
【2014 新年ビジネス特集】
「成功への道程、ビジネスの展望」
豪州を舞台に輝く
“6人のサムライ&なでしこ” に聞く

オーストラリア国立大学に納入された「雷神」
「弊社は、豪州/NZ地区でビジネスを開始してから40年が経ち、現在はコンピュータ・ネットワーク関連の機器販売からお客様のITシステムの構築、運用およびアプリケーションの開発まで、総合的な
ITソリューション・プロバイダーとして活動しております。この期間、連邦政府、州政府、ローカル大手企業の発展のために、IT技術を通したサポートを実施し、長きにわたりご愛顧をいただいています。
同時に、同社が世界に誇る“日の丸”スーパーコンピュータを、キャンベラのオーストラリア国立大学でご利用いただくなど(2013年7月より稼働)、同国の科学技術の発展のためにも貢献させていただいております。
資源、環境、医療など、私たちの世界は複雑ですぐに解決することが困難な課題に直面していますが、スーパーコンピュータは、膨大な情報を超高速で計算することにより、例えば観察不可能な地球の内部構造、再現不可能な大規模災害、正確には把握できない人体に対する薬の作用といった、さまざまな現象をコンピュータ上に再現し、私たちに見せてくれるのです。スーパーコンピュータは今や、基礎研究からものづくりまであらゆる研究開発において必須のツールとなっており、同大学に納入した「雷神」も、気象予測シミュレーションによる洪水被害の軽減などに活用されることが期待されています。
また、日本から同地域に進出される企業の皆様にも、日本と同様のITサービスを提供すべく、力を入れているところでございます。今後ますますグローバル化する環境において、日本発の企業の一員としてさらに尽力し発展することで、日本の若い世代の皆様が世界に羽ばたく希望と勇気を持てるような企業であり続けたいと考えております」
航空、流通、自動車、精密機械など豪各業界の企業や連邦・州政府の省庁向けにコンピュータ・マネジメント・サービスを提供。そのほかアプリケーション開発、コンピュータ・インフラストラクチャーのサポート、クラウド・コンピューティング・データ・センターの運用、コンピュータ機器の販売など。
●会社名(日本語):富士通オーストラリア
●住所:Level 16, 15 Blue St., North Sydney
●Tel: (02)9113-9200


オフィスは美しいシドニー湾を見渡せるピアモント岬の先端にある
「高校生だった1995年に、阪神・淡路大震災を経験しました。自宅が全壊、通っていた高校の校舎も全壊。友人も失いました。それらを目の当たりし、目が覚めたのです。“人生はあっけなく終わることもある。自分が価値を置いていないものに無駄な時間を使っている暇はない。悔いの残らないよう、意味のある瞬間を精一杯生きよう”——。
サッカーに明け暮れた高校時代を経て、大学時代に世界を見たくなった。初海外旅行で米国を1カ月間、1人旅をし、英語ができないのが悔しくて、大学を1年間休学して再び米国に留学。英語を覚えて帰ってきました。卒業後は外資系広告代理店に入社して、東京で5年、シカゴで3年働きました。それらはすべて自分にとって意味のあることであり、仕事もエキサイティングでした。
そんな時にふと我に返ったんです。“日本人である自分が、米国製品を世界に出していくことに本当にどこまで意味があるか?”と。自分だからこそできることは何なのかと自問自答を繰り返しましたが、ついに答えは出ない。その仕事に自分が存在する意義は見つからなかったんです。
豪州に戻りたがっていたパース出身の妻とともに、来豪したのが2009年。自分のスキルと経験を生かしながら、しかも日本人である自分が誇りを持って臨める現在の仕事を立ち上げました。日本の経済、社会が活力を取り戻すことに全力を注げるこの仕事は、自分の天職だと思い至ったのです。
起業から5年、今でもその思いを軸に置いた事業を続けています。通すフィルターはいつも同じ。“自分たちが参加することで、企業・組織の新規の機会創出が叶うかどうか”“自分たちでなければできないことは何か”。僕らである意味がなければ、それはやらない方がいいのです。
自分が納得できる自身の存在意義をそこに見い出せるか。ひとりよがりに聞こえるかもしれませんが、豪州の人々に優れた日本の製品やサービスを誇りを持って紹介し、それが受け入れられた時は、前の仕事でプロジェクトが成功した時の何倍もの嬉しさがあります。そしてたとえ規模は小さくても、やればやるだけ日本のためになるのです」
新規市場または海外市場開拓における、以下の解決案を提供。1)マーケティング戦略コンサルティング・立案、2)マーケティング実施管理、3)メディアバイング、4)クリエイティブ・広告開発および制作、5)新製品・新ブランドの開発、構築および管理、6)プロモーション、イベントおよびセミナーの企画、実施管理、7)スタートアップ企業へのマーケティングサポート、育成および事業投資
●会社名(日本語):ドック
●住所:102/2 Point St., Pyrmont NSW
●Tel: (02)8084-0043


ジャパン保険サービス部の生みの親ルイカーさん
JISの皆さん
「保険業界に入ったのは、日本で保険会社のアルバイトをしたのがきっかけで、来豪してからは現地の保険会社で日本の大手保険会社のオーストラリアにおいての『リーガル・エージェント』として働いていました。しかしもともと営業が好きだったので、ブローカーである当時のミネットに転職して、JISをゼロから立ち上げることにしました。97年にエーオンがミネットを買収して今に至るのですが、おかげさまで現在はオーストラリアでの日本ビジネスの約8割近くを担当させていただいています」
豪州で唯一の日系企業専門チームを組織し、包括的なリスク・マネジメントのソリューションを提供する大手保険サービス会社。各企業にカスタマイズしたサービスの提供が魅力。現地企業のM&Aを計画する日系企業に対するデュー・デリジェンスのサービスも強化している。医療保険「メディパック」など、日系企業に勤める日本人の個人的な保険ニーズにも対応。
●会社名(日本語):エーオン・リスク・サービス/ジャパン保険サービス部
●住所:201 Kent St., Sydney NSW 2000
●Tel: (02)9253-7075
●Email: au.jis@aon.com
●Web: www.aon.com/australia
●設立:1987年
●責任者:エーオン ジャパン保険サービス オーストラリア・パシフィック・リージョナル・ディレクター エディー・ルイカー


経験豊富な講師陣に定評あり
「シドニーに移った当初、大変だったのは日本での仕事とは違い自発的に動かないと何も始まらないということでした。日本人1人ということで日本社会との窓口として課せられた責任は大きく、数多くの語学学校があるシドニーにおいてベルリッツが果たせる役割は何かということをいつも真剣に考えてきました。駐在員やその奥様、自分のペースで英語を学びたいWHの方など多くの日本人が学んでいますが、ビジネスで来ている人の中には英語のベースができている人も多く、単純に英語レッスンを行うだけではニーズに応えられません。ビジネスの場で円滑にコミュニケーションができるようになるための場を提供し、日本とオーストラリアのビジネス・シーンをつなぐ。その役割の一端を担えると嬉しいですね」
130年以上の歴史を誇り世界中に500以上の教室を持つ語学学校を運営。シドニーではビジネスパーソンをはじめとした多くの日本人が英語を学ぶほか、オーストラリア人も日本語やフランス語、中国語などを学んでいる。語学自体だけではなくオーストラリアのビジネスの特徴やカルチャー、実地で役立つコミュニケーション・スキルの提供にも力を入れている。
●会社名(日本語):ベルリッツ オーストラリア
●住所:Shop1/35 Clarence St., Sydney NSW
●Tel: 1300-118-881、02-9299-8541


「チャッツウッド誠」の寿司プラッター
「ワーキング・ホリデー制度を持つ日本・豪州・韓国・台湾・カナダ5カ国と人材交流などによる情報交換をしながら、多民族国家オーストラリアに来るワーキング・ホリデー(毎年、日本より約9,000人、韓国より約2万4,000人、台湾より約3,000人)の若者たちに、英語環境の働く場を提供していきます。そしてさらに、彼らのオーストラリアで学んだ経験を生かし、東京のキイストン社(代表・細見昇市氏、Web: www.keys.ne.jp)と提携し、日本全国のホテル・旅館・外食業・蔵元に人材を紹介する流れを作っていきます。各地の日本酒蔵元をオピニオン・リーダーとし、地元の食材生産者、宿泊関係者と共に、世界各国の訪問者をおもてなしし、地方の観光を活性化する人材育成を、このオーストラリアで力強く進めていきたいと考えています」
ホスピタリティー業におけるグローバルな人材育成、寿司ビジネスにおける事業展開、フランチャイズを利用した日本食のビジネス展開などを行う。また、20年以上にわたり人気を誇る和食レストラン「鱒屋」や、行列ができるとんかつ&定食の店「miso」などシドニーで人気の日本食レストラン4店舗を運営している。
●会社名(日本語):ゴトク・インターナショナル
●住所:L2, 212 / 451 Pitt St., Manning Bldg., Sydney NSW
●Tel: (02)9211-3144
●Email: kensadamatsu@masuya.com.au
●Web: http://www.masuyainternational.com.au/ja
●設立:2011年
●代表:定松勝義


こだわりの詰まった食品
「最近、ようやく和食レストランでは、ラーメンと餃子がメニューとして定番化されてきましたね。20年前、餃子はまだ『Japanese Dumpling』と呼ばれ、ラーメンとともに稀な存在でした。日本の国民食とも言える餃子はやっぱり皮が薄くパリッとしたものが美味しいと感じますし、ラーメンだって北海道から九州まで種類があるなら、麺はスープに合わせたものを皆さんに食べていただきたい。日本にいたころシェフになったのも、美味しい食べ物が好きだったから。5年前に現会社を設立し、日本製の機械をそろえ、当時中国系の会社が多かった製麺業に乗り出しました。経営者の方が今のお客様ですが、お店のこだわりに合わせて、食感・風味・形状など、プロとして自信を持って作り上げています」
「気候が安定しているオーストラリアだからこそ、安定した素材がそろいお客様の要望を叶える食品を作ることができます。また『和食 日本人の伝統的な食文化』が世界遺産として認められ、ヨーロッパやアメリカで人気が定着してきているのも、今後のオーストラリアでの発展が期待できる点だと感じています。オーストラリアへの企業参入は難しい今だからこそ素材と衛生管理(HACCP認証取得)にこだわった食品作りをして、日本人はもちろん、現地の人にも安心して美味しく食べられ、愛される日本食へ貢献していきたい。2014年からは餃子に加え、ラーメンの小売りもスタートさせます。現在は、アジア・グロッサリーで購入いただけます。目指すのは『オーストラリア家庭の冷蔵庫に常備される日本食』ですね」
2008年創業。麺や餃子をメインに、シュウマイ、チャーシューなどの製造を行う。現在、食品の取引先はシドニーをはじめ、ブリスベン、キャンベラ、メルボルン、アデレード、パースとオーストラリア全土に広がっている。こだわり抜かれた小麦粉(プライム・ハード)使用の麺と種類豊富なジューシー餃子が人気。小売り業もスタートさせた。
●会社名(日本語):WPMジャパン
●住所:Unit7 / 79-85 Mars Rd., Lane Cove NSW
●Tel: (02)9427-3547
●Fax: (02)9427-8916
