「salyu × salyu」シドニー・フェスティバル出演

シドニー・フェスティバル出演

「salyu × salyu」インタビュー

 

 今月1月開催のシドニー・フェスティバルからオファーを受け出演が決定した日本人ミュージシャン、salyu × salyu(サリュ・バイ・サリュ)。映画『リリィ・シュシュのすべて』(2001年、監督:岩井俊二)では彼女の歌が全編でフィーチャーされ、その後小林武史プロデュースとしてSalyu名義でデビューし、中性的で透明感のある歌声と独特な存在感で人々を魅了してきた彼女。今回はsalyu × salyuとして、世界の音楽シーンで活躍するCORNELIUS(コーネリアス)をプロデューサーに迎え、実験的なコーラス・ワークを基調としたスタイルで和製ビョークとも評される彼女の音楽の魅力を、オーストラリア公演への思いとともに伺った。

 

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―「salyu × salyu」の音楽とはどういうものなのでしょうか。
「Salyuはソロのシンガー活動ですけれども、salyu × salyuはコーラスをコンセプトにしたプロジェクトです。元々のきっかけは、私が“クロッシング・ハーモニー”という概念に出会ったことに始まります。これは隣り合った音という意味なのですが、ドレミファソラシドをピアノでいっぺんに押さえた時に鳴る音、いわゆる不協和音とも表現されるものです。これを“声という楽器”で演奏してみた時に、まったくほかの楽器には出せないハーモニーを奏でることができるという声の不思議に出会いました。そして人の声というものの面白さ、人間、生き物の面白さなどをコーラスという形で表現できるんじゃないか、これは絶対にやりたいな、そんな思いから始めたプロジェクトなんです。そこで、以前から私が大ファンで深く尊敬していたCORNELIUSさんにお声がけしたところコンセプトに興味を持ってくださり、一緒にアルバムを作るという流れになりました」

 

Salyuとして小林武史さんと、salyu × salyuとしてCORNELIUSの小山田圭吾さんと、それぞれタイプの異なるプロデューサーと並行して音楽活動をされていますね。

「音楽的な要素を言うと、小林さんはメロディーにおけるドラマがすごく豊かな方。構築されているコードとメロディーの関係性や、メロディー自体の伸びやかさ、切なさ・美しさなどを感じさせるドラマを大切にされていると思います。

一方で小山田さんは、ビートをフィーチャリングした音楽を構築するスペシャリストですね。コーラスという意味でのボイシング、どういうコーラスを構築するかということにおいても、“歌”というよりも、声も楽器の1つの要素として捉えていらっしゃるのかなと思います。お2人はそこが正に、両極かなと思います。

私にとってこれらの活動はメロディ、ハーモニー、ビート、リズム、それらを同時にさまざまなプロジェクトで体験し、その経験を循環させてゆけるという、プレーヤーとしてすごく貴重な、特別な時間ですね」

 

―過去数年の間にsalyu × salyuとしていくつも海外公演の経験をされていますが、ステージに立ってみてどんな実感がありましたか。

「日本語の曲が多いんですけれども、海外では言語の意味は伝達し得ない場合が多いので、サウンドそのものへの注意力、響きやビートなど音楽的な要素により集中していく自分に出会いました。また、言葉を超えて共有できるエモーションの存在を経験する喜びも得ましたし、自分にとってかけがえのない体験になっています」

 

―オーディエンスの反応も国によって違うのでしょうか。

「例えばスペイン、バルセロナで出させていただいた時は、皆さんすごく自由で、バラードを演奏しているとちらほら人がいなくなっちゃったり、ビートが入ってくると集まってきて踊ってくれたり、曲の途中で好きにお酒を取りに行ったりとか、そういう自由な態度と出会えてすごく新鮮で嬉しかったです」

 

―今月、オーストラリアではシドニー・フェスティバルのほか、メルボルン、ブリスベンと合わせて3公演の予定ですね。ライブの見どころは。

「ループ・ステーション等の機材を使ってリアル・タイムで声をどんどん重ねたりしながらハーモニーを構築していくコーラス2人+バンド、という編成でのパフォーマンスになります。内容は『s(o)un(d)beams』というアルバムからで、メルボルンとブリスベンでは音楽に映像も加えながら魅せていきたいなと思っています。

salyu × salyuはバンドとコーラスが共存しているのが面白い要素なので、その新鮮なサウンドと、ビートやコーラス自体の面白さを体感してもらえたら嬉しいです」

 

―オーストラリアを訪れたことはありますか?

「今回初めて行きます。大きくて、豊かな自然があって、観光という意味でも開かれていて、すごく自由なイメージがあるので楽しみです」

 

―2014年にミュージシャンとしてソロ・デビュー10周年を迎えました。今後の展望をお聞かせください。

「私はクリエイターというよりはシンガー、プレイヤーですから、必ず誰か一緒に舞台・音を作っていくパートナーが必要なんですね。価値観って人それぞれ違うから、それをどう聞いて、そしてどう自分の意見を通して、どうやって共に進んでいくか、ということを課題にコミュニケーションを学んだ10年だったなと思います。『自分の感情などに左右され過ぎず、しっかりと音楽ができる自分でありたい』という理想が、10年かかってようやく形になってきたところですね。ここからだなぁと思います。

音楽としてやりたいことはあまり変わっていません。ただSalyuとしてソロの活動ではメロディーをより豊かに歌っていけるようになりたいし、salyu × salyuだったらより面白いハーモニーに挑戦していきたい。そしてたくさんライブをやっていきたいですね」

 

―1人のヒトとして、女性としてはどんな心境でしょうか。

「すごく、注意深くありたい年齢だなって思います。ある程度仕事のやり方も自分らしさも出てくる時かもしれない。大人として扱われることも増えてきた。だけど、あまり大人になりすぎないというか、知ったような気にならずというか。まだまだ知らないことがたくさんあるのをしっかり認識して、いよいよ真剣に、いろんなことに対して新鮮な気持ちで注意深く取り組んでいきたいなと思います」

 

(インタビュー=編集部・関和マリエ)

 

salyu × salyu オーストラリア・ライブ・ツアー】

■シドニー公演
日程:2015年1月23日(金)
会場:SYDNEY FESTIVAL 2015
Web: http://www.sydneyfestival.org.au/2015/cornelius-presents-salyu-x-salyu

■メルボルン公演
日程:2015年1月24日(土)
会場:THE CORNER HOTEL
Web: https://corner.ticketscout.com.au/gigs/2912-salyu-x-salyu?_ga=1.23496892.742289254.1413952871

■ブリスベン公演
日程:2015年1月30日(金)
会場:Queensland Gallery of Modern Art

Web: http://www.qagoma.qld.gov.au/exhibitions/current/futurebeauty/programs_and_events/up_late

salyu × salyu プロフィル
2000年、Lily Chou-Chouとして2枚のシングルと1枚のアルバムをリリースする。04年、小林武史プロデュースのもとSalyuとしてデビュー。以降17枚のシングル、4枚のアルバム、1枚のベストアルバムをリリース。11年には、「salyu × salyu」として小山田圭吾との共同プロデュース作品「s(o)un(d)beams」を発表し、数多くの海外フェス出演により国外でも注目される。13年には「攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Paina」のED曲を担当し、大きな反響を呼ぶ。14年はSalyuとしてデビュー10周年を迎えた。

 

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