遺言の準備とその管理方法について教えてください

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法律

Q

歳を重ねてきたので遺言を作ることを考えています。その際、オーストラリアで遺言を作る時の注意点を教えてください。また保管方法などを含めて、遺言書を作った後に注意するべき点についても教えてください。(60歳主婦=女性)

A

遺言とは自分の遺産がどのように分配されるのか、誰の采配で遺産分配、生前の諸事の整理が行われるのか、自分の望む葬儀などが明記される文書で、これらの処理に故人の遺志を反映させる手段は遺言の他にはありません。遺言は歳をとっている、いないに関わらず、オーストラリアを拠点とする日本人なら「もしもの時」に備えて作っておきたい大事な書類と言えるでしょう。

法律に従った遺言の作成

遺言は(ある種の例外を対象とし)18歳以上であれば誰でも作成することができます。遺言作成者は文中で「Testator(男性)」「Testatrix(女性)」と言及され、遺言上の受益者は「Beneficiary」と言及されます。また遺言には遺言執行人「Executor(男性)」、「Executrix(女性)」の任命が必要で、執行人は遺言に記載されている通りに任務を遂行する役割を持ちます。執行人として任命を受ける者は基本的に誰でも良いのですが(家族、友人、弁護士など)、豪州裁判所への書類提出や、執行費用の支払いを遺産から払う手続きをする役割があり、現実的なこととして豪州国内に居住している者を含める必要があると言えます。

オーストラリアでは、遺言は法律による規定に従って作成されたものでないとその真正と有効性を認められることが非常に困難になります。よって、せっかく故人の遺志が文書に反映されていても、規定に沿って作成されていなければ遺言としては無効となり、遺言不存在として扱われることも多くあります。規定に沿った形式とするには、例えば規定の文言が含まれていること、加筆修正されていないこと、最低2人の立会人同席の下で行われた署名であること、などの条件をクリアしていなければなりません。また最近では書店などで自分で遺言を作成するための雛形が売られていますが、こうした遺言はとかく故人の遺志が不明瞭であったり、書かれている文言から不必要な税金の発生を招いたりすることがあり、遺言執行の際に多額の費用が発生することが多々ありますので、こうした雛形を利用するよりも弁護士に依頼することをお薦めします。

また、遺言は常に自分の境遇に合致したものである必要があります。従って、作成された遺言は結婚、離婚、別離、子どもの誕生など人生の節目で見直し、その時点での自分の意思を反映する内容であるかを見直すことが重要です。例えば、遺言書作成後に結婚した場合、婚前に作成された遺言書は一般に全て無効となります。離婚をした場合も、婚姻期間中に作成された遺言の配偶者に関わる規定を全て無効にしてしまう効果を生じさせますので注意が必要です。従って、結婚、離婚の際には通常遺言の再作成が必要となります。

遺言の保管については次号で詳しく解説します。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

1998年NSW大学卒業(法学士・教養学士)。同年弁護士資格取得。1998年より数々の法律事務所での経験を重ねた後、「Yamamoto Attorneys」を設立、現在に至る

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