【税とビジネス】お金の時間的価値を考えてみる

お金の時間的価値を考えてみる

今、1万ドルもらうのと、1年後に1万ドルもらうのはどちらが得でしょうか。普通に考えれば同じです。しかしお金の時間的価値を加味すると話は違ってきます。もし今、手元にある1万ドルを銀行の定期預金に預けるとしましょう。10年前は8~9%という夢のような定期預金金利でしたが現在は銀行により1~3%です。この1万ドルが年2%の金利の場合は1年後に1万200ドルになります。これを「将来価値(Future Value)」と言います。つまり1年後に1万ドルもらうよりも多いのです。

逆に考えると1年後の1万ドルの現在の価値は1万ドル÷(100%+2%)で9,803ドルとなります。これを「現在価値(Present Value)」と言います。現在の1万ドルより少ないことになります。つまり、今の9,803ドルと1年後の1万ドルが同じ価値になります。

上記は1年後に確実に1万ドルがもらえるという前提ですが、本来は未来のことは分からないため、1万ドルが本当に1年後にもらえるのか、というリスクを勘案する必要があります。例えば、1年後に物価が倍に跳ね上がっている、などです。この場合、1年後の1万ドルの価値が変わってきますので、相対的に1年後の1万ドルの価値は下がります。これはファイナンスの分野ですが、これを皆様になじみのあるタックス・リターン(確定申告)の返金で考えてみましょう。

タックス・リターンの返金は①自分の課税所得に対する税金、②自分の収入から引かれた税金額の差で、②が①より多い場合に過払いとなり、返金されます。②が多ければ、②-①の差が開くので、返金が多くなります。この②が多くなると自分の給料から多く税金が引かれ、手取りが低くなります。逆に②が少なければ、手取りが多くなり、返金が少なくなります。これを上記のお金の時間的価値に当てはめて考えてみましょう。

返金は元々自分の給料から引かれた税金ですので、自分の給料の一部です。課税所得5万ドルの人の税金(①)は8,547ドルです。

【ケース1】5万ドルの給料に対し、1万8,547ドルの税金を引かれている(②)
 この場合、1万8,547ドルー8,547ドルで1万ドルの返金となります。

【ケース2】5万ドルの給料に対し、税金を引かれていない
 この場合、返金はなく、追加で8,547ドルを払うことになり、8,547ドルの税金額は変わりません。返金の1万ドルはケース2の場合は税金を引かれていないので、多い手取りとして既にもらっているということです。

これをお金の現在価値に当てはめてみましょう。自分の手取りが増え、先に1万ドルもらう場合とタックス・リターン申告時に1万ドルもらう場合です。増えた手取りを銀行に預けておくと1万200ドルになるから1万ドルを先にもらう方が得です。つまり、お金の現在価値を考えれば、タックス・リターン時に気分は悪くとも、後から8,547ドルを払う方が得になります。


賀谷祥平
競馬騎手、Ezy Tax Solutions Pty Ltd代表取締役。豪州公認会計士、米国公認会計士、登録税理士。James Cook University MBA、University of New England会計学修士、上智大学経済学部卒。2001年上智大学在学中に、騎手を志し豪州の競馬学校に入学。03年、NSW州Coffs Harbour競馬場にて騎手デビュー。現在はNorth QLDで騎乗している。
Web: www.facebook.com/shoheikaya

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