ナンバー・プレートの自動識別システムについて – 身近な法律問題

法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第31回:ナンバー・プレートの自動識別システムについて

ナンバー・プレートの自動識別システム(Automatic Number Plate Recognition systems以下、ANPR)は走行している車両のナンバー・プレートを自動的に読み取り、瞬時に登録されている情報と照会した上でセンターのデータベースに記録されるシステムのことで、オーストラリアでは2005年にNSW州で初めて導入されました。現在はオーストラリア全土において採用されており、近年は違反者の取り締まりにも大きな効果を上げています。

このANPRで取得した情報は渋滞情報や統計資料などに用いられる他、盗難車両、無車検で走行している車両、免許停止になっている人の名義車両など違反を犯していると思しき車両をさまざまな情報から自動的に識別してセンターに通知を行っています。

元来、ANPRは違反車両を効率良く取り締まることを目的に開発されてきましたが、近年では技術革新によって取り扱っている項目も増加しており、オーストラリアでは車のフロント・ガラスに貼ることが義務付けられていた「Registration」のシールが数年前に撤廃されたのもANPRの技術革新によるものです。

現在では通知を受けたオペレーターが全てさばき切れないほどANPRは膨大な量の情報を瞬時に処理しており、オペレーターは受けた通知の中から優先順位を付けて対応しなければならないほどになっているのが実情です。

ここ数年はニュースや書籍などでもANPRが紹介されていますから、飲酒運転で捕まった人の中には「捕まった時に運転していた自分名義以外の車ならANPRに登録されていないから大丈夫だろう」という認識の下、免停中にもかかわらず、夫(妻)や両親など家族の車を乗り回しているような人がいますが、これは絶対にお勧めできないことです。

近年の司法改革でシステムは変更されており、飲酒運転で免許停止になった人が運転していた車両(+違反者の名義車両)だけでなく、その人の住所に登録されている車両も全てANPRのデータベースに登録されるようになっているからです。ですから飲酒運転の再犯者の人は「たまたま運が悪く、また捕まった」のではなく、司法や警察が「またやる可能性が高い」と思われる違反者をピンポイントで狙い撃ちしたと考えるべきなのです。

これからの時代、「間違ったことをすると必ず裁かれる」という認識を持つことが大事です。


弁護士:神林佳吾
(神林佳吾法律事務所代表)

1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後13年以上にわたって訴訟を中心に応対

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