損保ジャパン・オーストラリア、畑中大右氏インタビュー

進出日本企業

進出日本企業  トップ・インタビュー
第10回

損害保険ジャパン オーストラリア支店
日本興亜損害保険 オーストラリア支店

畑中大右 首席駐在員

損保大手の損保ジャパンと日本興亜損保は2014年9月に合併し、損保ジャパン日本興亜として新たにスタートする予定だ。オーストラリアでは既に今年4月、両社の支店が共同でオペレーションを開始している。オーストラリア事業の現状と今後の戦略などについて、拠点長である畑中大右首席駐在員に聞いた。(インタビュー=ジャーナリスト・守屋太郎)

●PROFILE
はたなか・だいすけ
オーストラリア支店首席駐在員
<略歴>1995年に関西学院大学(法学部)卒業後、同年に旧日本火災入社。2002年4月より本社企業商品部で商品開発、保険引受業務を担当。07年4月より本店企業営業部で総合電気メーカーを担当。11年4月よりシドニー駐在。13年10月より損害保険ジャパン社の拠点長を兼務(現職)

 

合併効果を最大限に生かしたい
グローバル企業の開拓も視野に

 

—始めに両社の概要と事業合併の狙いについて聞かせてください。

現在の「損保ジャパン」は「安田火災海上」「日産火災海上」「大成火災海上」が02年に合併し、「日本興亜損保」は、「日本火災海上」と「興亜火災海上」が01年に合併して誕生しました。損保ジャパンの源流企業であり日本で初めて火災保険を販売した「東京火災」の創業(1887年)から数えて、126年の歴史があります。両社とも日本国内の損害保険のほか海外の保険事業も手がけています。


NKSJグループの事業展開

10年には両社で共同で持ち株会社「NKSJホールディングス」を設立しました。その後も損保ジャパンと日本興亜損保は別々のブランドとして事業を展開してきましたが、14年9月に合併し、「損保ジャパン日本興亜」が発足する予定です(金融庁の認可が前提)。

合併後は国内で最大の損害保険会社(12年度の両社の正味収入保険料ベース)となる見通しで、規模のメリットが格段に向上しています。収入保険料が増加する一方で事業費を圧縮できるため業界トップ・レベルの収益性を見込むことが可能となります。サービス面でもそれぞれの強みを生かしたシナジー効果が期待できます。

そうした動きの背景には、日本の損保業界の厳しい現状があります。業界は現在、少子高齢化と人口の減少による市場の縮小という構造的な問題に直面しています。中でも収入保険料のおよそ半分を占める自動車保険事業は、人口減少に加えて若者の車離れや車両の小型化、高齢者による事故件数の増加など厳しい環境にあります。近年は地震をはじめ台風や洪水、いわゆる「ゲリラ豪雨」など自然災害が大規模化する傾向にあることも逆風です。

このため、成長が見込める新興国などへの海外事業展開は急務です。合併により国内で最大手(12年度の両社の正味収入保険料ベース)となることで、質と規模の両面でグローバル市場で外資の大手損保と渡り合える会社を目指します。

 

アリアンツ(独資本)との提携が強みに

—損保ジャパンおよび日本興亜損保としてのオーストラリア事業について詳しく教えてください。

日本興亜損保は日本の損保業界では最も古い歴史があり、1962年にシドニーに支店を開設しました。当時は57年の日豪通商協定締結を受けて、日系企業のオーストラリア進出が相次いでいた時期でした。既に日本の商社や船会社、メーカーなど40社以上が拠点を置いていて、当社も顧客の要請を受けて進出に踏み切りました。

以来、51年間にわたり、主に進出日系企業の顧客を対象に、火災保険や自動車保険、損害賠償責任保険、貨物海上保険などを提供しています。日系企業向けに防災に関するアドバイスも行っています。

当社のオーストラリア事業は現地法人ではなく、オーストラリア金融規制局(APRA)から免許を取得した支店という形です。売上・収益は日本国内の損保事業として計上しています。アジアなど新興国の海外事業はエージェント(代理店)を介した、または直接販売による個人契約のリテール(小売)が中心ですが、オーストラリアではほかの欧米諸国と同様にブローカー(代理人)を介した市場となっています。そうしたことから、オーストラリアでの業務はほかの欧米諸国での事業と同様、進出日系企業向けの保険サービスが中心となっているのが現状です。

10年4月には現地の業務提携先を損保ジャパンのオーストラリア支店と関係が深いアリアンツ・オーストラリア(ドイツ拠点の世界最大手の保険会社アリアンツの在豪現地法人)に集約しました。12年11月には事務所も共同化しました。今年4月には、本社の合併に先駆けて、両社が共同でオペレーションを開始しています。

現代の保険事業はITシステムを基盤とした装置産業と言えます。現在の規模ですべてのファシリティー(施設・設備)を自社で運営するとどうしても事業費が高くなります。その点、当支店は事務所、ITシステム、従業員を業務提携先である豪州国内第3位のアリアンツ・オーストラリアから提供を受けているため、アリアンツと同等の質の高いサービスをロー・コストで実現できるのが大きな強みです。

 

合併によるコスト削減効果を生かす

—オーストラリアで事業の目下の課題と今後の展望について聞かせてください。

洪水やサイクロン、山火事など、広範囲にわたる自然災害が頻発する市場であることから、地域ごとのリスク情報を集積して管理することが重要です。また、人件費などのコストが上昇しているため、資源関連など特定の業種を除いて特に製造業を取り巻く環境は厳しさを増しています。当社においても人件費などの固定費が継続的に上昇していくことが予想されますので、現在の保険料水準を維持するには固定費をいっそう削減していく取り組みが不可欠です。両社の合併による事業費削減効果を最大限に生かして、今後も日系企業の顧客向けに高品質なサービスを提供していきたいと思います。

アリアンツとの良好な提携関係は今後も維持し、ロー・コスト運営を継続していきます。それとともに、アリアンツの当社専任スタッフへの教育を強化してサービス水準の向上を図り、日系企業ならではのきめの細かいサービスを提供していきます。

今後は、日系企業向けの企業契約以外にも新たな顧客層を開拓していく必要があります。アリアンツは、アリアンツ・オーストラリアのほかにグローバル企業を対象としたドイツ本社直轄の別会社も置いています。このグローバル部門との連携を軸に、欧米系多国籍企業の需要も取り込んでいきたいと考えています。

<会社概要>
●英文会社名: Sompo Japan Insurance Inc.
NIPPONKOA Insurance Company, Limited.
●企業形態:損保ジャパンおよび日本興亜損保のオーストラリア支店
●代表者:畑中大右首席駐在員
●拠点:シドニー
●従業員数:日本からの駐在員2人、アリアンツから支店への派遣社員13人(合併後)
●主な事業:主に日系企業を対象とした法人向け保険サービスの提供
<沿革>
1962年: 日本興亜損保がシドニーにオーストラリア支店を開設
1970年: 損保ジャパンがアリアンツ・オーストラリアの前身企業であるMMI社と業務提携
2012年: 損保ジャパンと日本興亜損保の共同事務所化
2013年: 損保ジャパンと日本興亜損保の共同運営開始


<トップに聞く10の質問>
1. 座右の銘:「努力なくして得るものなし」
2. 今読んでいる本:「ロスジェネの逆襲」(池井戸潤・著)
3. 豪州の好きなところ:突き抜けるような青空、過ごしやすい気候
4. 外から見た日本の印象:豊かなはずなのに閉塞感がある
5. 好きな音楽:流行の洋楽(ポップス)をよく聴きます。
6. 尊敬する人:本田宗一郎
7. 有名人3人を食事に招待するとしたら誰?:決め切れません…
8. 趣味:ジョギング、ゴルフ、スポーツ観戦(サッカー)
9. 将来の夢:世界遺産の古城めぐり
10. カラオケの十八番:「キセキ」(GReeeeN)

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る