驚きいっぱいの「驚きのない政府」

与党陣営から異論噴き出す

 労働党の長を務めたこともあるアボリジニ有力者一族出身のウォレン・マンディーン氏が2013年の総選挙前に「将来のトニー・アボット政権に参加する」と発表した時は、先住民族の間からは驚きと「やはり」という声が聞かれた。

 しかし勝利後のアボット政権からはアボリジニ政策の構想さえ聞こえてこない。一方、ジョージ・ブランディス法務長官が推進する「人種差別禁止法」の人種民族に基づく侮辱や屈辱、威嚇などの発言を禁止する条項廃止で、改定条項案が「差別発言」を狭く定義すると同時に禁止から除外される条件が拡大されており、「これでは完全にザル法」との批判が与党内からも出てきており、3月26日にはマンディーン氏が、「ブランディス氏の『国民の偏狭でいる権利を擁護する』発言は奇怪」としており、「現行法でも言論の自由が損なわれたことはない。変えなければならない理由はない」と語っている。

 保守連合のこの改定法案には主だった少数民族コミュニティ・グループがこぞって反対を表明しており、労働党は少数民族コミュニティへの働きかけを強めている。また、保守連合議員の間には少数民族コミュニティの支持を失うとの動揺が広がっている。

 一方、3月25日のクエンティン・ブライス連邦総督退任式当日にトニー・アボット連邦首相が、「イギリス王室由来のデームとナイトの称号を復活する」との発言も深刻さこそないものの、30年前に廃止された古めかしい貴族的称号復活には保守連合部内からも疑問の声が挙がっている。労働党議員は、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と揶揄し、首相の政務次官でさえ、「国民に受ける問題ではない」と認めている。アボット首相は、「少数の閣僚に相談した」としているが、閣議に諮っておらず、他の保守連合議員にとっては寝耳に水。共和派で知られたマルコム・タンブル通信相は自分のブロッグで、「心配することはない。君主を持たない国にもナイト称号がある」と請け合っている。古参議員のロン・ボズウェル国民党議員は、「これまでの他の褒章の上に称号を載せることで、他の褒章の価値が下がることになる。いいことなのかどうか、100%確信はない。ちょっと気がかりだ」と評している。また、ケルビン・トムソン労働党議員は、「アボット氏は彼の政権は驚きのない政権だと言っていたが、これこそ意外や意外の驚きの絶頂だ。議事堂ではみんなアボット決定に驚いている」と語っている。また、アボット氏の時代錯誤的な決定や、独裁的なやり方に不安を感じる声も高まっている。(NP)

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