「デーム、ナイトの称号を復活」

アボット連邦首相が発表

 3月25日、キャンベラでクエンティン・ブライス連邦総督退任式が開かれ、各界のお歴々が出席した。

 同じ日、トニー・アボット連邦首相が、「我が国の傑出した人物に、デームとナイトの称号を復活する」と発表した。アボット保守連合政権が経済政策では新保守と呼ばれる極度の自由主義経済を採っているが、社会観ではかなり復古的であり、特にアボット氏が君主制度支持者であることはさんざん指摘されてきた。しかも、それを現実に政策に移すことでは前のジョン・ハワード保守連合政権以上である。叙勲制度も軍人のビクトリア勲章などを除いてはイギリス王家主宰の叙勲制度はオーストラリアではほとんど廃止されており、代わって「オーストラリア勲章」などオーストラリア国民の名の下の叙勲制度が行われている。デーム、ナイトの称号も、ボブ・ホーク労働党政権時代に廃止されて30年ほどになる。

 アボット首相の案では、デーム、ナイトは、「オーストラリア勲章」制度に含まれ、オーストラリア最高の称号になる予定で、オーストラリア首相の進言でエリザベス・オーストラリア女王が年間4人に対してこの称号を贈る。また、連邦総督に対しても自動的に贈られる。そのため、称号復活後初のデームはブライス前連邦総督に、また初のナイトは次期連邦総督のピーター・コスグローブ前国防軍最高司令官に贈られることになり、3月28日の連邦総督就任式ではサーの称号で就任の誓いを行う。

 アボット首相は「オーストラリア立憲君主」グループのリーダーを務めたことがあり、今も熱烈な王党派で、デーム、ナイト復活も「我が国の国民生活にとって重要な装飾音になるだろう」と語っている。また、「現在のオーストラリア国民を対象とする叙勲制度では一部の傑出した人々の業績を真に評価したことにはならないと感じている」と述べている。

 野党労働党のビル・ショーテン党首は、「アボット政権はナイトやデームが重大な政府の政策だとでも思っているのだろうか? 雇用、医療、教育はどうなるのか」と批判し、「オーストラリア共和運動」のデビッド・モリス全国会長は、「発表に驚いたし、時代逆行的な精神だ。私たちはもうとっくに卒業しているはず。昔なら、心底イギリス人だと思っていたものだが、今時のオーストラリア人は自分のことをイギリス人とは思っていない」とあっけにとられている。また、著名な女性実業家で共和派のジャネット・ホームズ・ア・コート氏も、「今時、デームもナイトも時代錯誤。立派な業績もオーストラリア勲章で十分表彰することができる。1983年以来、何の不都合もなかったのに、アボット氏は赤ワインを飲み過ぎたのではないかしら。ほとんどの国民は時代錯誤と笑い飛ばすことだと思う。そうでなければ悪夢だと考えるかも知れない」と感想を述べている。「オーストラリア立憲君主」は、アボット首相の発案を歓迎している。(NP)

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