただし契約金額の0.25パーセントの支払い義務が発生)ので、この期間に弁護士の助言を求め、必要調査やローン手続きの調整などを行うことができます。注意すべきことは、オークションでの購入の場合にはクーリング・オフが対象外となることです。つまり上述の3点はオークション前に完了しておく必要があるということです。

※なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。


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山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

 

NSW大学法学部・教養学部卒。International Lawyers Co-operativeのメンバーであるYamamoto Attorneysの代表として各種法務を遂行している。

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