チリ政府、チリ移民のシドニー女性引き渡しを要求

ピノチェット軍政の秘密警察で拷問・殺人など実行か

 シドニー在住のチリ移民女性の身柄引き渡しをチリ政府がオーストラリア政府に要求している。また、オーストラリア在住のチリ難民にもこの女性をチリ政府に引き渡すよう要求が出ている。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。

 この女性はアドリアナ・リバスで最近まで乳母の仕事をしていた。リバスは、1973年9月11日のチリ・クーデターでサルバドール・アジェンデ社会党政権を倒し、軍事政権を樹立したアウグスト・ピノチェット将軍の下で秘密警察の一員として社会主義者、民主運動家らの誘拐・拷問・殺害を実行した嫌疑がかけられている。

 チリ政府の引き渡し要求では、リバスは、軍政下で恐怖の的になっていたDireccion de Inteligenca Nacional (DINA)の一員として、誘拐罪など7件の容疑で起訴されており、ピノチェット独裁政権を逃れてきたチリ難民コミュニティも連邦政府に対して引き渡しを求めている。

 リバスはチリに一時帰国した際に逮捕されていたが、保釈中に逃亡、オーストラリアに戻ってきた。そのため、チリ当局からは逃亡者と指定され、2014年1月にはチリ最高裁で公式に引き渡し要求が出された。リバスは、1976年にチリ共産党幹部の失踪と殺害に関わっていたとされている。

 2017年1月には、起訴状その他が翻訳され、オーストラリアの引き渡し基準を満たすことが確認され、オーストラリア政府に提出された。チリ難民コミュニティの「引き渡し要求」には数人の連邦議会議員も支持を与えており、ピノチェット独裁政権下に起きた、数千人とも万を超えるとされているチリ国民の失踪・拷問・殺害の全容の追及を主張している。

 リバスは、公式にはピノチェット政権第二の実力者とされていた秘密警察DINAのマニュエル・コントレラス長官に雇われていた。最近になって証人や他の容疑者が、「リバスは、サンチャゴのシモン・ボリバー兵舎で拷問や誘拐に直接関与していた」と証言している。コントレラスは懲役500年の判決後獄死している。

 2014年のSBSのインタビューでリバスは容疑を否定していたが、コントレラス長官を擁護し、「共産主義者は固く心を閉ざしているため、自白させるためには拷問も必要だった。アメリカが同じことをしていると思わないか。どこでもやっていることだ。白状させるには拷問しかない」と語っている。

 ただし、リバスは以前にはボンダイの公共住宅に住んでいたが2016年初め以来その所在はつかめていない。

 法務省では、「引き渡し問題については逃亡のおそれがあるため、本人が逮捕されるか出廷するまで発表しないというのが慣例になっている」と発表している。
■ソース
Chileans ramp up extradition request for Pinochet-era murder, torture suspect living in Sydney

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る