政府の「バックパッカー税」に危機感

「果実摘み労働力が逃げ出す」と農家

 バックパッカーやワーキング・ホリデー・メーカーなど海外からの若い旅行者は、果実摘みなどの季節労働を必要とする農家と共生関係にある。しかし、連邦政府のスコット・モリソン財相がこの海外旅行者労働力に眼をつけ、$18,200の非課税上限を廃止し、旅行者が稼ぐ最初の1ドルから32.5%という高率の税金を課する考えを進めている。これに対して、農家は、「バックパッカーらが農村部から逃げ出す」と不安の声を挙げ、国民党議員も懸念を示している。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 果樹園地域では、一斉に摘果の時期になると国内労働力では不足するため、旅行者に頼らざるを得ない。しかし、高率の所得税が課せられるようになると旅行者はニュージーランドやカナダのような競合国に移ってしまうのではないか、年産100億ドルの果樹部門の成長も危うくなると危惧している。また、農村部を地盤とする議員も財務省が試算するような3年間で5億4,000万ドルの税収増になるのかと危ぶんでいる。

 農村部を地盤とするシャーマン・ストーン自由党議員も、「手取り賃金が32.5%下がると知れば、ワーキング・ホリデー・メーカーも果実摘みの仕事から逃げ出すだろうし、そうすれば試算のような税収増も皮算用に終わるのではないか」と語っている。

 QLD州南東部スタンソープで果樹園を営む農家のジェフ・マクマーンさんは、「この税金は長期的には金を失うことになるのではないか。政府は金の卵を産むガンを撃ち落とすことになる」と語っている。また、全国農業連合会(NFF)も、「果樹産業は年間100億ドル、2030年にはそれが300億ドルに成長すると見込まれている。果実摘みの海外旅行者に32.5%の税金を課せば、この果樹産業を台無しにするだけだ。彼らがオーストラリアに来なくなれば、果実は木の上で腐るだけだ」と語っている。

 バーナビー・ジョイス農業相は、「農家の不安はよく分かる。しかし、税制を発足させてみて、その結果を見て、もし問題があるような相談しようではないか」と語っている。また、連邦政府は、太平洋島嶼国から年間8,000人に特別ビザで農業に従事させる「季節労働プログラム」を拡大する用意があるとしている。それに対して、NFFは、季節労働プログラムでは、農家が必要とする青果物収穫時に臨機応変に労働力が得られないのではないかと懐疑的になっている。

 スタンソープのリンゴ畑で働いているデンマークからのバックパッカーの場合、毎日1トンのリンゴを摘み、1週間で$800を稼ぐが、32.5%を税金に取られることになれば考えを変えると語っている。また、ウエールズからのバックパッカーは、「ビザ更新を考えていたが、そんな税金ができれば、更新せずに旅を続けるつもりだ。ウエールズの友人も、オーストラリアをやめてニュージーランドかカナダに行くことを考えている」と語っている。

 モリソン財相は、「現在、ワーキング・ホリデー・メーカーはオーストラリアで1ドルも税金を払っていない。オーストラリアのサービスを利用しているのだから税金を払うべきだ」と語っている。
■ソース
Compromise sought on ‘backpacker tax’ as working holiday-makers threaten to leave Australia

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