事件で業務活動ストップ…損益をカバーする保険はありますか

Q 12月15日にシドニーでおきた人質立てこもり事件には驚きました。比較的治安が良いと言われているシドニーでの事件に非常に大きなショックを受けたと同時に、同事件の影響で2日間ほど通常業務を行うことができず、少なからぬ逸失利益損失が発生しましたが、このような損失をカバーできる保険はありますでしょうか。
(46歳飲食店オーナー=男性)

 

A まず最初に、同事件においてお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、皆様が平和で安全な生活を送ることができることを切に願います。

さてご質問についてですが、まず前提としてテロ事案に関わる損害はオーストラリアの一般的な保険においては別扱いとなっています。今のところ同事件についてはテロ事案との定義づけがなされておりませんので、以下はそれを踏まえてのご説明となります。

逸失利益補償も含む事業中断への保険は一般的に財物保険の一部として扱われます。財物保険とは火災や落雷、風水災などによって自前の資産に損害があった場合の保険ですが、そういった自己資産(建屋や在庫資産、什器備品など)への損害を発端にして通常の業務活動がストップしてしまった場合に発生する逸失利益損失、業務活動が止まった場合でも継続して発生する固定費(人件費含む)、事業中断を最小限に抑えるために発生する追加費用などを保険対象として扱うように保険がデザインされています。この保険補償を発動させるための大前提は自己資産への直接損害があったことが条件付けられています。

しかしながら、一部例外として直接損害がない事業中断をカバーできる特約があります。それは、変電所などの火災により電気やガスの供給がストップしてしまった場合の事業中断、伝染病などが理由で監督機関から特定地域へのアクセス制限を要請された場合の事業中断、特定のサプライヤーもしくは顧客での損害が理由の事業中断、また近隣地域での火災や事件により警察などから特定地域へのアクセス制限を要請された場合の事業中断などがそれに当たります。

今回のケースは上記最後の場合と想定される可能性がありますが、その場合でも自社の事業中断が警察などの要請による案件か(自主的なものではないか)、近隣地域の定義が周囲何キロと定められているか、また金銭的な免責と合わせて中断が何時間以上になった場合という時間的な免責の設定がどうなっているかなどの条件を確認する必要があります。

では実際に保険金求償を行うとなった場合には、損害額を証明するために、逸失利益が該当事件に直接的に起因していること、また損失額を証明するために前年同時期や、ひと月並びに1週間程度前後の売り上げ実績などを根拠に算出させることになりますが、通常はそういった算出手続きは外部専門家に対応してもらい、そのための費用についても保険対応が可能となります。


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斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア ジャパン保険サービス部

 

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

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