オーストラリアで刑事事件に巻き込まれたら③ – 身近な法律問題

法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第43回:オーストラリアで刑事事件に巻き込まれたら ③

刑事事件で起訴された場合

日本では基本的に検察のみが被疑者を起訴する権限を有しているので、比較的軽微な犯罪(例:軽く小突いただけの暴行や低額の窃盗など)でも、原則として警察が覚知した全ての事件について警察から検察に送られ、検察が最終的に起訴するか否かの判断を下すことになり、最終的に不起訴処分になることも少なくありません。他方、オーストラリアの刑事事件は日本と全く制度が異なり、ほとんどの犯罪事件で警察が起訴する権限を有しているため、最終的に裁判所が処分を決めることになります。

オーストラリアの警察は逮捕から4時間以内に起訴するかどうかを判断しなければならず、犯罪行為が確認されたほとんどのケースで4時間以内に起訴の判断が下されます。しかし、この時間を過ぎたからといって起訴手続きが無効になることはありません。

もし警察に起訴された場合、あなたは被告人となり、あなたに対する処罰の決定は裁判所で行われます。そして、刑事裁判では裁判官によって有罪か無罪か、及び有罪になった場合には懲役刑や禁錮刑などの刑罰が決められ判決が言い渡されます。

警察があなたを起訴する場合、どの裁判所にいつ行かなければならないのかが書かれた「Court Attendance Notice」と呼ばれる書類が渡されます。警察から手渡された書類や資料は、弁護士との打ち合わせに必要なので大切に保管し無くさないようにしてください。

逮捕から裁判まで

日本では軽微な犯罪で逮捕されてもその後、勾留されなかった場合は起訴され判決が出るまで数カ月以上の時間を有することが多いですが、オーストラリアでは起訴されて判決が出るまでのタイム・スパンがとても短く、1カ月ほどで結審する(判決が出る)ことも少なくありません。特に軽微な事件でかつ被告人が罪を認めている事件は、1回の裁判期日で裁かれることになり、その場で即日判決が言い渡されるのが特徴です。そのため、逮捕されたら迅速に対応する必要があります。

また、オーストラリアの裁判所は1日に膨大な数の刑事事件を裁いているので、十分な準備をせずに裁判に臨んだり、裁判官の問いに関係のない回答ばかりしていると「準備してから来なさい」とすぐに裁判は打ち切られ、裁判が数カ月先延ばしになることもよくあります。

更に、被告人と意思疎通が取れない状態で裁判所が一方的に判決を言い渡すことはできないので、通訳の準備などを含め事前に準備をしてから裁判に臨まなければならないため注意が必要です。


弁護士:神林佳吾
(神林佳吾法律事務所代表)

1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後14年以上にわたって訴訟を中心に応対

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