進出日本企業インタビュー第22回「みずほ銀行」

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第22回 みずほ銀行

桜井章雄 シドニー支店長

(Photo: Naoto Ijichi)
(Photo: Naoto Ijichi)

日本のメガバンク「みずほフィナンシャルグループ」は、「みずほ銀行」を中核とする総合金融グループである。メガバンクで唯一、47都道府県の全てに支店を持ち、海外展開も積極的に進めている。オーストラリアでもこれまで30年以上にわたり、法人顧客を対象に金融サービスを提供してきた。

民間の立場から
日豪関係の発展を支えたい

――みずほ銀行を中核とするみずほフィナンシャルグループとは、どのような金融機関なのですか?

それぞれ古い歴史を持つ旧3行が完全統合して、2002年4月にみずほフィナンシャルグループとしてスタートしました。

みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券の他、アセット・マネジメント(資産運用)会社、シンクタンクなどを傘下に収める持ち株会社の下で、総合的な金融サービスをグローバルに提供しています。日本国内と海外にある約900拠点の幅広いネットワークを生かし、日本の上場企業の約7割と取引があります。

海外では38カ国・地域に117拠点(16年8月12日時点)を展開中です。法人のお客さまを中心に、日系・非日系、いずれの企業とも幅広くお取引頂いています。非日系の市場に関しては、特に「Global300戦略」として、世界のトップ300社の優良なお客さまとの関係強化を図っています。

銀行業務は民間ではありながら、公共性の高いビジネスです。グローバルに事業を拡大する企業のお役に立てるよう、私たちも一緒に海外に出ていくことが、日本の国益に資すると考えています。

――オーストラリア事業の概要について教えてください。

1985年8月に現地法人を設立し、95年1月には支店を開設しました。現在では、オーストラリアとニュージーランドを中心としたオセアニア全域をカバーしています。グループ各社の総力を結集して、日系と非日系のお客さまに幅広い金融サービスを提供しています。

過去30年以上の歴史を振り返ると、日本とオーストラリアはこの2~3年間、かつてないスピードで結び付きを強めています。14年7月に安倍晋三首相が来豪し、15年1月には日豪経済連携協定(EPA)が発効しました。当行は民間企業の立場から、こうした日豪関係の更なる発展に貢献したいと思います。

目指すべきは利益ではなくお客さまの信頼

――オーストラリアは人口約2,400万人と市場規模が小さいものの、長期的に市場規模の拡大が見込まれます。四半世紀に及ぶ長い経済成長を続けており、所得水準や購買力は先進諸国の中でもトップ・クラスになりました。グループのグローバル戦略におけるオーストラリア事業の重要性について、どのように認識していますか?

オーストラリア経済の成長過程において、当行もお客さまとともに成長できたことは大変ありがたいことだと感じております。特に資源関連の事業では、プロジェクト・ファイナンス(開発案件への融資)、コーポレート・ファイナンス(企業への融資)の両面から、お客さまのニーズにお応えすることで当店のビジネスも拡大してきました。

「目指すべきは利益ではなくお客さまの信頼」と話す桜井章雄氏
「目指すべきは利益ではなくお客さまの信頼」と話す桜井章雄氏

一方、「資源国」というイメージが強いオーストラリアですが、資源部門が国内総生産(GDP)に占める割合は約1割にすぎません。サービス産業がGDPのおよそ4分の3を占めており、個人消費主導の内需がオーストラリア経済を支えています。このため、アジア・オセアニア地域でも指折りの有望な市場として重要視されています。日本やアジア諸国との経済的なつながりも強く、当行グループが果たせる役割は大きいと信じています。

オーストラリアでは預金や貸出、決済、送金といった法人のお客さまを対象とした銀行業務だけではなく、銀行や証券、資金管理、シンクタンクといったグループ全体の総力を結集してアドバイザリー(助言)業務に力を入れています。

例えば、企業がオーストラリアに進出する際、ゼロから事業を立ち上げるには時間とコストがかかるため、M&A(企業の合併・買収)の需要が高まっています。当行グループもM&Aに関するアドバイスに力を入れています。企業がリスクを取りつつ適正なリターンを得るにはどうすれば良いのか。どのようなリスクヘッジ手法を活用すれば良いのか。双方にとって「ウィン・ウィン」の関係を築くことができるように、お客さまのニーズに応じて提案しています。

銀行業務だけではなく、そうした情報、ソリューション提供能力の高さが当行の最大の強みだと考えています。

――現在の課題を踏まえて、将来の展望について述べてください。

中国経済の減速や資源価格の低迷で、オーストラリア経済に一時期の勢いはなくなりました。しかし、人口拡大と高い購買力を背景に個人消費は引き続き堅調に推移しており、民営化やインフラ整備プロジェクトによる企業活動の活性化、外資の流入も見込まれます。成長率こそ緩やかとなるものの、引き続き堅調に推移していく、というのがベース・シナリオです。

ただ、成長のペースが緩やかになることで、コストを消費者に単純に転嫁する戦略はうまく機能しなくなる可能性があります。その過程で、個人消費や企業投資のマインドが急速に冷え込むことは、リスク・シナリオとなり得るでしょう。

当行は、お客さまがどのような状況に直面しても対応できるよう、サービスの多様化に努めており、今後もこの取り組みを中長期的に継続していきます。本年度から3年間の中期経営計画においては「総合金融コンサルティンググループ」という新しいビジネス・モデルを掲げています。

金融ソリューションを通じて豪州経済に貢献
金融ソリューションを通じて豪州経済に貢献
15年3月、オーストレードとの覚書調印式にて
15年3月、オーストレードとの覚書調印式にて

オセアニア地域においても、従来からのプロジェクト・ファイナンスを含めた資金ニーズへの対応に加え、資本市場参加のお手伝い、トレード・ファイナンス(貿易金融)、為替・デリバティブ(金融派生商品)取引などを含めた多様な商品を総合的に提供することで、お客さまのニーズに一層応えられるようグループの総力を結集していきます。

当行は15年3月、オーストラリア貿易投資促進庁(オーストレード)と投資促進支援に関する覚書を締結しました。日本企業による対豪投資について、日本側の本部と緊密に連携を取りながら、お客さまの対豪投資促進のお手伝いをさせて頂いています。

オーストラリアが更に発展していくにはインフラの整備が不可欠ですが、この分野で日本の技術が貢献できるポテンシャルは大きいでしょう。情報技術(IT)を駆使した金融サービス「フィンテック」(FinTech)に対する取り組みも積極的に行っています。

ビジネスは信頼が全てです。これは日系企業だけではなく万国共通の価値観でしょう。目指すべきは利益ではなく信頼です。お客さまから信頼を頂ければ、意識せずとも利益は自ずと付いてくると考えています。

●PROFILE さくらい・ふみお
<略歴>1966年生まれ。東京都出身。1989年國學院大學文学部日本文学科卒、同年入行。海外勤務は延べ4カ国、通算17年目。2014年5月当地着任。

<会社沿革>
1985年 現地法人設立
1995年 支店設立

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