ホッキー財相「福祉膨張で危機」は嘘

新統計で福祉依存率低下明かに

 先日、ジョー・ホッキー財相が保守系シンクタンクで講演し、「国民の福祉依存が膨張しており、財政に大きな負担になる危機的状況。福祉見直しで締めなければならない」と発言したが、最新の福祉統計で現実には福祉依存率が近年になって下がっていることが判明、トニー・アボット政権の政策の根拠が疑われている。

 統計は、権威あるMelbourne Institute of Applied Economic and Social Researchが2001年以来12,000人を超える人々を追跡調査しているもので、「Household, Income and Labour Dynamics in Australia (HILDA) Survey」報告書にまとめられている。

 最新版の2011年HILDA報告書は、世界金融危機以来、国内ミドルクラスの生活水準が平坦または下落傾向にあり、富の不平等が拡大する傾向にあることを示している。しかし、労働年齢国民や年金生活者でさえ福祉依存率が下がっていることもはっきりと数字に表れている。

 5月予算案は、福祉適用を厳格化し、特に30歳未満の若年層の失業者は6か月の失業手当て待機期間を設け、何の収入もない期間に月40件の求職活動が義務づけられるなど苛酷とも冷酷ともいえる制度が計画されており、福祉団体などから、「収入のない若者がどうやって新聞やインターネットの求人欄を探し、電話で面接の予約をし、就職活動に適した身繕いで事業所まで交通機関を使って出かけることができるのか?」と非難の声が挙がっている。一方で、高額所得者、企業には厚い優遇措置が残されている。

 ホッキー財相は、「我が国の福祉制度は持続できない。予算案が不公平というのは旧弊な社会主義的見方だ。政府は国民一人あたり平均$6,000の福祉支出をしている。清掃、水道工事、教師など平均的な勤労国民が毎年1か月分の所得をそっくり、他の国民の福祉のために充てている計算になる」と語った。しかし、HILDAの調査では、2001年には18歳から64歳までの年齢層の23%が福祉金支給を受けていたが、10年後にはこれが18.5%に減っている。また収入の90%以上を福祉金に頼っている世帯は2001年には7.1%だったが、10年後には4.8%に減っている。また、退職年齢の福祉給付依存率は2001年には65.8%だったがこれも63.5%に下がっている。

 調査報告著者のロジャー・ウィルキンズ准教授は、「ホッキー財相が福祉依存にこだわることがさっぱり分からない。2,30年前より福祉依存率が下がっているのに」と語っている。依存率低下の原因として、経済成長が20年以上も続き、一方で福祉資格が厳しくなってきたことが考えられる」としている。

 アボット保守連合政権は学者やエコノミストが対象にする現実経験に基づいた政策よりもイデオロギーに凝り固まった政策に傾いているとの評価が大きい。(NP)

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