ICAC、ケネリー前NSW州首相証言

与野党巻き込む水道疑獄

 3月27日、エディ・オベイド、ジョー・トリポディ両元労働党州政府大臣、アーサー・シノディノス現保守連合連邦議員らを巻き込んだオーストラリアン・ウォーター・ホールディングズ社(AWH、政府所有企業)の不正行為容疑を調査している腐敗摘発独立調査委員会(ICAC)は、クリスティナ・ケネリー前NSW州首相を証人として喚問した。

 これまでの調査では、悪名高いオベイド、トリポディ、トニー・ケリー元大臣やシノディノス現役連邦議員がAWHの役員などにおさまり、巨額の報酬を取っていた他、シドニー水道局との工事請負契約を成立させていれば何百万ドルという金を自分の懐に取り込むことになっていた。しかも、その金は州財政から出ることになっていた。

 シノディノス氏はAWHの役員をしている同時期に、AWHから自分が会計をしていた自由党に巨額の政治献金が行われていたにもかかわらず、「AWHから自由党への政治献金についてはまったく知らない」と証言しており、トニー・アボット連邦首相以下保守連合政治家が、「シノディノスは立派な人物」と擁護し、追及する労働党に対して、アボット首相が議会で、「(医療組合資金使い込みの元労働党議員)クレーグ・トムソンよりはましだ」とうそぶく始末。また、オベイド、トリポディ両大臣(当時)が画策し、シドニー水道局長のケリー・スコット博士を首にするよう図ったが失敗、一方、腐敗に加わらないモリス・イエマ州首相の追い出しには成功したが、後継者のネーサン・リース州首相にも嫌われ、スコット博士が、「リースが何度も、AWHは悪党の巣窟と言っていた」と証言している。しかし、リース首相もトリポディらが担ぐケネリー議員に取って代わられ、ケネリー州首相は選挙で敗北し、政界を引退するまで、「トリポディ、オベイドの操り人形」と疑われた。スコット博士は、「シノディノス役員に、AWH内部は胡散臭いと忠告したがシノディノス氏は気にも留めなかった」と証言している。

 27日、ケネリー前州首相は、「AWHと水道局の契約が成立していれば、州民の巨額の税金が請負工事の水増しされた経費を通して悪党達の懐に入るところだったが、不正を感じたスコット博士と自分の2人の女性が不正行為を阻止した」と証言している。

 投資家から資金を集めたAWHはオベイドやシノディノスその他の役員の巨額の報酬、政治献金などで使い果たし、破綻したとされている。また、トリポディ、ケリー、オベイド3氏は労働党政権時代から腐敗臭の漂う群像として州民からも嫌われていた。しかし、労働党の自浄作用がまったく機能していないことが問題だった。同時に、労働党、保守連合の片方だけが腐敗することはほとんどありえず、アボット連邦首相のシノディノス擁護の弁は腐敗がいつでも保守連合上部にまで広がる可能性を示している。(NP)

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