【特集】オーストラリアの不動産&投資事情(2016年版)

文:内藤タカヒコ 監修:OPIC海外不動産情報センター、高田裕司氏 協力:ブリース洋子公認会計士事務所、ブリース洋子会計士

近年オーストラリアでは不動産の家賃上昇に伴い、賃貸よりも購入して資産としたいと考える人が増えているという。購入の際には将来のキャピタル・ゲインなども考慮した投資的な面も無視することはできない。だが、不動産購入や投資に関する知識や経験が少なく二の足を踏んでしまう人が多いのも現状だ。そこで今回は、オーストラリアでできる投資や、不動産売買について紹介しよう。


あわせて読みたい
関連リンク

オーストラリアの
不動産&投資事情 ▶▶▶

不動産業界の老舗「レイ・ホワイト・サーファーズ・パラダイス・グループ」 ▶▶▶

商業物件から住宅まで「バージェス・ローソン・ゴールドコースト」 ▶▶▶

不動産事業も留学手続きも「住友リアルエステート」 ▶▶▶

「大京オーストラリア」に聞く豪州でのマンション開発と市場動向 ▶▶▶


投資にはどのような種類があるの?

将来に備え、自分たちが所有している資産を有効に投資して増やしたい、そう考えている人は少なくないだろう。オーストラリアでは不動産価格は上昇を続け、購入した時の価格より高い価格で物件を売却できたという話も多く聞く。あるいは投資目的で不動産を購入し賃貸物件として運用するケースも多くなっている。

だが、投資とひと口に言ってもさまざまな種類がある。もし資産が目減りしてしまったら……と不安に感じて手を出せないという人もいるのではないだろうか。本特集ではオーストラリアにはどのような種類の投資があるのかを紹介していく。もし気になった場合は専門家であるファイナンシャル・プランナーに相談するなどして、将来のために計画的に投資を行うようにしよう。

●キャッシュ、債権など

元金が保証され、利息が配当される投資だが運用率は低い。物価の上昇は貨幣価値の下落を意味し、10年前の1万ドルは現在の1万ドルと同じ価値ではない。そうしたことから、長期的には元本の価値が低下するリスクも考えられる。とは言え「ロー・リスク・ロー・リターン」の代表選手といえる銀行の定期預金などは、初心者が投資の第1歩として始めるにはふさわしいと考えられ、また比較的短期間での運用に適していると言える。

●株式投資

オーストラリア国内や、世界経済の動向によって大きく左右され、テロや戦争、自然災害や市場調整などにより急激に落ち込むことも考えられる。オーストラリアは豊富な資源を有する輸出大国であり、サービス産業をはじめ、さまざまな業種が存在し、それだけ投資先も選べる魅力的な市場でもあるが、投資に関する知識は必須となる。

●投資ファンド

個人で資産を運用するのではなく、投資ファンド(投資信託)会社を利用して運用する方法もある。これは個人が投資ファンド会社へ投資し、その会社の専門家が株や債権、不動産などに分散して投資を行う。メリットとして少額からでも運用できること。投資ファンド会社は分散して投資するためリスクが低いこと。またタックス・リターン時の事務手続きなど管理が簡単なことが挙げられる。

●不動産投資

一般住宅や商業ビルなどを購入し、賃貸することで家賃収入を得たり、資産の値上がりを期待し売却時に利益を得ることも考えられる。また自分自身が開発主となったり、複数の投資家と共同で開発を行い、分譲したり賃貸で運用する方法もある。オーストラリアは人口が年々増加し、戸建て住宅の供給が安定しているため、魅力的な不動産投資先として世界中の投資家が注目している。ただし一部のエリアではマンションが供給過多となり、今後の動向に注意が必要と言われている。

日本と大きく異なる不動産事情

●不動産会社の立場が違う

オーストラリアで不動産の売買を行う時に気をつけたいのが、日本とは事情が違うということをきちんと理解しておくことだ。

例えば日本の場合、賃貸や購入を考えた時に、まず不動産会社へ行って自分の求める条件を伝え、それに合うような物件を紹介してもらい、気に入ったら契約するという流れになる。ところがオーストラリアでは物件は自分で探すのが基本だ。ローカルの不動産会社へ行って物件を紹介して欲しいと頼んでも、自社物件の紹介がメインとなり、他社保有の物件まで紹介するケースは少ないだろう。これは不動産会社の立場が日本と違うためだ。

売買のケースでは、日本の不動産会社は売り主と買い主の両者から手数料を取るシステムで、そのため両者の利益になるようにバランスを取りながら、妥協できるポイントを探しながら商談を進めていく(図1参照)。

これに対し、オーストラリアの不動産会社は、売り主から手数料を取り、売り主の利益のために動く(図2参照)。

日系の不動産会社も基本的には同様だが、買い主の日本人は日本と同じ感覚で不動産会社を訪れ、物件の紹介を依頼する。そのため場合によっては、日系の不動産会社は自社の仲介物件では不十分な場合、買い主自身が見つけてきた物件に対し、売り主側の不動産会社にコンタクトを取って契約へ向けて動くこともあるが、立場上は売り主側に立つことになる。

このようにオーストラリアでは売り主が交渉優位なイメージを持つが「バイヤーズ・エージェント」を利用すると、対等の立場で商談することができる。手数料は発生するがバイヤーズ・エージェントの契約を結んだ不動産会社は買い主の側に立ち、その利益のために動くので、積極的に物件を紹介したりオープン・ハウスに同行しアドバイスもする(図3参照)。英語での交渉や書類手続きなどに不安な人が安心できる制度だが、買い主の立場でサポートしてくれるため、ローカルの買い主もなじみの不動産会社をバイヤーズ・エージェントとして利用することがある。

●弁護士は絶対に必要

売り主と買い主が納得すればいよいよ契約が結ばれることになるが、この時には必ず弁護士が必要になる。売り主と買い主の両者にそれぞれ弁護士が付き、契約書の内容に問題がないか確認し、修正、追加などが必要であれば弁護士同士がやり取りを行い、決済(セトルメント)となる。

この他に購入する物件の土地税や地方税、水道代などの未払いがないかの確認も弁護士が行う。もし未払いがあった場合は不動産所有者が支払う責任があるため、前のオーナーの分も支払わなければならないことになってしまう。

不動産購入のステップ

まず最初に予算や場所、いつまでに購入するのかといった目標を設定し、インターネットなどを使って物件を自分で探す。買い主がビジネス・ビザなどの場合は購入後の利用やビザが失効した場合に規制があるので注意が必要だ(永住権を持っていれば制限がない)。物件選びの基準は人それぞれだが、1つ意識したいのが物件を「資産」として見ることだ。

オーストラリアではライフ・スタイルの変化に合わせて住み替える人が多く、売却時のことも考えて購入する。そのため将来物件の価値がどのくらい上がるのかといった面からも考えてみると良い。また同時に頭金の準備と、ローンを組む場合はいくらまでローンが利用できるのかを事前に確認するために、銀行やモーゲージ・ブローカーなど複数のローンを比較し自身に最適なローンを提供する機関に依頼し「プレ・アプルーバル(ローンの仮審査)」を用意する。これには収入証明と銀行の残高証明が必要になる。

気になる物件が見つかったらオープン・ハウスという現地見学会に参加しよう。誰でも気軽に参加できるので、遠慮せずに積極的に参加し、物件を見る目を養いながら自分にふさわしい物件を探す。

購入の意思があれば不動産会社の担当者に連絡をして契約の準備を進める。買い主と売り主の両者がそれぞれ弁護士に依頼し契約条件を詰めていき、合意に到れば契約を締結することになる。

永住権を持っていない外国人が不動産を購入する場合はFIRB(外資審議委員会)の許可が必要で通常は弁護士などが申請を行うが、契約を締結する前にFIRBの許可が必要とされる。また購入価格が100万ドル以下の場合5,000ドル、100~200万ドルの場合は1万ドルの費用が必要になる。

同時に銀行やモーゲージ・ブローカーに住宅ローンをどう組むのか相談する。通常は契約締結後14日以内にローンのアプルーバルを取り、建物に問題がないかを確認するビルディング・インスペクションと、白アリなどの被害がないか確認するペスト・インスペクションをそれぞれ専門の業者に依頼し、レポートが届いたら弁護士に確認してもらう。

その後セトルメント(決済)が買い主、売り主、銀行のそれぞれの弁護士間で行われ引き渡しとなり、後は引っ越すだけとなる。

■在豪者の住宅購入の一般的な手順

目標設定
●予算はどのくらい? ●いつまでに? ●どんな物件? ●場所はどこ? ●妥協できる点は? ●優先すべき点は?など具体的に目標を詰めていく。頭金をどのくらいに設定するか、またその準備

情報収集
●何をすればいい? ●何が必要? ●いつまでに必要?

プレ・アプルーバルの準備
モーゲージ・ブローカーや銀行に依頼。収入証明の準備。銀行の残高証明の準備

買い主が連絡し依頼する人:モーゲージ・ブローカーまたは銀行

物件探し
インターネットの活用。オープン・ハウスに参加。とにかく多くの物件を見る

バイヤーズ・エージェントを決める
希望条件を伝える
物件を紹介してもらう

買い主が連絡し依頼する人:バイヤーズ・エージェント

購入意思の表明
不動産会社の担当者へ購入の意思を伝える。
弁護士の手配

契約準備
売り主と買い主の両者の弁護士が契約条件を確認し内容を詰める

買い主が連絡し依頼する人:弁護士またはコンベイアンサー

契約
契約書にサイン。必要に応じて弁護士も立ち会う

ローンの申請
モーゲージ・ブローカーや銀行に依頼

買い主が連絡し依頼する人:モーゲージ・ブローカーまたは銀行

インスペクション
建物の確認(ビルディング・インスペクション)。白アリなどの害の確認(ペスト・インスペクション)を業者に連絡し行う

レポートの確認
弁護士がインスペクションのレポートなどを確認し問題があれば解決する

買い主が連絡し依頼する人:ビルディング・インスペクター、ペスト・インスペクター、弁護士

セトルメント(決済)
売り主と買い主と銀行の弁護士で行う。頭金をいつでも動かせるように準備

買い主が連絡し依頼する人:弁護士

引き渡し
セトルメントの1ヶ月後からローンの返済がスタート。引っ越し準備。電気やガス、電話、インターネットなどの手配

不動産の売却と注意点について

在豪中に物件を購入したが日本へ帰国するので売却したい、というケースが最近増えている。ほとんどのケースでは購入した時に利用した不動産会社へ売却の依頼を行うが、場合によっては別の不動産会社を利用することもある。どの不動産会社へ依頼するのかは売り主が決め、また不動産売買の手数料は、バイヤーズ・エージェントの場合を除き、売り主が全て支払う点が日本と違う点だ。

売却の条件などは不動産会社と協議し、それを弁護士が確認する。また買い主が現れた時に出てくる購入条件を、適切かどうかを判断するのも弁護士と相談して行う。そのためきちんとした不動産会社と弁護士に依頼したい。

不動産会社に関して言えば、かつて好景気だった時代に比べ社員数が減り、経験も知識も豊富なベテランの社員らによる少数精鋭の会社が多いため、安心して任せることができるだろう。

契約手続きなどは弁護士に依頼するが、別の方法として費用が安価な「コンベイアンサー」に頼むということも考えられる。コンベイアンサーは契約をスムーズに進めるための手続き代行の役割であり、書類に不備がないかなどの確認を行うが、細かく内容をチェックし条件の変更や、買い主側の弁護士との交渉などは行わないので、コンベイアンサーに依頼するためには売り主自身が契約内容を調べたりする必要がある。売り主が弁護士とコンベイアンサーのどちらに依頼するのかは、自分自身で判断する。

売却を不動産会社に依頼する時は、以下の3つの方法が考えられる。

①エクスクルッシブ
 専属専任媒介契約のことで、売り主が自分で買い主を見つけた時も不動産会社を通さなければならない。不動産会社は60日間で売却できるように動くため、短期間で売却できる可能性が大きい。オーストラリアでは一般的な方法だ。また日本と同様に同時に別の不動産会社と媒介契約を結ぶことはできない。

②ソウル
 専任媒介契約で、ほぼエクスクルッシブに準ずるが、自分が親族や知人などの買い主を見つけた場合は不動産会社を通すことなく直接交渉し契約することができる。

③オープン
 一般媒介契約のことで、同時に複数の不動産会社に依頼することができ、また自分が買い主を見つけて直接契約することもできる。

売却先が決まり、ローンが残っている場合は清算を行わなければならないが、弁護士が行うケースもあれば、自分が銀行へ行きローンの残金を清算することもある。

不動産を購入した時の価格より高い金額で売却できた時は利益(キャピタルゲイン)を得ることができる。自宅として住んでいた物件の場合は課税されないが、不動産投資として物件を所有して場合は所得と一緒に納税しなければならない。ただし1985年の9月20日以前に購入した物件の場合は課税の対象にならない(永住ビザを持たない外国人は別規定あり)。

また日本へ長期にわたり帰国し不動産を売却する場合は、帰国の期間やどの段階で売却するのかによって課税の状況が変わるため、必ず事前に会計士と相談し確認するようにしよう。

■在豪者の住宅購入の一般的な手順

エクスクルッシブ
(専属専任媒介契約)
不動産会社1社(同時に複数は不可)と媒介契約を結び、自分が買い主を探してきても不動産会社を通さなければならない。短期間で売却できる可能性が高く一般的な方法
ソウル
(専任媒介契約)
ほぼエクスクルッシブと同様だが、自分が親族や知人に売却する場合、不動産会社を通さずに直接契約できる方法
オープン
(一般媒介契約)
同時に複数の不動産会社に売却の依頼ができる。買い主を自分で探し、不動産会社を通さずに直接契約できる

あわせて読みたい
関連リンク

オーストラリアの
不動産&投資事情 ▶▶▶

不動産業界の老舗「レイ・ホワイト・サーファーズ・パラダイス・グループ」 ▶▶▶

商業物件から住宅まで「バージェス・ローソン・ゴールドコースト」 ▶▶▶

不動産事業も留学手続きも「住友リアルエステート」 ▶▶▶

「大京オーストラリア」に聞く豪州でのマンション開発と市場動向 ▶▶▶


新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る