警察官に職務質問されたら – 身近な法律問題

法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第35回:警察官に職務質問されたら

警察官に職務質問をされた際、持ち物を確認されるのはまだ分かるのですが、ポケットを裏返して中身を見せるように指示されたり、誰に電話をしていたのか確認する目的で携帯電話のロックを解除して渡すよう求められたり携帯電話に登録してあるソーシャル・メディアやメールなどをチェックされたりといったことは合法なのでしょうか?

QLD州の法律では、「Police Powers and Responsibilities Act 2000」のChapter 2において警察官が、異常な挙動やその他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪の疑いがある場合、もしくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由がある場合、職務上必要であれば、上記に挙げたような要求を行うことが認められています。もちろん、犯罪の疑いがある“相当な理由”が前提となるわけですが、法的な見解は一定ではなく、また警察官はその理由を説明する必要はありません。

警察官は携帯電話が盗品であったり、犯罪に使われている可能性の疑いがある場合には中身を確認することができますし、重大事件の証拠となる写真や動画がある場合には携帯電話の提出を要求することができます。

(Photo: Queensland Police Facebook)
(Photo: Queensland Police Facebook)

警察官に与えられている捜査上の権限は広く、これと言ってガイドラインが明確にされているわけではありません。分かりやすいところでは停止させてある車内から大麻の匂いがしたり、複数の携帯電話を所持しているような場合や、何かを隠すような仕草が見て取れる場合には所持品検査が職務として必要と言えるでしょう。

一方で、警察官は何の理由もなく、独断でランダムに車両や携帯電話などの所持品検査を行うことはできないので、何か疑わしい理由がなければ、このようなことが求められることはありません。

日本では「任意」というイメージから義務ではないようなイメージがありますが、QLD州では警察官による職務質問や所持品検査など警察の捜査には基本的に協力しなければなりません。もちろん、違法性が確認されなければすぐに開放されるでしょうし、応じられない合理的な理由がないようなら、素直に従って身の潔白を証明するのが賢い選択です。


弁護士:神林佳吾
(神林佳吾法律事務所代表)

1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後14年以上にわたって訴訟を中心に応対

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