オーストラリアの飲酒検問は、任意なのか? – 身近な法律問題

法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第37回:オーストラリアの飲酒検問は、任意なのか?

オーストラリアの飲酒検問「ランダム・ブレス・テスト(Random Breath Test)」は、いわゆる強制捜査ですので、拒否することができません。飲酒検問で警察官から誘導があった場合、警察官の指示に従って、速やかに車両を停止させなければなりません。

この指示に従わずに走り去ると警察官に追跡されてしまうばかりか、6,000ドル以下の罰金が科せられることがあります。警察官の指示に従い車両を指定の場所に停止させた後、警察官は運転手に名前と住所を尋ねたり、運転免許証の提示を求めてくる場合があり、これらの質問に対して運転手は正しく応える必要があります。

これらの質問や要請が行われずに、そのまま呼気検査に移行する場合もありますが、呼気検査で血中アルコール濃度が0.05%(QLD州の場合)以上の反応が出た場合、より精度の高い機械を使用して再検査が行われます。再検査は最寄りの警察署か、「ブーズ・バス(Booze Bus)」と呼ばれる飲酒検査用の特殊バスで行われるのが一般的です。これらの検査場への移動に応じない場合、警察官は法律に基づき、必要となる手段を用いて運転手を強制的に連行することができます。

前述した通り、飲酒検問における呼気検査は任意ではないので、拒否することができません。法律上、運転手は呼気の提出が義務付けられており、被疑者が呼気の提出を拒む場合、実際に飲酒していたかどうかに関係なく、飲酒運転をしていた場合よりも高い処罰が科せられる深刻な犯罪として取り扱われます。

QLD州で呼気検査を拒否した場合、その場で運転者の免許が停止されることとなり、更に血中アルコール濃度0.15%以上で車両を運転していた時と同等のペナルティーが科せられます。言い方を変えると、最低6カ月間の免許停止、罰金4,000ドルまたは6カ月間の懲役刑が科せられるということです。私の経験上、車両の接触事故が起きている場合は懲役刑が言い渡されるケースが多いです。

結論として、飲酒検知を拒否することは賢い選択とは言い難いということです。正当な理由を説明せずに飲酒検査を断ったり、その場を離れようとするのは捜査対象を広げるだけです。もちろん、違法性が確認されなければすぐに解放されるでしょうし、隠す必要もないので、素直に従って身の潔白を証明するのが賢い選択と言えます。


弁護士:神林佳吾
(神林佳吾法律事務所代表)

1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後14年以上にわたって訴訟を中心に応対

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